犬の間違った叱り方とは?|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ
犬との穏やかな接触

犬の叱り方で最初に見直したいのは、声の強さではなく、犬に何をしてほしいのかが伝わる順番です。

叱って行動が止まっても、犬が何をすればよいか学んだとは限りません。

危険を止めることと、怖がらせて従わせることを分け、家庭で避けたい対応と、その代わりにできることを見ていきましょう。

当コンテンツの運営、執筆は東京DOGSが行っています。 詳細は、コンテンツ制作ポリシー、プライバシポリシーを参照ください。

叱る前に、危険を防ぐ準備と教える行動を決める

家庭で困る行動が出た時は、「予防する」「危険なら中断する」「してほしい行動へ導く」「できた瞬間を褒める」の順で考えます。

飛び出しや人との接触事故を防ぐ時は、犬に手が届く位置へ近づくより、扉・柵・すでに装着しているリードで安全を確保します。

唸る犬へリードを着けるために近づく、口の中に手を入れる、罰として引きつける対応は行いません。

場面 その場で行うこと 落ち着いた後に行うこと
危険物を口にした 追い回したり、手で無理に取り上げたりしない。飲み込んだ・飲み込んだ疑いがある時は動物病院へ連絡する 何を、いつ口にしたかを伝え、残った危険物を犬が届かない場所へ移す
玄関へ飛び出しそう 扉・柵・リードで止める 扉の手前で待つ練習をする
来客へ吠える 来客から距離を取る 静かな条件でマット練習をする
家具をかじる 近づくと唸る・固まる場合は手を出さず、人が距離を取る 犬を安全に別の場所へ案内できてから、家具を保護し、噛んでよい物を用意する

