ペキニーズの手入れと触れ合い|警察犬ドッグトレーナーが顔周り・被毛・休息を解説

ペキニーズの顔や被毛をきれいにしたいのに、布を見せると離れる。
抱き上げると体を固くし、拭き終えるまで押さえてしまう。
そんな時は、仕上げ方より前に、犬がどの時点で嫌がっているかを分けて考えてみましょう。
顔へ手が近づく前から逃げる犬と、手では触れるけれど布が当たると嫌がる犬では、練習の始め方が違います。
道具を見る、近づく、触れる、手を離すところを一度に進めず、受け入れられる所からつなげるのが基本です。
ただし、目の赤みや痛み、急に触らせなくなった変化があれば、慣らしの問題と決めつけません。
必要な処置は動物病院やトリマーへ相談し、家庭では無理に触って確かめないでください。
ここでは、処置の方法ではなく、日常の世話を受けるための準備を説明します。

逃げた犬を追って抱き上げることが続くと、人の手が近づくだけで離れたくなる場合があります。
できるだけ短い作業から始め、手を離して終えるところまで大切にしてください。
ブラシを例に、体へ使う前の準備を紹介する犬種共通の動画です。
顔拭きの手技とは分けてご覧ください。
公式動画|道具を見ただけで逃げる時はサムネイルをタップしてYouTubeで見る
顔をきれいにする前に、今触ってよい状態かを考える

ペキニーズは短い鼻先と豊かな被毛を持つ犬種です。
顔の汚れが気になる場合も、犬が動く状態で目の近くへハサミを向けたり、嫌がる顔を強くつかんだりしないでください。
顔に汚れがあると、今すぐ拭きたいと思うものです。
しかし、道具を嫌がる理由が、扱い方だけにあるとは限りません。
いつもは平気だった接触を急に避ける、片側だけ気にする、触れる前から痛そうにする場合は、家庭で何度も同じ接触を繰り返さないようにします。
病院やサロンへは、どこをきれいにしたいのか、何を近づけるとどんな反応が出るのかを伝えます。
犬が嫌がる場面を再現して見せる必要はありません。
必要な状態を説明し、安全に対応できる人へ任せる方法を相談してください。
清潔を保つための処置と、人の手や道具へ慣れるための練習は分けます。
練習が終わるまで必要な世話を先延ばしにするのでも、処置をしながら我慢に慣らすのでもありません。
布を持っただけで離れるなら、顔へ当てる前へ戻る
犬が布を見た瞬間に離れる場合、体へ触れる練習から始めると、その前の段階を飛ばすことになります。
まずは布を体へ近づけず、犬が普段のように過ごせる所へ置くところから考えます。
人が布を持ったまま追いかけたり、寝床へ近づいたりしないでください。
犬が近くへ来た時も、すぐ抱いて拭き始めません。
近づくたびに長い世話が始まると、自分から人へ来ることが難しくなる場合があります。
用事のない時にも穏やかに過ごし、来たら必ず何かをする、という流れを減らします。
布がある所で体の力が抜け、歩いたり離れたりできるなら、人が布を手に取ることを別の段階として試せます。
取った途端に体を引く場合は、布を持っている間を短くする、距離を取るなど、平気だった条件へ戻します。
犬が離れたら、同じ距離まで追い詰めないことが前提です。
食べ物をごほうびに使える犬でも、目の前へ出して足を止め、食べている間に突然顔を拭く方法にはしません。
食べ物を受け取れたことだけで、接触も受け入れられると判断しないでください。
手で触れることと、布が当たることを分ける
人の手には落ち着いていられても、布の感触や、布を持った手の動きで体を固くすることがあります。
どちらも「顔を触る」という一つの作業にまとめず、犬が受けられる部分を探します。
触れた後に、手を離して終えるまでを短くする
滑らない低い場所で、犬が離れられる状態を用意します。
まず手で触られて平気な部位へ短く手を添え、すぐに離します。
頭をつかんで固定したり、顔を正面へ向けさせたりせず、人の手が来ても動ける余地を残しましょう。
触れた後に犬が体を引く、顔をそらす、動きを止める場合は、触る場所や長さを見直します。
動かなかったことだけを成功とせず、その後も自分で姿勢を変え、人へ近づいたり離れたりできるかを見てください。
嫌がるまで触って限界を確かめる必要はありません。
手では平気でも、布では同じように進めない
道具を使う範囲と扱い方は、実際の犬の顔や被毛を見てもらい、獣医師やトリマーへ教わります。
家庭での準備は、道具が近づく段階と、体へ当たる段階を分け、受けられる短い接触から進めます。
道具が当たった途端に顔を引くなら、顔を押さえて続きを行わず、触れなくても平気だったところへ戻します。
少しできた後に全ての汚れを取ろうとして長く続けると、練習と処置が混ざってしまいます。
その日の練習の目的を一つに絞って終えましょう。
顔や耳、体の動きを一緒に見ると、手を止めるタイミングを考えやすくなります。
日常の様子の捉え方はこちらにまとめています。
豊かな被毛の世話は、道具と担当範囲を決めておく
ペキニーズの長い被毛は、表面が整って見えても、内側の状態まで同じとは限りません。
家で確認する部位、毛を分ける方法、道具の使い方を教わり、どこを家庭で行い、どこをサロンへ任せるかを決めます。
もつれを見つけた時に、犬を抱えて一度にとかし切ろうとしないでください。
皮膚に近い毛玉や痛みのある所を強く引く、目や皮膚の近くを家庭でハサミで切るといった方法は避け、必要な対応を相談します。
顔周りや被毛に異常がある時は、慣れるまで我慢させる練習で解決しようとしないでください。
サロンへ頼む場合は、仕上がりの希望だけでなく、布を見ると離れるのか、顔や足の接触が苦手なのかを伝えます。
家庭でできたことも、同じ場所・同じ人だから受けられた可能性があります。
「家では一度できたので全部できる」とは説明せず、その時の条件も含めて共有しましょう。
家で洗う予定がある場合も、洗う道具だけでなく乾燥まで対応できるかを相談します。
見た目を整える作業が長い押さえ込みになりそうなら、家で全てを終える計画から変えて構いません。
慣らしを進める日は、課題を続けて重ねない
顔へ短く触れられた日に、そのまま足拭き、ブラシ、爪切りと練習を足すと、一つずつは短くても、犬にとっては人からの接触が続きます。
できた作業を増やすより、終わった後に落ち着いて過ごせるかまで考えます。

