犬の分離不安のサインと相談|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ
室内で休む犬

留守番中に吠える、物を壊す、粗相をするだけでは、犬の分離不安とは決められません。

まず、けがや誤飲、体調の変化がないかを確認してください。

すでにある録画や普段の様子から、家族が離れる前と後で何が変わるかを見てみましょう。

病名を確かめるために、犬が取り乱すまで留守番を続ける必要はありません。

急に留守番が難しくなった、少し離れるだけで落ち着けない、体調も気になるという場合は、練習を増やす前に獣医師へ相談しましょう。

出血や呼吸の異常、誤飲の疑いがある時は、録画より動物病院への連絡を優先してください。

当コンテンツの運営、執筆は東京DOGSが行っています。 詳細は、コンテンツ制作ポリシー、プライバシポリシーを参照ください。

犬の分離不安とは?留守番が苦手なだけとは限らない

分離不安は、家族や特定の人と離れた時に強い苦痛が生じ、吠え、破壊、排泄、自傷などとして表れる状態です。

ただし、窓の外の人や犬へ反応して吠える、普段から物をかじる、トイレの環境が合わず失敗する、痛みや体調変化で落ち着けないなど、同じ行動には別の理由もあります。

「甘やかしたから」と接し方だけで原因を決めず、在宅中との違いも見ます。

後追いをするだけで分離不安と決めないでください。

離れた時だけ起きることと、家族がいる時にもすることを、分けて見ていきましょう。

分離に関連する不安を疑うサイン

外出前から落ち着かなくなる、玄関や窓の近くを行き来する、長く鳴き続ける、よだれや激しい呼吸が増える、おやつに口をつけないなどは、記録したい変化です。

家具の破壊だけでなく、扉や窓など出口周辺を傷つける、体をなめ続ける、同じ場所を歩き続ける場合もあります。

同じ吠えでも、玄関を出た直後から続くのか、外の物音がしたときだけなのかで、確かめることが変わります。

誰が離れた時に始まったかも、相談する時に伝えてください。

似ている行動を切り分ける

見えた行動 分けて確認すること 次の確認
吠える 家族が離れた時だけか、外の音にも反応するか 映像と音を同時に記録する
物を壊す 出口周辺か、普段からかじる物か 誤飲とけがの有無を確認する
粗相する 排泄間隔、トイレ環境、体調の変化 急な変化は獣医師へ相談する
歩き回る 外出準備から始まるか、物音の後か 開始時刻ときっかけを残す
食べない 在宅時には食べるか、緊張時だけ拒むか 食べない時間と体調を記録する

プロのトレーナーに無料で相談

店舗見学・初回カウンセリング無料

最初に見守りカメラで確認する

帰宅後の部屋だけを見ても、犬がいつ困り始めたかは分かりません。

録画があれば、吠えた瞬間だけでなく、外出の支度を始めたところから、前後を続けて見てみましょう。

吠えた場面だけでなく、何をしていたか、外の音がしたか、どこへ移動したかを残してください。

横になるまで外で待ち続ける必要はありません。

カメラは在宅中に設置を試し、寝床と出口が見えるか、音が入るかを確認します。

コードや機器に犬が触れない場所を選んでください。

画面の外へ出た犬の様子は、その間も落ち着いていたとは判断しません。

記録しておきたい5項目

  1. 外出前のどの動作で反応が始まったか
  2. 家族が見えなくなった時刻と、最初の変化が起きた時刻
  3. 吠え、歩行、呼吸、よだれ、排泄、破壊がどう続いたか
  4. おやつを食べたり玩具で遊んだりしていたか、途中でやめたか
  5. 横になり、体をゆるめて休めた時間があったか

