成犬のトイレトレーニングをやり直す手順|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ
トイレトレーと犬を写した成犬のトイレ解説動画の公式サムネイル

成犬のトイレトレーニングは、年齢だけを理由にあきらめる必要はありません。

ただし、以前はできていた犬が急に失敗するようになった場合は、最初から「しつけ不足」と決めつけないでください。

排尿・排便の回数、量、痛そうな様子、飲水量、歩き方などを確認し、体調の変化があれば動物病院へ相談します。排尿の姿勢を取るのに尿が出ない時は、練習をせず、すぐに連絡してください。

以前できていた犬と、これから室内トイレを覚える犬では、練習の始め方が違います。これまでの排泄場所と失敗が始まった時期を確かめ、トイレの位置や案内するタイミングを見直しましょう。

目次

成犬のトイレも、環境と習慣を見直して進めます。失敗が増えた時、マーキング、外でしか排泄しない時、合図の教え方を分けて説明しています。

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成犬のトイレトレーニングをやり直す順番

最初の目標は失敗を叱って止めることではなく、正しい場所で排泄できる機会を増やすことです。

  1. 急な変化や体調の問題がないか確認する
  2. 排泄した時刻、場所、直前の行動を記録する
  3. 排泄場所を分かりやすくし、生活範囲を一時的に整える
  4. 起床後、食後、運動後などに排泄場所へ案内する
  5. 排泄が終わった直後に、その場で褒める

片づけるだけでは、次のトイレの場所は伝わりません。排泄しそうな時に案内し、できたその場で褒められるように準備します。

これまでの様子 最初に確認すること 練習を始める時の考え方
室内でできていたのに、急に失敗が増えた 体調と、トイレの位置・留守時間などの変化 変わった点を確かめ、使えていた条件を参考に整える
外での排泄が習慣になっている 使う場所、地面の感触、排泄する時刻 慣れた場所から段階を作り、必要な排泄を我慢させない
新しい家では、まだ室内トイレの経験が少ない 以前の習慣と、現在の寝床・排泄場所 成犬だから分かるはずと考えず、場所と成功直後の対応をそろえる

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急にトイレを失敗した時は、しつけより先に体調を確認する

以前は安定していた犬の失敗が急に増えた場合は、再トレーニングだけで様子を見続けないでください。

見逃したくない変化 対応
排尿回数や飲水量が急に増えた 動物病院へ連絡し、手元の記録を伝える。記録がそろうのを待たない
血が混じる、排尿の時に痛そうにする 練習より受診を優先し、動物病院へ連絡する
何度も排尿姿勢を取るのに尿が出ない、ほとんど出ない すぐに動物病院へ連絡する。時間外は救急診療へ相談し、様子を見続けない
下痢、便秘、便の回数や形の急な変化 食事・服薬・便の写真も含めて相談する
立ち上がりにくい、段差を嫌がる、トレーへ入りにくい 動物病院へ変化を伝え、無理なく移動できる入口と床にする
高齢犬が場所を迷う、夜間に歩き回る 環境調整と合わせて獣医師へ相談する

失敗の出方によって、見直すところは違います

同じ「失敗」に見えても、トレーからのはみ出し、間に合わない排泄、マーキング、留守番中の排泄では対策が違います。

見える失敗 確認すること 最初の見直し
前足だけトレーに入り、尿が外へ出る 体格とトレーの広さ、入口の向き トレーを広げ、壁際の位置を調整する
決まった時刻に別の場所でする 排泄間隔、案内の遅れ、生活動線 その時刻より前に排泄場所へ案内する
少量を複数の物や壁へかける マーキング、来客、引っ越し、他犬の匂い 対象物への接近を管理し、原因場面を記録する
留守番中だけ失敗する 留守時間、映像、吠え・徘徊・破壊の有無 排泄間隔と不安の問題を分けて相談する
寝起きや歩行中に漏れる 寝床の濡れ、漏れた時の様子、痛そうな動きや歩き方の変化 しつけではなく動物病院で確認する

