子犬のおすわりはいつから?教え方と始める目安|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ

子犬のおすわりは、迎えた家に慣れ、元気に食べて動けるようになったら、静かな室内で少しずつ教えられます。

「生後3か月になったら始める」「ワクチンがすべて終わるまでは何も教えない」と一律に決める必要はありません。子犬は家に来た日から、人の動きや声、何をすると良いことが起きるかを学んでいます。

迎えた直後で眠そうな時や食べない時は、まず休ませましょう。下痢や嘔吐など普段と違う様子があれば、練習より動物病院への相談を優先してください。

最初は、おやつを追って自然に座れたところを褒める練習で十分です。慣れてきたら、食べ物を持たない手の合図や「おすわり」の言葉へ進めます。うまく座れない時に何を見直すかも、手順とあわせて確認していきましょう。

この記事の目次

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子犬のおすわりは、家に慣れてから短い練習で始める

始める基準は「生後何か月か」だけではなく、子犬が起きていて、体調がよく、食べ物やおもちゃへ無理なく反応できるかです。

同じ月齢でも、移動で疲れている子や、新しい家に緊張している子がいます。迎えたその日にできるようにしようとせず、落ち着いて過ごせる時間を増やしてから始めます。

名前を呼んでこちらを見たら褒める、鼻先のおやつを追って座れたら渡す。短い関わりを重ね、眠くなる前や離れようとした時には終えます。

子犬の状態 その日の対応 次へ進む目安
起きていて食欲があり、周囲を探索している 静かな室内で短く練習 食べ物を追い、自然に座れる
迎えた直後で眠そう、隠れる、食べない 練習せず、休める環境を作る 普段どおりに食べ、動ける
下痢、嘔吐、咳、元気消失がある トレーニングを中止して動物病院へ相談 獣医師の指示と体調回復を確認
室内ではできるが外で反応しない 静かな室内へ戻して練習する 別の場所でも手の動きを追って座れる

ワクチン前でも室内練習はできる。外出と教室は獣医師へ確認する

おすわりの室内練習と、不特定多数の犬が集まる場所へ出すことは分けて考えます。

外出や教室への参加時期は、ワクチンの接種状況、子犬の体調、地域の感染症、施設の衛生管理によって変わります。かかりつけの動物病院と参加する施設へ、事前に確認してください。

室内では、清潔で足が滑らない場所を選びます。体調に不安がある時や、獣医師から運動などの指示を受けている時は、その指示を優先してください。

迎えたばかりで生活の整え方から確認したい方へ。食事・排泄・休息と、短い練習の進め方はこちらにまとめています。

犬のしつけの順番と最初にすること|警察犬ドッグトレーナーが解説

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おすわりを教える前に確認する5つのこと

うまく座らせる工夫より先に、子犬が安全に動ける床、体調、報酬、周囲の刺激、終わり方を整えます。

  1. 床:足が横へ滑らないマットやカーペットを選ぶ
  2. 体調:食欲、便、呼吸、歩き方に普段と違う点がないか見る
  3. 報酬:食べ慣れたフードや小さなおやつ、または好きなおもちゃを用意する
  4. 環境:家族の出入り、テレビ、他の犬などの刺激を減らす
  5. 終了合図:「おしまい」「よし」など、練習が終わったことを伝える言葉を決める

おやつは一回を小さくし、その日の食事量との合計を見ます。食物アレルギーや療法食がある場合は、自己判断で新しいおやつを増やさず、動物病院へ相談します。

座ろうとした時に後ろ足が滑る床では、子犬が立ったまま後退したり、伏せたりすることがあります。それを「覚えが悪い」と考えず、まず床を変えます。

子犬へおすわりを教える6ステップ

最初は言葉を連呼せず、食べ物を追うと自然にお尻が下がる動きを作り、座れた瞬間を褒めます。

言葉を教える前に、まずこの動きを練習しましょう。

1.子犬の正面か少し斜め前に立つ

松尾 ゆうと

子犬が四つ足で立てる広さを確保します。鼻先へ手を伸ばせる程度の距離から始め、近づくと後ろへ下がる場合は、人が少し離れます。

2.食べ物を鼻先で確認させる

おやつを鼻へ押し付けず、匂いを確認できる位置へ近づけます。飛びつく時は、手を高く上げて追わせず、いったん練習を止めます。落ち着いて四つ足が床についたら、ゆっくりやり直しましょう。手を噛もうとする場合は、顔の前に手を出し続けないでください。

