犬がおもちゃを離さない時のちょうだいの教え方|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ

犬がおもちゃを離さなくても、口から引き抜いたり、追いかけたりしないでください。離す合図を何度も言うより、まずはおもちゃを離した後に褒め、報酬や遊びを用意しましょう。

この練習は、人が近くにいても物を守る反応がなく、落ち着いて遊べる犬が対象です。体が固くなる、物に覆いかぶさる、唸る、手へ口を向ける場合は、交換を試さず練習を中止してください。

ゆうと先生の公式動画では、フレンチブルドッグとのおもちゃ遊びを取り上げています。取り合いにせず、離した後の遊びまで考えることが大切です。

動画にあるリードや首輪による固定は、家庭でまねしないでください。噛んだ経験がある、犬と人を安全に分けられない場合は、練習を始める前に行動の専門家へ相談します。

この記事の目次

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おもちゃを離した後にも、報酬や遊びを用意する

「だせ」「ちょうだい」は、力比べで人が勝つための言葉ではありません。犬が自分から口を開き、おもちゃを離すための合図です。離したらすぐ褒め、報酬を渡したり、遊びを再開したりします。

  1. 守る反応がなく、安全に遊べる状態か確かめる。
  2. 普段から手放しやすいおもちゃを使う。
  3. 追いかけたり、引き抜いたりしない。
  4. 離せる流れを作ってから、家族で同じ合図を使う。
  5. 離した直後に褒め、報酬や次の遊びへつなげる。
犬へちょうだいを教える流れを説明する松尾トレーナー
公式動画の導入。「ちょうだいの教え方」を紹介しています。

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遊びに夢中な状態と資源防衛を分けて考える

おもちゃを離さない理由は一つではありません。引っ張りっこを続けたい、離す合図をまだ覚えていない場合もあれば、人に取られまいと守っている場合もあります。物を守る行動は「資源防衛」と呼ばれます。

体が固くなる、物に覆いかぶさる、手へ口を向ける、唸るなどの変化があれば、その場で交換を試しません。子どもやほかの動物を近づけず、人が安全に離れられるようにします。首輪をつかんだり抱き上げたりして犬を移さないでください。

次の表だけで遊びと防衛を診断することはできません。自分から近づいてくる、名前に反応する、唸らないというだけでも安全とは判断できません。反応を確かめるために物へ手を伸ばす必要はありません。

観察 普段から見られる様子 守り・恐怖を疑う反応
身体 動きが柔らかく、自分から再接近する 硬直し、おもちゃへ覆いかぶさる
口元 いったん緩め、持ち直す余地がある 人の手へ口を向ける、歯を見せる
距離 人と離れてもまた遊びに来る 物を持って逃げ、追うと反応が強まる
声かけ 名前や簡単な合図へ注意が戻る 普段できる合図にも反応しにくい

公式動画で紹介している「だせ」と遊び方

遊んでいる時にも褒める

動画では、離す練習だけでなく、おもちゃを噛んで遊んでいる時にも褒める考え方が紹介されています。おもちゃを離した時だけでなく、一緒に遊ぶ時間も大事にしましょう。

遊びの途中で何度も「離せ」と言い、おもちゃを取り上げて終えるのは避けてください。離した後にも報酬や遊びを用意し、ただ取り上げるだけにしないようにします。

離した後に遊びを再開する

動画では、離した後に「おすわり」などの合図を出し、再びおもちゃを渡す流れが説明されています。離すことも、遊びの一部にする考え方です。

練習のたびにおもちゃを片づける必要はありません。破損がなく、犬が落ち着いて遊べる物なら、離した後に褒めて遊びを再開します。ただし、物を返すだけで資源防衛が治るわけではありません。

人が引っ張り続けない

人が引き続けていると、犬も引っ張りっこの途中だと受け取ることがあります。動画では、おもちゃを持つ手に力をかけないことが説明されています。「ちょうだい」と言いながら、口から引き抜こうとしないでください。

動画では、首輪やリードで犬の頭の動きを制限する説明もあります。おもちゃを引かないことと、犬の頭を固定することは別です。家庭では首輪をつかむ、リードを短くして動きを止める操作を行いません。

合図を繰り返さない

おもちゃを自分から離せるようになってから、離す直前に合図を一度だけ伝えます。目が合った、首の力が抜けたというだけで口へ手を伸ばさず、実際に離すのを待ってください。