失敗だけを見て、嫌がらせと決めつけないでください。起きた場面を振り返ると、案内が遅れたのか、トレーが使いにくかったのかを確かめやすくなります。

排泄の記録をつけ、案内する時刻を決める

記録は犬を評価するためではなく、人が案内する時間を決めるために使います。

記録項目 書き方の例
時刻 6:40 起床、6:55 排尿
直前の行動 水を飲んだ、食事、遊び、来客、散歩
排泄場所 トレー中央、端、玄関マット、壁際
量と様子 通常量、少量を複数回、力む、痛そう
人の対応 トイレへ案内した、終わった直後に褒めた、片づけた

起床後、食後、水を飲んだ後、運動後など、排泄しやすい場面を探します。今日の排泄から記録を始め、普段の様子も見ながら少し早めに案内してください。毎日同じ時刻まで待てるとは決めず、そわそわするなどの変化があれば、その時に対応します。

起きた時、食後、運動後など、排泄しやすいタイミングがあります。その子をよく観察して、案内できる時を見つけてください。

トイレまで戻りやすく、見守りやすい部屋にする

家の中を自由に移動できる範囲が広すぎると、人が排泄のサインを見逃しやすくなります。

再トレーニング中は、ベビーゲートやサークルで見守れる範囲を作り、排泄場所までの通り道を短くします。

クレートやケージを罰の場所として使わず、休む場所と排泄場所の役割を分けます。囲いを使う場合も、無理なく動ける広さと、休息・遊び・必要な世話の時間は確保してください。

松尾 ゆうと

失敗が増えたら、もう一度環境を整えます。サークルなどで見守れる範囲を作り、正しい場所でできる経験を増やしていきましょう。

  • トレーは犬が体を回してもはみ出しにくい広さにする
  • 滑る床には、洗える滑り止めを敷く
  • 入口が高い場合は低いトレーを検討する
  • 人通りや大きな音で落ち着けない場所を避ける
  • 成功が安定するまで、急に生活範囲を広げない

排泄しやすい時間に案内し、終わった直後に褒める

報酬は部屋へ戻ってからではなく、正しい場所で排泄が終わった直後に与えます。

  1. 記録から排泄しやすい時刻を予測する
  2. 静かに排泄場所へ案内する
  3. 犬の様子を見ながら、急かさず短く待つ
  4. 排泄が終わったら、その場で静かに褒め、報酬を与える
  5. 出なければ見守れる場所へ戻し、そわそわするなどの様子が出たら再び案内する。排泄するまで閉じ込め続けない

排泄を待つために水を減らしたり、外での排泄を長く我慢させたりしないでください。震える、囲いから出ようと激しく動くなど、強い不安が見られたら練習を中止します。食べ物で褒めるなら、食べ慣れたものを少量用意し、普段の食事量に含めてください。

トイレの広さや配置、案内と褒め方の基本を確かめたい時は、次の記事を参考にしてください。

犬のトイレのしつけ方|基本の手順と注意点を警察犬ドッグトレーナーが解説

マーキングは、通常の排泄と分けて記録する

マーキングは少量を複数箇所へ付けることが多く、膀胱がいっぱいになった通常の排泄とは対策が異なります。

引っ越し、家具の変更、来客、新しい家族や動物、窓の外の犬など、始まった時期と環境の変化を並べます。特定の壁や家具で繰り返す間は、柵で近づきにくくし、目を離す時間を減らします。

ただし、少量を何度もする、血が混じる、痛そうにする場合をマーキングと断定しません。動物病院へ様子を伝えてください。排尿姿勢を取るのに尿が出ない時は、練習せずすぐに連絡し、時間外は救急対応の病院へ相談します。

松尾 ゆうと

決まった家具や壁でマーキングする時は、一時的にそこへ行けないようにする方法もあります。始まった時期や、家の中で変わったことも確認してください。

外でしか排泄しない犬は、室内へ一気に移さない

外の地面だけで排泄する犬には、慣れた場所や足裏の感触を手がかりに、少しずつ室内へ近づけます。

庭先など家に近い屋外で排泄できる場所を作り、そこでできるようになってから室内側へ少しずつ移します。芝の感触を好む犬には、シートの上に人工芝を置く方法もあります。必ず使えるわけではないので、近づく時の様子と排泄できた場所を確認してください。