3.鼻先から頭の上へ、ゆっくり弧を描く

鼻先に近い位置から、頭の上へゆっくり動かします。前足が浮く時は手を下げ、後ろへ下がる時は手を近づけます。決まった高さに合わせるのではなく、子犬が四つ足を床につけたまま追える位置を探します。

4.お尻が床についた瞬間を伝える

お尻が床についたら、短く褒めます。「そう」など成功を知らせる言葉を決めている場合も、この瞬間に伝えます。座り終えて立ち上がってからではなく、座っている時に褒めましょう。

5.立ち上がる前に報酬を渡す

座った後に犬が立ち上がってから食べ物を渡すと、立つ行動を褒める形になりやすいため、座っている位置へ手を運びます。

6.短く練習して終える

うまく座れたら「おしまい」などの終了合図を伝え、休息や遊びへ戻ります。回数を満たすために続ける必要はありません。眠そうにしたり離れようとしたりした時も、そこで終えましょう。

お尻を手で押さず、自然に座れる軌道を探す

座らない子犬の腰やお尻を押し下げると、体を固くする、手を避ける、痛みを見逃す原因になります。

後ろへ歩く場合は手が遠すぎる、伏せる場合は手が低すぎる、飛び上がる場合は手が高すぎる可能性があります。

壁際を使う方法が紹介されることもありますが、子犬を角へ追い込む必要はありません。逃げ道を塞ぐより、滑らない床と手の軌道を先に見直します。

急に座らなくなった、いつもと違う姿勢が続く、歩き方も変わった場合は、練習で直そうとせず動物病院へ相談します。座り方だけで痛む部位や病気を判断しないでください。

「おすわり」の言葉を教えるタイミング

最初から「おすわり、おすわり」と繰り返すのではなく、手の動きで座れるようになってから声の合図を加えます。

手の動きで座れるようになったら、「おすわり」と言ってから手の合図を出す練習へ進めます。座れたら褒めて報酬を渡し、言葉と動きを結びつけます。

ゆうと先生の動画では、座った瞬間に「おすわり」と伝えて、行動の名前を教える方法も説明しています。これは、座れたことを褒める言葉とは役割が違います。

覚えた後は一度の合図で座れることを目指しますが、学習中から「二度言ったら失敗」と考える必要はありません。まだ分からない子には手の合図を添え、反応できる場所で練習します。

松尾 ゆうと

反応しない時は、子犬が反抗していると決めず、名前へ反応したか、こちらを見ていたか、床は滑らないか、周囲の刺激が強すぎないかを確認します。

おやつを見せないおすわりへ進む方法

「おやつを見せない」と「ご褒美を渡さない」は別です。最初は空の手で合図し、座れたら別の手からおやつを渡します。

  1. 食べ物を持った手で、鼻先から頭上へ誘導する
  2. 同じ手の形で、食べ物を持たずに誘導する
  3. 座れたら、反対の手やポーチから報酬を渡す
  4. 声の合図を先に一度言い、手の合図を少し小さくする
  5. 慣れてきたら、犬が喜ぶ遊びなども報酬に使う

空の手で座れない時は、おやつを持った手での誘導へ戻します。食べ物を見せずに座れた時も、成功したことを褒めて報酬を渡してください。新しい場所で練習する時は、覚え直すつもりで手助けを増やします。

空の手に変えると座れない場合は、ごほうびを急になくさず、合図と渡す順番を見直しましょう。

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練習時間は、時計より子犬の反応で決める

練習は短く区切り、まだ無理なく参加できているうちに終えます。

手を追わなくなる、離れようとする、眠そうにする時は、いったん休ませます。あくびや体を掻く動きだけで気持ちを決めつけず、普段の様子との違いも見てください。

一日に一度長く行うより、食事前、遊びの途中、首輪を付ける前などに短い成功を分けて作ります。ただし、生活のすべてで座らせる必要はありません。自発的に休む時間や自由に探索する時間も残します。

