マルチーズの手入れとしつけ|警察犬ドッグトレーナーが被毛・抱っこ・散歩の準備を解説

マルチーズの毛を長く伸ばしたいけれど、毎日のブラシを嫌がる。
短くカットすれば、世話が楽になるのだろうか。
被毛の長さを選ぶ時は、仕上がりの写真と一緒に、家でどんな世話を続けられるかを考えておきましょう。
毛を整える作業と、人の手や道具を受け入れる練習は、分けて進めます。
毛玉があるから長く我慢させる、ブラシを見て逃げるから追って捕まえる、といった流れを減らすことが、日常の手入れを続ける準備になります。
この記事では、長さをサロンへ相談する時の考え方から、家庭で短く触れる練習、抱っこや散歩の支度までを扱います。
目や皮膚の処置、毛玉を切る技術を家庭で習得するための記事ではありません。
犬種共通の準備として、ブラシを体へ使う前から慣らす考え方を紹介しています。
公式動画|ブラシを見て逃げる時はサムネイルをタップしてYouTubeで見る
被毛の長さは、家で扱える範囲と合わせて選ぶ
マルチーズは長い被毛を持つ犬種です。
ただ「長い方が本来の姿」「短い方が必ず飼いやすい」と一つに決める必要はありません。
今の毛の状態と、愛犬が受け入れられる世話、家族が使える時間を合わせて選びます。
例えば、食後に口周りが汚れる、散歩後に足の毛へ物がつく、装具が触れる場所に絡まりを見つける。
こうした生活の場面をサロンへ伝えると、見た目の希望だけでなく、手入れの負担を含めて相談できます。
家族が困っている部位と、犬が嫌がる作業を分けて伝えるのがポイントです。
長く伸ばす場合は、毛が床へ触れる部分や、日々汚れる場所をどこまで扱うかを教わります。
短く整える場合も、皮膚や毛の状態を見たり、顔や足へ触れたりする世話は残ります。
カットを替えることだけで、触られる苦手さまで解消するとは考えないでください。
サロンでは、使うブラシの名前だけでなく、持ち方、毛を分ける場所、力のかけ方を実際に教わりましょう。
説明を受けても扱いにくい部位は、家族だけで仕上げる担当にしなくて構いません。
どこから任せるかを先に決めておくと、毛玉ができてから無理に解こうとする場面を減らせます。
ブラシを体へ当てる前に、どこで嫌がるかを分ける
「ブラシが苦手」といっても、道具を持った時から離れる犬と、触れるまでは平気でも毛をとかすと避ける犬では、戻る段階が違います。
嫌がる場面を再現するために何度も当てるのではなく、普段どの動きから避けているかを考えます。

毛玉ができてから全身を長時間とかすより、普段から短く触れ合えることが大切です。
静かな場所で、触られて平気なところへ手を添え、嫌がる前に終えます。
ブラシを見ただけで逃げるなら、最初から体へ使わず、道具が近くにあるところから慣らしましょう。
道具を見て離れるなら、近づけるところから始めない
犬が起きて落ち着いている時に、滑らない低い場所を使います。
寝床へ逃げた犬を追って始めません。
道具を持ったまま体へ向かうのでなく、犬が離れず普段の様子でいられる位置で、見せるだけのところから考えます。
顔をそらす、体が硬くなる、立ち去ろうとするなら、今の見せ方が近すぎる、動きが大きいなどの可能性があります。
追って目の前へ差し出さず、その場の練習を終えてください。
次は、道具を体から離す、持って動かさないなど、難しかった条件を戻します。
手で触れることと、ブラシでとかすことを一度に求めない
道具がそばにあるだけなら平気でも、すぐ毛をとかし始める必要はありません。
まず道具を置き、犬が平気な体の場所へ手を短く添えて離します。
触れた後も自分でその場にいられるか、離れたい様子がないかを見ましょう。
短い接触を受け入れられるようになってから、教わった安全な部位と使い方で、道具の短い接触を考えます。
道具の距離、触る場所、続ける長さを一度に変えないようにしてください。
毛の状態を整える必要がある日は、練習の続きを急ぐのでなく、必要な処置を任せる相談をします。
毛玉、赤み、痛がる様子がある場所を、力を入れて引っ張らないでください。
「じっとできるようにする」ために痛みをこらえさせることは、ここで行う練習とは違います。
抱っこや足拭きの支度を、追いかけ合いにしない
道具には慣れていても、呼ばれるたびに抱かれ、長い世話が始まると、人へ近づくことをためらう場合があります。
用事のない時も、名前を呼んで近づいたら穏やかに応じ、そのまま自分の場所へ戻れるやり取りを作りましょう。