屋外で練習する場所は、排泄してよい私有地などに限ります。集合住宅の共用廊下や玄関前を、自己判断でトイレにしないでください。使える場所がない場合は、今の散歩で排泄できる機会を保ちながら、室内での練習方法をトレーナーへ相談しましょう。

松尾 ゆうと

いきなり室内で待つのではなく、玄関の外など家に近い場所から始める方法があります。そこでできたら玄関内へ、少しずつ場所を移していきます。

  1. いつも排泄する地面や時間帯を記録する
  2. 室内に近い屋外で成功できる場所を作る
  3. 成功が続いたら、排泄場所を少しだけ室内側へ移す
  4. 人工芝などを使うなら清潔に保ち、かじる・ちぎる場合は使わず、誤食を防ぐ
  5. 天候や体調に合わせ、無理に我慢させない

外での排泄そのものを否定せず、災害、悪天候、病気、飼い主の急な事情でも使える選択肢として室内排泄を練習します。場所の移し方に迷う時は、いきなり屋内だけにせず、トレーナーへ今の習慣を伝えて相談してください。

外で排泄できる機会を残す時は、使ってよい場所や片づけのマナーも確認しましょう。外トイレの教え方を次の記事にまとめています。

犬を外でトイレさせる方法と散歩マナー|警察犬ドッグトレーナーが解説

「ワンツー」などの合図を教える時の注意

「ワンツー」などの合図は、犬が排泄を始めた時に静かに重ね、行動と音を結びつけます。

  1. 排泄しそうな時間に決めた場所へ案内する
  2. 排泄を始めたら、家族で統一した短い言葉を静かに言う
  3. 終わった直後に褒める
  4. 繰り返した後、排泄前に合図を提示して反応を見る

合図を繰り返せば必ず出るわけではありません。生理的に排泄できない時に急かさず、合図の種類も家族で増やしすぎないようにします。

松尾邑仁による成犬のトイレ解説。画面に「コマンドで排泄することを覚える」と表示
松尾 ゆうと

排泄している時に、同じ短い言葉を重ねていきます。「ワンツー」など、言葉と排泄をセットにする教え方です。

声をかけると排泄を止める、顔を上げるなどの様子があれば、まず静かに待ちます。合図を何度も大きく繰り返して、排泄を急かさないでください。

失敗を見つけても、後から叱らず静かに清掃する

場所を覚えさせるために、汚れたシートを放置する必要はありません。汚れや足の濡れを嫌がる犬もいるため、用品の扱い方に合わせて清潔を保ちます。

失敗を見つけても、叱って場所を教えようとしないでください。時間がたった排泄物を見せても、正しい場所は伝わりません。人の前で排泄することを避けるようになる場合もあります。

失敗を見つけたら、犬を別の安全な場所へ移し、静かに清掃します。匂いが残ると同じ場所を選びやすいため、床材に合う清掃方法で臭いを落とします。

排泄の最中も、声や物音で驚かせたり、無理に抱き上げて止めたりしません。終わってから静かに片づけ、次はもう少し早くトイレへ案内できないか、記録を見直します。

トレーからはみ出す時は、しつけよりサイズと入口を見直す

前足だけトレーへ入り、お尻が外へ出る場合は、場所を理解していても設備が体格に合っていない可能性があります。

  • 犬が一周して姿勢を取れる広さを確保する
  • 壁へ近づきすぎて体を回せない配置を避ける
  • 足腰に負担がある犬は入口の高さを下げる
  • トレーが滑る、音が鳴る、網が足へ当たる点を確認する
  • シートを敷く範囲を広げ、どの位置で排泄するかを記録する

トレーそのものに乗りたがらない場合は、サイズや素材、設置場所を確認します。無理に乗せたり、逃げ道をふさいだりせず、使いやすい用具と配置をトレーナーへ相談してください。

高齢犬、多頭飼い、留守番中の失敗への対応

年齢、移動能力、他の犬との関係、留守時間によって、必要な排泄場所の数と配置を変えます。

家庭条件 見直す点
高齢犬 寝床から近い場所、低い入口、滑らない動線、夜間照明
多頭飼い 他犬に邪魔されない場所、複数の排泄場所、個体別の記録
長い留守番 我慢時間を延ばすのではなく、途中の排泄機会と見守り方法
引っ越し直後 これまで使っていた種類の清潔なシート、同じ合図、静かな場所