緊急時の一声と、日常的に怖がらせることを混同しないようにします。

安全を確保した後は、声を重ねず、次に成功できる環境へ変えましょう。

プロのトレーナーに無料で相談

店舗見学・初回カウンセリング無料

犬にしてはいけない叱り方5つ

犬が黙った、伏せた、目をそらしたという反応だけで、しつけが伝わったと判断しないでください。

その場では止まっても、恐怖や回避が増え、別の場面で困りごとが強くなることがあります。

1.時間が経ってから叱る

帰宅後に排泄の失敗や壊れた物を見つけ、犬をその場所へ連れて行って叱っても、何を求められているのか伝わりにくいものです。

犬が体を低くしたり、耳を伏せたりしても、「数時間前の行動を反省している」とは限りません。

飼い主の声、表情、近づき方に反応している可能性があります。

松尾 ゆうと

後から見つけた失敗は静かに片づけ、いつ起きたか、何を置いていたか、排泄の間隔は適切だったかを見直します。

2.名前を怒るための合図にする

犬の名前は、こちらを見てもらう、呼び戻す、安全な場所へ導くために使う大切な合図です。

名前を呼ぶたびに叱られると、振り返らない、近づかない、逃げるといった反応につながることがあります。

困る行動を見つけても、名前を連呼して追い詰めないでください。

落ち着いた場面で名前を一度呼び、振り返ったら褒める練習を重ねます。

3.大声・長い説教・威圧だけで黙らせる

大声を出す、にらむ、犬に覆いかぶさる、長く言い聞かせる対応は、犬に正解を教えません。

犬が動かなくなっても、理解したのではなく、次に何が起きるか分からず固まっている場合があります。

また、家族の声量が上がるほど犬の興奮も上がり、吠えや飛びつきが続くことがあります。

説明を重ねる代わりに、人が距離を取り、犬が逃げられる通路を空けます。

体が固まる、唸る、噛もうとする状態では、近づいて動かそうとせず練習を中断してください。

4.唸りを力でやめさせる

唸りは、犬が不安や不快感を伝える警告の一つです。

唸った犬を叱る、顔を近づける、逃げ道をふさぐ、食べ物や物を力ずくで取り上げると、噛みつきの危険が高まります。

まず人と犬の距離を取り、子どもや来客を近づけず、扉や柵で安全を作ります。

唸る状況を記録し、食べ物、寝床、触られる場所、近づく人など、きっかけを確認してください。

5.押さえつける・叩く・痛みで従わせる

首や体を押さえつける、叩く、強く引く、痛みや恐怖を使う方法は、家庭でのしつけとして行いません。

その場で動かなくなっても、人の手、首輪、特定の場所を怖がるようになることがあります。

防御的な噛みつきや逃走につながれば、人と犬の双方に危険が及びます。

犬にしてほしい行動ができた時に、食べ物や遊びなど、その犬が喜ぶ結果を届けて教えます。

何を喜ぶかは犬や場面によって違うため、撫でられることや大きな褒め声を一律のご褒美にはしません。

「叱らない」は放置ではない

褒めるしつけは、困る行動を見過ごすことではありません。

失敗しにくい環境を作り、してほしい行動を小さな段階で教え、成功した瞬間を分かりやすく伝えます。

たとえば「飛びつかないで」と言い続ける代わりに、四本の足を床につけて待つ行動を褒めます。

「拾わないで」ではなく、落ちている物から顔を上げて飼い主を見る行動を練習します。

叱りたくなった時の4ステップ

感情が強くなった時ほど、対応を短い手順にしておくと事故を防ぎやすくなります。

1.まず危険を止める

誤飲、飛び出し、噛みつきなどの危険があれば、扉、柵、リード、距離を使って安全を確保します。

物を守っている犬へ手を伸ばしたり、興奮した犬を隅へ追い込んだりしないでください。

2.人と犬の興奮を下げる

声を重ねず、視線と体の向きを少し外し、犬が離れられる通路を作ります。

その場でしつけを完成させようとせず、休ませて終えてもかまいません。

3.同じ失敗が起きない環境へ変える

床の物を片づける、玄関に柵を置く、窓へ目隠しをするなど、人が変えられる条件を一つ変えます。

4.落ち着いた場所で代替行動を教える

静かな場所で一回成功できる難しさから始めます。

松尾 ゆうと

できなければ、声を強くするのではなく、距離、時間、刺激を下げます。

場面別|叱る代わりに行うこと

トイレや家具の失敗は環境から見直す

後から見つけた排泄の失敗は静かに片づけ、排泄しやすい時間と場所を見直します。

家具をかじる場合は、犬が安全に別の場所へ移ってから保護し、噛んでよい物を用意します。

物をくわえて唸る犬へ手を伸ばさず、誤飲の疑いがあれば動物病院へ連絡してください。

来客や散歩では距離を確保する

松尾 ゆうと

吠えや引っ張りが出たら、声やリードの衝撃を重ねるのではなく、人や犬、車との距離を取ります。

静かな場所で、振り返る・人と一緒に移動するなど、その犬ができることから練習しましょう。

すでに噛みつきがある場合は、家庭だけで接触練習を進めません。

家族で対応をそろえるためのルール

家族によって許す行動と叱る行動が変わると、犬は正解を選びにくくなります。

長い理論ではなく、次のルールだけでも共有してください。

  1. 危険な時は短く中断し、すぐ安全を作る
  2. 後から見つけた失敗は叱らない
  3. 名前を怒る言葉にしない
  4. 唸った犬へ正面から迫らない
  5. 押さえつけて服従させない
  6. 代わりにしてほしい行動を一つ決める
  7. できた瞬間を家族全員が褒める

家族のルールは、犬への禁止事項ではなく人の行動として書きます。

たとえば「来客予定の前に、玄関から離れた休める場所を用意する」と決めると、誰が何をするか共有しやすくなります。

強く叱ってしまった後の立て直し方

一度強く叱った後は、急いで触ったり、抱きしめたりして仲直りを求めず、まず人と犬が落ち着ける距離を作ります。

犬が顔をそらす、体を低くする、口を閉じて動きを止める場合は、正面から見つめず通り道を空けます。

犬が普段どおり食べたり、自分から人へ近づいたりできる状態に戻ってから、別の静かな場面で簡単な練習を再開します。

まだ人を避けている時は、呼び寄せたり触ったりせず休ませてください。

その日のうちに同じ刺激を見せ、直ったか試す必要はありません。

叱り方より先に専門家へ相談したいケース

すでに噛みつきがある、急に触られることを嫌がる、反応が強くなっている場合は、家庭で叱り方を試さないでください。

  • 人や犬を噛み、皮膚に傷ができた
  • 食べ物、寝床、おもちゃへ近づくと唸る
  • 首輪やハーネスを着けようとすると噛もうとする
  • 子ども、高齢者、来客との接触を安全に分けられない
  • 急に怒る、触らせない、歩き方や食欲が変わった
  • 家族が怖くて日常の世話を続けられない