記録は診断の代わりではありません。

食欲や排泄、眠り方の変化も、分かる範囲で診察時に伝えてください。

録画がなくても相談できます。

困る反応を撮り直すために、もう一度犬をひとりにする必要はありません。

吠えが強まった時は、静かになるまで待たない

吠え声だけで、要求しているのか、不安や外の音に反応しているのかは判断できません。

分離の練習は、不安が出ない範囲で終えます。

鳴きや動きが強まり、落ち着けなくなった時は、安全に戻ってその回を終えてください。

けがやパニックが起きるまで待つ必要はありません。

戻った直後にもう一度外へ出て反応を試したり、叱ったりせず、普段の場所で落ち着けるようにします。

次回は困った動作の手前まで戻し、小さくしても落ち着けなければ、その方法を続けずに相談します。

激しい呼吸、よだれ、自傷、扉への体当たり、脱出の試みがある時は、静かになるまで放置しません。

安全に戻ってその回を終えます。

自分を傷つける動きや激しい脱出行動が出た場合は、次の練習を始める前に獣医師へ相談してください。

分離不安のトレーニングは、小さな動きから考える

練習の目標は、決めた時間を我慢させることではなく、不安が出る前に戻れる条件を見つけることです。

分離不安が疑われる場合は、体調も含めて獣医師に相談し、その犬に合う計画を考えます。

次の内容は、相談先と「どこから始めるか」を考えるための例です。

すべてを順番にこなす必要はありません。

少し離れるだけでも落ち着けなくなる犬に、外出の練習を繰り返さないでください。

同じ部屋で少し距離を取る

犬が普段どおりに過ごしている時に、体の向きを変える、椅子に座り直す、少し離れて戻るなど、すぐ終えられる動きを一つ選びます。

こちらを見る、立ち上がるという動きだけを失敗とは決めません。

後を追い続ける、体が硬くなるなどの変化があれば、離れる距離や動きを小さくしてください。

休む場所は犬が自分で選べるようにします。

姿勢を固定したり、追い払ったりして我慢させる練習にはしません。

成功の基準は、動かなかったことだけでなく、呼吸や体の力みが普段と変わらないことです。

扉への動きと、姿が見えなくなる変化を分ける

同じ部屋で休めても、扉が動くことや家族の姿が見えなくなることは、別の変化になります。

扉へ近づく動きだけで気にし始めるなら、閉めたり外へ出たりする前に、今できる範囲を相談先と確認します。

松尾 ゆうと

同じ部屋で距離を取れたとしても、姿が見えなくなると立ち上がる犬がいます。

その場合は、扉を閉め切る前の動作から確かめます。

長く待たせて慣れるかを試さず、普段どおりに過ごせるくらいの小さな動きから考えましょう。

すぐに反応が強まる場合は、その条件を繰り返しません。

家族がいるときにも物音へ吠える場合は、留守番とは別に、その音への反応も記録します。

音がしたことと、家族が離れたことを区別できるよう、録画の前後も残してください。

鍵や上着に反応する時は、支度のどこで変わるか残す

鍵を持つ、上着を着る、バッグを取る、靴を履く。
どの支度から様子が変わるかを見てみましょう。

外へ出る練習と同時に支度も増やすと、どの変化が難しかったか分からなくなります。

何をどこまで練習するかは、反応の強さに合わせて相談先と決めてください。

犬が緊張したまま何度も繰り返すと、外出準備への反応が強くなることがあります。

回数を増やすより、反応が出ない小さな動作に戻してください。

外へ出る練習に進めるかを確認する

家の中で休めることだけを根拠に、すぐ外出へ進めません。

外出前の支度と短い分離の両方で、普段に近い様子が続いているかを相談先と確認します。

外へ出る場合も、すぐに戻れて、犬の様子が分かる条件に留めます。

カメラで体全体が見える位置を確保し、玄関を出た時刻、反応が始まった時刻、戻った時刻を記録します。

時間を延ばせるのは、食べ物に集中しただけでなく、その後も普段に近い姿勢で休めた時です。

毎回昨日より長くしようとせず、短く終える回も入れましょう。

時間を変える時は、長さだけを目標にしない

短い外出で落ち着けることを確認できたら、毎回ではなく一部の回だけ少し延ばします。

延ばした日に難しくなったら、その長さを繰り返して慣らそうとせず、余裕があった時間へ戻します。

練習が進んだかどうかは、待てた時間だけでなく、その間に犬が休めていたかで見ます。

安全な留守番環境を先に整える

普段、自分からどこへ休みに行っているかを見てみましょう。

家族がいなくなった時も同じように過ごせるかは別に見る必要があり、静かな部屋に移すだけで分離不安が解決するわけではありません。

室温、水、排泄場所、電気コード、誤飲できる物、倒れやすい家具、窓や扉を確認します。

クレートやケージは、入れば安心できると決まった道具ではありません。

在宅中から休める場所として使えている犬には選択肢になりますが、閉めると暴れる、柵を噛む、脱出しようとする犬を留守番時だけ閉じ込める方法は避けます。

夜にクレートで眠れても、昼間に家族が離れて過ごせるとは限りません。

閉めると取り乱す場合は、囲いを強くしたり、中で静かになるまで待ったりせず、安全に過ごせる別の環境を相談します。

クレートは治療の代わりにはなりません。

知育玩具や食べ物は補助として使う

松尾 ゆうと

食べ物を入れられる玩具は、犬がひとりで楽しむ活動を用意する選択肢です。

ただし、置けば不安が解消するとは限りません。

家族がいる時と離れた時の使い方や、使い終えた後の様子も比べます。

家族がいるときは食べるのに、離れると口をつけなくなる。そんな変化も記録に残してください。