高齢犬の失敗を「頑固になった」と扱わず、歩き方や寝起きの様子、トイレまでの距離を確かめます。新しく出てきた変化は獣医師へ相談し、年齢だけで原因を決めつけないでください。

練習を続ける時に確認したいこと

日数だけで判断せず、どの場所・時間ならできたかを振り返ります。できた場面が増えているなら、同じ条件で練習を続けましょう。

  • 成功する時刻と場所が絞れてきたか
  • 失敗の回数だけでなく、はみ出しやマーキングを分けられたか
  • 家族が同じ場所、合図、褒め方を使えているか
  • 生活範囲を広げた日に失敗が増えていないか
  • 体調や飲水量の変化がないか

成功が増えたら、見守れる範囲を少しずつ広げます。広げた後に失敗が増えたなら、前にトイレへ戻れていた範囲を参考に、配置と案内のタイミングを見直してください。

体調や飲水量も変わっている時は、以前の練習へ戻すだけで済ませず、動物病院へ相談します。

できない時は、トイレの場所や案内の仕方をもう一度見直します。試した方法と犬の様子を比べながら、使いやすいトイレを探していきましょう。

よくある質問

迷った時は、犬の年齢より「いつから・どこで・どのように変わったか」を基準にしてください。

引っ越してから失敗が増えました。覚え直しが必要ですか?

まず体調の変化を確認し、新しい家でのトイレまでの距離、床の滑り、寝床との位置関係を見直します。

これまで使っていた種類の清潔なシートや同じ合図を使い、見守れる範囲から始めてください。引っ越しのストレスが原因と決めつけず、変わった条件を一つずつ確かめます。

成犬でもトイレを覚え直せますか?

成犬でも、新しい排泄場所を教え直す練習はできます。必要な期間は、体調やこれまでの習慣によって変わります。失敗を叱るより、見守る範囲、案内する時刻、トイレの場所、終わった直後の褒め方を家族でそろえましょう。

水を減らせば、失敗も減りますか?

失敗を防ぐために飲み水を制限しないでください。昼も夜も水を飲めるようにしておき、排泄しやすい時刻に合わせて案内します。急に飲む量や尿の量が増えた時は、しつけの問題にせず獣医師へ相談します。

成功するまでクレートへ入れてよいですか?

長時間我慢させる使い方はしません。クレートは休める場所として慣らし、排泄間隔に合わせて外へ出します。扉や床へ体をぶつける、強く鳴き続ける場合は、閉じる時間を延ばさず方法を見直します。

失敗した場所へ鼻を近づけて叱ってよいですか?

行いません。時間がたった失敗への叱責は、正しい排泄場所を教えず、人の前で排泄することを避ける原因になり得ます。静かに清掃し、次回の案内時刻を早めます。

外でしか排泄しない犬を、すぐ室内へ変えられますか?

一気に変えず、外の排泄場所から玄関付近、室内へと段階を分けます。地面の感触を急に変えない方法もあります。尿を長時間我慢させて成功を待つ方法にはしません。

マーキングは去勢・避妊で必ずなくなりますか?

必ずなくなるとは断定できません。開始時期、場所、他犬や来客、環境変化、体調を確認します。手術の適否や健康面は獣医師へ相談してください。

どのくらい失敗が続いたら専門家へ相談しますか?

家族だけで安全に管理できない、体調変化がある、留守番中に強い不安が見られる、対応がそろわない場合は回数に関係なく相談してください。手元の排泄メモと、寝床・トイレの配置を伝えます。

記録を増やすために相談を遅らせる必要はありません。配置や案内に迷う時は、東京DOGSのしつけ相談窓口へ今の習慣をご相談いただけます。

今日の排泄を記録し、次に案内するタイミングを決める

成犬のトイレトレーニングでは、失敗を責めず、体調を確認し、正しい場所で成功できる条件を作り直します。

まずは今日の排泄した時刻と場所を書き留め、次に案内できるタイミングを家族で決めましょう。急に失敗が増えたり、尿が出ないなどの変化があったりする時は、練習より動物病院への相談を優先してください。

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