爪切りや足拭きも、抱っこして動けなくすればよいとは考えません。
滑らない低い場所で、足へ触れられるところから無理なく進めましょう。
足への接触や爪切りに困っている場合は、顔周りの練習とまとめず、その作業の準備から分けて進めます。
道具を見せる段階と足へ触れる段階、中断する目安は、こちらで説明しています。
子犬を抱き上げる時に暴れる場合は、子犬向けの抱き方と準備も参考になります。
成犬が急に抱かれるのを嫌がる場合には、同じ原因や対処と決めず、体の状態も相談してください。
犬が休みに戻ったら、世話の続きを追って始めない
寝床へ入った犬を追って道具を出すと、落ち着いて休む場所と世話を受ける場所の区別がつきにくくなります。
顔周りの練習を終えたら道具を片づけ、犬が人から離れて休める時間を作りましょう。
散歩の後に世話をする場合も、暑さや犬の体調へ配慮が必要です。
苦しそうな呼吸、いつもと違う歩き方があれば、作業を済ませようとせず動物病院へ連絡します。
抱いて移動できることだけを、負担のある外出を続ける理由にしないでください。

ペキニーズの世話は、見た目の仕上がりと、犬の受け入れやすさを両方見て続けます。
毎回の追いかけ合いになる前に、家庭でできる範囲と専門家へ任せる範囲を相談してください。
最初に変えたいのは、顔を拭く技術よりも、犬を捕まえてから世話を始める流れです。
布を見せる、近づける、触れる、手を離す。
そのうちどこまで平気かに合わせて準備し、家で難しい処置は任せる。
毎回の追いかけ合いを減らすことから、日々の手入れを整えていきましょう。
ブラシを例に、体へ使う前の準備を紹介する犬種共通の動画です。
顔拭きの手技とは分けてご覧ください。
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