小さい犬は、嫌がっていても抱き上げれば移動できてしまいます。
必要な抱っこは安全に行いつつ、普段は呼ばれて近づく、足元で待つなど、自分でできる動きも教えてあげてください。
必要な抱っこまで避けるという意味ではありません。
安全に移動する用事がある時は、犬が落ち着ける位置で声をかけ、体を安定して支えます。
家族が左右から追い込んで捕まえる、暴れるたびに高い位置で持ち直す、といった対応を繰り返さないでください。
子犬を迎えたばかりで、抱っこ中に暴れることに困っている場合は、体の支え方と嫌がる場面を分けて考えます。
子犬の抱っこの準備は、次の記事で説明しています。
散歩から帰って足を拭けない日は、練習だけで済ませない
すでに汚れている日に、慣らしを完成させてから全部拭こうとすると、犬にも家族にも負担が重なります。
何がついているか、痛がる様子がないか、安全に扱える状態かを見て、必要な世話が家庭では難しい時はサロンや動物病院へ対応を相談してください。
汚れの処理が必要なことと、次回の練習を難しくすることは別です。
足を強く握らなければ扱えなかった日は、後から同じ握り方を何度も試しません。
布を持って近づく前の段階、足へ触れる前の体の場所など、受け入れられていたところへ戻して進め方を相談します。

帰宅後の練習は、実際に嫌がった作業を繰り返すのではなく、道具を見る、平気な場所へ短く触れるといった手前の段階へ戻します。
必要な処置と慣れるための練習は、分けて考えましょう。

散歩へ出る前に、小さい体と被毛に合う支度を
被毛の上から首輪やハーネスを見るだけでは、緩みや留め具の状態を見落とすことがあります。
製品の着用方法に沿って、毛を挟んでいないか、正しく留まっているか、立つ・歩く動きの中でずれや当たりがないかを確認します。
抜けるか試すために、犬を無理に後ろへ引かないでください。
成長中やカットの後は、前と同じ調整位置で合うとは限りません。
迷う場合は、実際に着けた状態を専門家へ見てもらいます。
着用を嫌がる時も、慣れだけの問題と決めず、サイズや当たる場所を確認しましょう。
外で人や犬を怖がる場合は、抱っこで相手の顔へ近づけたり、歩くまでリードを引いたりしません。
安全な場所で周囲を見られることから始め、体調や予防の状況に合わせて進めます。

歩く時間は犬種名だけで固定せず、年齢や体調、天候、帰宅後の様子も見ながら調整します。
歩く時間と、道の混み具合や帰宅後の休み方を合わせて考える方法は、散歩時間の記事で確認できます。
家族が続けることと、専門家へ任せることをそろえる
初回のサロンでは、希望する形に加え、家で使っている道具、平気な部位、逃げたり口を向けたりする作業を伝えます。
「きれいにしてから連れて行こう」と、もつれた毛を家庭で強くとかしておく必要はありません。
目の近くへ家庭でハサミを向ける、痛そうな場所を何度も触って確かめることは避けてください。
涙や目やに、赤みが続く時は、見た目の手入れだけで済ませず動物病院へ相談します。
手入れを受け入れているか迷う時は、静止していることだけで判断しません。
顔や体の動きを含めた見方は、こちらの記事で説明しています。
今日すべての世話を家族だけで終えることより、次も無理なく続けられる範囲を決めること。
被毛の長さを選ぶ時も、その日の作業を選ぶ時も、愛犬が受けられることと家族が扱えることを、一緒に整えていきましょう。
トリマーとの実演です。
モデルはプードルで、道具の持ち方や力加減を理解する参考になります。
マルチーズに合う道具と使い方は、実際の被毛を見てもらって教わりましょう。
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