急な変化には、耳、口、関節、皮膚などの痛みや体調が影響する場合があります。

急に触られるのを嫌がる、歩き方や食欲が変わった場合は、練習を始めず動物病院へ相談してください。

触って痛い場所を探すことはしません。

噛みつきがある場合は、子どもや来客と生活動線を分け、対面で環境を確認できる専門家へ相談します。

人が噛まれて傷ができた時は、犬への練習より先に医療機関へ相談してください。

傷が深い、出血が止まらない場合は救急受診を優先します。

犬とは扉や柵などで接触を分け、噛んだ場所をもう一度触って反応を確かめないでください。

叱り方を変えた後に見るべき変化

「一度も失敗しなくなったか」だけでなく、犬と家族の生活が落ち着いたかを確認します。

確認項目 良い変化の例 注意したい変化
名前への反応 振り返り、安心して近づける 逃げる、伏せる、固まる
人の手 自分から近づける 顔をそらす、唸る、噛もうとする
困る行動の後 短時間で落ち着ける 興奮や回避が長く続く
生活全体 食事、睡眠、遊びが安定する 元気や食欲が急に落ちる
家族の対応 大声が減り、同じ手順を使える 人ごとに対応が変わる

以前より動かない、遊ばない、近づかない状態を「おとなしくなった」と評価しないでください。

食事、睡眠、散歩、家族への接近など生活全体を見ます。

よくある質問

犬を一度も叱ってはいけませんか?

危険を止めるために短く中断する場面はあります。

ただし、日常のトレーニングを大声、威圧、痛みで進める必要はありません。

安全を確保し、環境と代替行動を整えます。

低い声で「ダメ」と言えば伝わりますか?

言葉だけで正解まで伝わるとは限りません。

犬が行動を止めた後に、距離を取る、マットへ行く、こちらを見るなど、してほしい行動へ導いて褒めます。

叱ると犬が反省した顔をします

目をそらす、耳を伏せる、体を低くする反応は、飼い主の声や姿勢への反応かもしれません。

表情だけで理解したと判断しないでください。

怖がらせた場面を再現せず、普段の生活で人を避けていないか、食事や休息に変化がないかを見ます。

唸りを放置すると悪化しませんか?

放置ではなく、安全な距離を作り、唸る条件を確認します。

声が出なくなっても、不安や不快感がなくなったとは判断できません。

噛みつきがある場合は家庭で反応を試さず専門家へ相談してください。

何度教えても同じことをします

叱る回数を増やす前に、その行動で犬が得ているもの、起きる時間、周囲の刺激、睡眠や運動、練習の難しさを見直します。

同じ失敗が繰り返されるなら環境調整が不足している可能性があります。

今日から見直すのは、声の強さより家庭の準備

犬の叱り方で大切なのは、怖がらせる強さではなく、安全を守りながら正解を教える順番です。

時間が経ってから叱る、名前を怒る言葉にする、大声や威圧で黙らせる、唸りを力で消す、押さえつける対応は行いません。

まず危険を止め、犬と刺激の距離を取り、同じ失敗が起きない環境へ変えます。

そのうえで、犬が実行できる代替行動を小さな段階で教え、できた瞬間を褒めてください。

噛みつき、急な行動変化、痛みが疑われる場合は、家庭だけで解決しようとせず、獣医師や対面で確認できる専門家へ相談しましょう。

噛んだ直後の安全確保と避けたい対応はこちら。

犬が噛んだときのNG対応8つ|警察犬ドッグトレーナーが解説

日常の要求や家族のルールを見直したい方はこちら。

犬がわがままになった?|警察犬ドッグトレーナーが解説

プロのトレーナーに無料で相談

店舗見学・初回カウンセリング無料

お気軽にご相談ください

店舗見学、お問い合わせ無料!
プロトレーナーが正しく、
的確にお答えいたします。