座れなくなったら、同じ合図を繰り返すより、手の位置や周囲の刺激を見直します。手を追える静かな場所へ戻しても参加しない時は、その日の練習を終えましょう。

おすわりできない時は、失敗の形から原因を探す

「できない」を一つにせず、後ろへ下がる、飛びつく、伏せる、食べない、外だけできない、急に座らなくなった、に分けます。

子犬の動き 見直す点 次の一手
後ろへ下がる 手が遠い、床が滑る、人が近すぎる 鼻先へ手を戻し、距離と床を変える
前足が浮く・飛びつく 手が高すぎる、報酬への興奮が強い 手を鼻の高さへ下げ、動きを遅くする
伏せる 手が低い、練習が長い、疲れている 一度休み、立った姿勢からやり直す
おやつを食べない 緊張、満腹、体調不良、刺激が強い 練習を中止し、環境と体調を確認する
外だけできない 人、犬、音、匂いが室内より強い 対象から離れ、まず玄関の内側で練習する
急に座らない・いつもと違う姿勢が続く 歩き方、食欲、触れた時の反応にも変化がないか 練習を中止し、動物病院へ相談する

室内でできても外でできないのは、忘れたからとは限らない

場所が変わると、音、匂い、足元、周囲の動きが変わるため、室内と同じ合図でも難易度が上がります。

最初はリビングの同じ場所で教え、次に別室、玄関の内側、静かな屋外へ移ります。場所を変えた日は、言葉だけで試さず、手の合図や報酬を一段階戻します。

人や犬を見た瞬間に食べ物も取れないほど興奮している場合は、その場で大声を出して座らせません。対象から距離を取り、名前へ反応できる位置まで戻ります。

動画には体への接触やリードの合図についての説明もありますが、子犬にリードを引く刺激を加えたり、触って無理に座らせたりする練習はしません。興奮が強く、安全に誘導できない場合は、練習を中断してトレーナーへ相談してください。

座っていても、落ち着いているとは限らない

座った形だけを作れても、体が揺れる、すぐ立つ、周囲を見続ける状態なら、落ち着いて判断できているとは限りません。

動画でも、形だけ座っている場合と、犬の状態まで見る考え方が説明されています。

道路を渡る前、来客へ飛びつきそうな時、首輪を付ける時など、おすわりが役立つ場面はあります。ただし、怖い対象の近くへ座らせ続ける、痛みがある犬へ姿勢を求める、強い興奮の最中に何度も合図する方法は避けます。

松尾 ゆうと

まず刺激から離れ、静かな場所へ移動します。呼びかけや手の動きに反応できるようになってから、短いおすわりの練習を再開します。

「おすわり」と「まて」は別々に教える

おすわりは座る行動、まては今の姿勢や場所を保つ行動です。最初から一続きの言葉にしません。

まず、お尻が床についたらすぐ報酬を渡し、終了合図で動いてよいことを伝えます。座る動きが分かってから、ごく短く座っていられたところを褒めて報酬を渡し、それから終了合図を出します。待つ時間は少しずつ伸ばしましょう。

時間を伸ばす時に、人が離れる距離や周囲の刺激まで同時に増やすと失敗しやすくなります。「時間」「距離」「刺激」は一つずつ変えます。

解除の合図も決めます。「よし」「おしまい」など、座っていなくてよい時を伝えると、子犬が自分で練習の終わりを判断しやすくなります。

暮らしの中でおすわりが役立つ3つの場面

練習だけで終わらせず、首輪を付ける前、玄関を開ける前、人へ挨拶する前など、安全につながる場面を選びます。

使う場面 おすわりの役割 注意点
首輪・リードを付ける前 人が安全に装着できる姿勢を作る 首周りを触る練習は別に短く行う
玄関や道路の手前 飛び出す前に一度止まる おすわりだけに頼らずリードを保持する
人へ挨拶する前 四つ足が床についた行動を選ぶ 相手が近すぎて興奮するなら距離を取る

