愛犬を亡くしたつらさを一人で抱えないために|警察犬ドッグトレーナーが伝えたいこと

食器を出す時間になると、いつもの場所を見てしまう。
散歩の支度がいらなくなったことに、急に寂しくなる。
愛犬を亡くした後は、暮らしの中の何気ない場面がつらく感じられることがあります。
家族は写真を飾りたいと言うけれど、自分はまだ見られない。
話をしたいのに、励まされると苦しくなる。
悲しみ方を周りに合わせることも、今すぐ気持ちを整理することも、求められるものではありません。
この記事では、その日の負担を減らし、助けが必要な時に一人で抱えないための関わり方を考えます。

愛犬との時間は、それぞれのご家庭にしかないものです。
周りの人と比べて、早く立ち直らなければと急がないでください。
話したい時に話せる相手がいることも、大切な支えになります。
見られそうな方へ、愛犬との別れについて話す公式動画を添えています。
再生することは必須ではありません。
今は文章だけ読みたい方は、そのまま読み進めてください。
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いつもの世話の時間が空いてしまった時
食事や散歩のために動いていた時間が急に空くと、何をしたらよいかわからなくなることがあります。
その時間を、すぐ別の用事で埋めなくても構いません。
外へ出たい日は出る、写真を見るのがつらい日は見ないなど、その日に受け入れられる過ごし方を選んでください。
何かを始める時も、愛犬のための意味を見つけたり、前向きな目標に結びつけたりしなくて大丈夫です。
家事を一つだけ済ませる、誰かと食事をするなど、生活の中で必要なことを支えてもらう選び方もあります。
つらさを説明する力が出ない時は、全部の経緯を話してから助けを頼む必要はありません。
たとえば「買い物を頼みたい」「今日は夕食を一緒に取ってほしい」と、手伝ってほしい用事だけを伝えることもできます。
家族と違う反応をしていても、愛情の違いにしない
同じ犬と暮らした家族でも、よく話す人、言葉が出ない人、普段の用事を先にする人がいます。
泣いていないから平気、写真を見ないから大切にしていなかった、とは決めないようにしましょう。
自分と違う反応を見ること自体がつらい場合は、同じ行動を求めるより、共有する場所で何をするかを相談します。
写真を飾る場所、話題にするタイミングなど、今の負担に関係することから決められます。

周囲から「いつまでも悲しんでいては」と言われても、その言葉に合わせて無理に振る舞う必要はありません。
自分が今、何を受け止められるかを大切にしてください。
食器や寝床は、勝手に片づけず相談する
片づけたい人には、目に入るたび苦しくなる事情があるかもしれません。
残したい人にも、まだそのまま置いておきたい気持ちがあります。
どちらかが正しいと決め、確認なしに捨てたり譲ったりしないでください。
すべてを一度に決めず、共有の場所から一時的に移す、判断できない物は保管するなど、今できる範囲を話し合えます。
「今日はまだ触らないでほしい」「この物だけは自分で決めたい」と伝えても構いません。
片づけた数を、立ち直った度合いにしないことです。

話したい時は、聞いてほしいのか、助けてほしいのかを伝える
相談したら「元気を出して」と言われ、かえって話せなくなることがあります。
相手は励ますつもりでも、今求めているものと違うのかもしれません。
言えそうであれば、「今日は思い出を聞いてほしい」「答えを出さず、少し一緒にいてほしい」と、してほしいことを伝えます。
反対に、詳しく聞かれるのが負担な日は、「今はその話をするのがつらい」と区切ってよいのです。
一度話し始めたから最後まで説明しなければならない、ということもありません。
話す内容と、今日は話さない内容を、自分で選べます。
身近な人に話しにくい時は、かかりつけの動物病院へ相談先を尋ねる方法もあります。
病気や最期の経過にわからない点が残る場合も、説明を聞けるか相談できます。
経過について説明を聞くことと、つらさを支えてもらうことは、別々に相談してもかまいません。
相談サービスは、誰が何をしてくれる場所かで選ぶ
話を聞く支援と、診断や治療を行う医療では役割が異なります。
申し込む前に、担当者の専門領域や資格、扱う相談内容、費用、対面かオンラインかを見ます。
秘密の扱いや、途中で利用をやめたい時の条件も、気になるなら尋ねて構いません。
「ここへ行けば必ず気持ちが変わる」という期待だけで決めず、今困っていることを扱う相手かを確かめてください。
話すことが負担になっている時は、どこまで説明するかから相談できます。

話したくないことまで、最初から全部説明する必要はありません。
相談してみて合わないと感じたら、別の相手や方法を探してもよいでしょう。
支える人は、元気にする言葉より相手の希望を聞く
家族や友人を励ましたくても、「また飼えばいい」「十分長生きした」と結論を先に渡すことは避けましょう。
相手が思い出を話した時も、自分の経験へ話を移したり、すぐ助言に変えたりせず、その話を聞きます。
何が必要かわからなければ、「話を聞くのと、用事を手伝うのと、今はどちらがよい?」と尋ねる方法があります。
相手が答えられない時は、急いで選ばせず、また連絡してよいかなど、受け入れられる関わり方を相談します。
食事の準備や必要な連絡を手伝う場合も、どこまでしてよいかを先に聞きます。
よかれと思って愛犬の物を処分する、写真を整理する、新しい犬を贈るといった行為は、相手の判断を奪うことになります。
子どもの言葉も、大人の答えへ急がせない
子どもが同じ質問をしたり、急に思い出を話したりした時も、今はその話をしたいのだと受け取ります。
大人がつらくて答えられない時は、別の家族に聞いてもらうなど、支える側も一人で引き受けなくて構いません。

子どもが悲しんでいる時も、質問や思い出話を急いで終わらせないようにします。
大人と同じ反応を求めず、家族で受け止められる時間を作ってください。

後悔や、次の犬を迎えるかという迷いがある時
「もっと早く気づけば」「別の選択をしていれば」と考えても、今ここで良い結論を出す必要はありません。
思い出を感謝の言葉にまとめることや、毎日何かを書くことが負担なら、取り組まなくて大丈夫です。
次の犬を迎える話も、悲しさを消すための解決策として急がないようにします。
自分は会いに行きたいけれど家族はまだ考えられない、という時は、今決めることと、後で話せることを分けます。
世話を続けられる生活の準備も、気持ちとは別に考える必要があります。

次の犬を迎えることも、すぐに決める必要はありません。
寂しさを埋めるために急がず、家族の気持ちと、世話を続けられる生活を改めて考えましょう。
食事や睡眠、仕事などに支障がある時は医療にも相談する
眠れない、食べられない、仕事や生活を続けられないほどつらい時は、一人で耐え続けず、人の医療機関などへ相談してください。
犬を亡くしたことで相談してよいのかと、遠慮する必要はありません。
しつけ教室は、悲しみの診断や治療をする場所ではありません。
周囲に話せたことだけで専門的な支援は不要と決めず、今の生活への影響を伝え、その状態に合う助けを求めてください。
現在シニア犬と暮らしていて、これからの生活環境や日々の世話を知りたい方には、ケアを扱う記事もあります。
今のつらさの解決や、別れへの準備を強制するものではありません。

早く元気になることを目標にせず、今日のつらさを一人で抱えないことから。
愛犬を大切に思う気持ちと、ご自身の生活の両方を大切にしてください。
動画を見たいと思えた時には、こちらから開けます。
今は再生せず、読むことを終えても構いません。
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