製品の対象サイズと使い方を確認し、家族が見ている時に試してください。

壊す、丸ごと飲み込もうとする、歯や顎を傷める、多頭飼いで取り合う場合は使いません。

見守りながら使う指定の物を、犬だけの時に置かないでください。

食事制限がある犬は、獣医師の指示に合わせます。

運動だけで解決しようとしない

散歩で匂いを嗅ぐ、遊ぶ、家で休むなど、普段の生活も見直します。

家族が離れることへの不安を、運動不足だけで説明しないでください。

疲れ切るまで運動させることと、安心してひとりで休めるようになることは別です。

年齢、体調、気温に合わせた運動を行い、外出前に興奮が上がりすぎる場合は内容と終了時刻を調整します。

練習は「何を変えたか」も記録する

練習時間だけを伸ばすと、何が難しかったのか分からなくなります。

どんな動きをした時にどう反応したかを少し残すと、次に相談する時にも役立ちます。

「今日は鳴かなかった」だけでなく、寝ていたのか、出口を見続けていたのかまで書いてください。

一度に変える条件は、時間、距離、扉、外出の支度のうち一つに絞ります。

試したこと 犬の様子 次の練習
家族の動き・距離・扉の状態を記入 姿勢・呼吸・出口への動きなどを記入 同じ条件で確かめる/前の段階へ戻す/相談する

この表は記録用です。

日ごとに距離や時間を増やす予定表ではありません。

不安になる前に終えられるところを探し、難しかった日は、無理なくできていたところへ戻しましょう。

外出が必要な日は、練習と世話の予定を分ける

松尾 ゆうと

仕事や通院の予定に合わせて、練習を急に長くしないでください。

家族が在宅する、慣れた人に訪問を頼む、慣れた預かり先を使うなど、ひとりになる時間を減らせる方法を別に考えます。

初めての人や場所で、必ず落ち着けるとは限りません。

  • 誰と、どこでなら普段に近い様子で過ごせるか
  • 世話を頼める時間と、排泄・食事・体調管理の予定
  • 困る反応が出た時の連絡方法と、戻れる人

預ける方法が選べない場合も、生活の予定を含めて獣医師やトレーナーへ相談できます。

外出が避けられないことを理由に、家庭だけで練習を急いだり、飼い主自身を責めたりする必要はありません。

家庭の練習を中止して相談する目安

自傷、出血、嘔吐、激しい下痢、扉や窓への体当たり、歯や爪を傷める脱出行動がある時は、練習を中止します。

家族が離れるとすぐに強く取り乱す、練習するほど反応が強くなる場合も、家庭だけで続けません。

食欲が落ちるなど体調の変化もあれば、合わせて診察で伝えてください。

まず獣医師に体調や痛みを確認してもらい、必要に応じて行動診療や資格・経験を確認できるトレーナーへつなぎます。

薬が選択肢になることもありますが、種類や量をトレーナー記事で決めたり、人用の薬を使ったりしてはいけません。

相談は、練習に失敗した時だけの選択肢ではありません。

家族が少し離れるだけでもつらそうなら、無理に次の段階へ進まないでください。

相談時に伝えるとよい内容

  • いつから変化が始まったか
  • 家族の誰が離れると起きるか
  • 外出準備のどの動作から反応するか
  • 留守番中の動画と開始時刻
  • 食事、排泄、睡眠、体調、服薬の変化
  • 試した練習と、難しくなった条件

よくある質問

帰宅したら無視した方がよいですか?

帰宅直後に大きな声や激しい遊びで興奮を上げる必要はありませんが、一律に長時間無視するルールにもできません。

落ち着いた声で短く応じ、安全と体調を確認してから普段の接し方へ戻します。

犬の反応が強い場合は、帰宅時の挨拶だけでなく、留守中の苦痛を減らす計画を優先してください。

もう一頭迎えれば分離不安は改善しますか?

家族の特定の人がいないことで苦痛が生じる犬は、別の犬がいても落ち着けない場合があります。

二頭目を迎えることは、その犬の生涯に関わる別の判断です。

分離不安の対処だけを目的に決めないでください。

クレートに入れれば吠えなくなりますか?

吠え声が小さくなっても、安心したとは限りません。

閉じた時に体当たりや柵を噛む行動が出る犬では、けがの危険があります。

在宅中から休める場所として使えているかを先に確かめます。

どこから練習を始めればよいですか?

どの犬にも共通する開始時間はありません。

扉に近づくだけで緊張する犬は、外へ出る前の動きを確認します。

同じ部屋で少し離れるだけでも強く取り乱すなら、練習を進めず獣医師へ相談してください。

犬の分離不安が心配な時に、今日すること

帰宅後に吠えや破壊へ気づいたら、けがや誤飲、体調の変化がないかを先に確認してください。

すでにある録画や日常の観察から、家族が離れる前後で気づいた変化を一つ残します。

映像がなくても相談を後回しにせず、実際に見たことと、まだ分からないことをそのまま伝えてください。

練習する場合も、時間を伸ばすことより、普段に近い様子で過ごせる条件を確認します。

自分を傷つける動き、急な体調変化、家族が離れるとすぐに強まる不安があれば、時間を延ばさず獣医師や行動の専門家へ相談してください。

クレートへ入れることを検討している場合は、使用を避けたい状態と安全な選択肢を先に確認してください。

犬の分離不安とクレート|警察犬ドッグトレーナーが解説

強い不安や体調の問題がなく、短く過ごせる犬の留守番準備と段階練習はこちらにまとめています。

犬の留守番練習の進め方|警察犬ドッグトレーナーが解説

プロのトレーナーに無料で相談

店舗見学・初回カウンセリング無料

お気軽にご相談ください

店舗見学、お問い合わせ無料!
プロトレーナーが正しく、
的確にお答えいたします。