玄関を開ける前にはリードを付け、飛び出せないようにします。おすわりができたことだけを理由に、リードを放したり扉の管理を省いたりしないでください。

食事前にも練習できますが、長く待たせる必要はありません。座れないからと食事や水を与えずにいるのではなく、無理なく練習できる場面を選びます。

家族で言葉・手の形・成功の基準をそろえる

家族の一人が「おすわり」、別の人が「Sit」、別の人が腰を押す状態では、子犬が何を手がかりにすればよいか分かりにくくなります。

次の4項目を、子犬の世話をする家族でそろえます。

  • 声の合図:「おすわり」など一語
  • 手の合図:手のひらを上へ動かすなど一つ
  • 成功の基準:お尻が床につき、前足が床にある
  • 解除の合図:「よし」または「おしまい」

練習を中止して体調確認を優先するサイン

今まで座れていた子犬が急に座らない時、姿勢が左右へ崩れる時、鳴く時は、しつけの問題と決めつけません。

  • 片方の後ろ足を浮かせる、引きずる
  • 座る直前に鳴く、振り返って腰や足を見る
  • お尻を床につけず、何度も立ち直す
  • 普段より動かない、食欲がない、呼吸が荒い
  • 触ろうとすると逃げる、体を固くする
  • 転倒、落下、激しい遊びの後から変化した

こうした変化がある時は、練習を中止して動物病院へ相談します。

自然に動いている様子を安全に撮れるなら、受診時の説明に使えます。撮影のために座らせたり、嫌がる場所へ触れたりせず、記録より相談を優先してください。

やってはいけない教え方

早く覚えさせるために、腰を強く押す、大声で連呼する、長時間待たせる、失敗を叱る方法は使いません。

  • お尻や腰を力で床へ押し下げる
  • 反応しない時も、状況を見直さず合図を繰り返す
  • 滑る床で何度もやり直す
  • おやつを見せたまま、食べられない時間を長くする
  • 座れない子犬を壁や家具の間へ追い込む
  • 眠い、怖い、体調が悪い時も練習する
  • 急に座れなくなった状態を「わがまま」と決める

よくある質問

生後2か月でもおすわりを教えられますか?

体調がよく、食べ物やおもちゃを追える状態なら、静かな室内で短く始められます。迎えた直後で疲れている日は休ませ、外出や子犬クラスはワクチン状況と施設の衛生管理を動物病院へ確認してください。

何日で覚えますか?

決まった日数はありません。手の誘導で座れるようになった、空の手の合図でも座れた、声の後に座れた、という変化を記録しましょう。場所を変えた時は手助けを戻し、同じ日数で覚えることを求めません。

おやつがないと座りません

おやつを見せて誘導する練習から、空の手で同じ動きをする練習へ少しずつ進めます。座れたら別の手からおやつを渡してください。空の手だと分からない時は誘導へ戻し、座れたご褒美まで急になくさないようにします。

子犬が飛びついておやつを取ろうとします

おやつを高く上げて追わせず、いったん練習を止めます。落ち着いて四つ足が床についたら、鼻先に近い位置からゆっくり誘導します。手を噛もうとする時や興奮が続く時は、その場で練習を続けないでください。

成犬になってからでも教えられますか?

教えられます。年齢だけで諦める必要はありません。ただし、足腰の痛みや滑る床があると座りにくいため、急な変化や姿勢の崩れがあれば体調確認を優先します。

「おすわり」と「Sit」はどちらがよいですか?

どちらでも構いません。家族が同じ言葉、手の形、成功の基準で使える方を選びます。一つの行動へ二つの言葉を続けて連呼せず、追加する場合は新しい合図から古い合図へ順番に結びつけます。

子犬の体調を見ながら、短いおすわりの練習から

子犬のおすわりを始める目安は、月齢だけでなく、新しい家で安心して食べ、動けていることです。

滑らない床で、鼻先のおやつを頭の上へゆっくり動かします。お尻が床についたら褒め、座っている位置へ報酬を渡します。終了合図で練習を区切り、休む時間も十分に取りましょう。

できない時は言葉を重ねず、手の高さ、床、距離、周囲の刺激、体調を確認します。急に座らない、姿勢が崩れる、痛がる様子がある場合は練習を中止してください。

最初から長く待たせたり、外でも同じように座れることを求めたりしなくて大丈夫です。静かな室内で座れたところを褒め、子犬が無理なく参加できる練習を重ねていきましょう。

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