合図を繰り返しても離さない時は、その回を終えます。追いかけず、犬が手放しやすい別のおもちゃを選ぶなど、次の練習を見直してください。体が固くなる、逃げる、手へ口を向ける場合は、食べ物を見せて続けず相談します。

離した後に何をするか決めておく

松尾 ゆうと

離したら褒める、報酬を渡す、また遊ぶ。練習の前に次の行動を決めておくと、離した直後に対応しやすくなります。

おすわりが安定していなければ、無理に追加しなくて構いません。まずはおもちゃを離したことを褒め、用意した報酬や次の遊びへつなげてください。

離した後に飛びつく・取り返そうとする時は中止する

一度離せた後も、人の手へ飛びつく、元の物へ急いで戻る、取り返そうとする動きがないか見ます。こうした反応があれば、おもちゃを拾わず練習を終えてください。

合図に反応したことだけで、安全に回収できるとは限りません。家庭での様子は、すでに分かっている範囲で記録し、危険な場面を撮影のために再現しないようにします。

唸る、体を固めるなどの反応がある時は、次の安全対応を先に確認してください。交換を試して反応を確かめる必要はありません。

犬が唸る・噛むときの対処法|警察犬ドッグトレーナーが解説

物を守る反応がない犬のおもちゃ練習

段階1:普段から手放しやすいおもちゃを選ぶ

食器、骨、拾った物、特に守る物からは始めません。普段から手放しやすい犬用おもちゃを選び、犬の体格に合う大きさか、破れや部品の欠損がないか、メーカーの使用条件を確認します。子どもや同居犬が入らない場所で、大人が見守って行ってください。

段階2:口元へ手を近づけず、自分で離すのを待つ

守る反応のない犬へ、食事制限やアレルギーに合う少量の報酬を、おもちゃから離れた床へ置きます。口元へ手を寄せず、自分で離すのを待ちます。離しても、すぐおもちゃを拾う練習にはしません。

犬が食べ物や元の物を守る、手へ寄って噛もうとする、体が固くなる場合は中止します。距離を広げて同じ交換を繰り返す方法で対応しないでください。

段階3:離す直前に合図を加える

報酬を置くと自分から離せる流れが安定してから、離す直前に「だせ」または「ちょうだい」を一度だけ言います。家族で同じ言葉を使い、離した直後に褒めます。合図を加える前に、取り合わずに離せることを優先してください。

段階4:食べ物を見せる前に合図する

同じおもちゃで落ち着いて離せるようになったら、食べ物を見せる前に合図を一度出します。離せたら褒め、用意した報酬を与えます。食べ物を見せなくすることと、成功後の報酬をなくすことは別です。

離さない時は取り上げず、その回を終えます。次の練習では前の段階に戻ります。おもちゃや場所、合図を一度に変えず、落ち着いて離せた条件からやり直しましょう。

段階5:おもちゃを返す・別のおもちゃへ切り替える

安全なおもちゃを手放せる時は、次の遊びへつなげます。別のおもちゃとの交換も選択肢ですが、両方を守る、元の物へ戻る場合は行いません。

片づける時は、犬が自分から離れ、人が近づかず扉やゲートを閉められ、犬がおもちゃへ戻れない状態を作ってからにします。犬が物へ戻らないように分けられない場合は、無理に回収せず専門家へ相談してください。

ごほうびを先に見せる段階と、離した後に渡す段階は分けます。食べ物の使い方に迷った時は、こちらも参考にしてください。

犬のしつけでおやつを使う方法|警察犬ドッグトレーナーが解説

遊びをどう終わらせるか

動画では、満足して休んでもらいたい時と、遊びへの意欲を育てたい時では、終わらせ方も変わると説明しています。

松尾 ゆうと

家庭では疲れ切るまで続けず、呼吸や興奮を見て休みます。離す合図ができていても、終わる時に取り合いになるなら、遊びを切り上げるタイミングや、犬とおもちゃを分けられる場所を見直してください。

突然取り上げて終えるのではなく、犬が落ち着いて休める場所を用意します。首輪を引いて移動させたり、ハウスへ押し込んだりしません。犬が自分から離れ、物へ戻れない区画を確保できた時に片づけます。

一人で使うおもちゃと、人と遊ぶおもちゃを分ける

犬が一人で使う知育玩具と、人が一緒に遊ぶロープなどは、使う場面を分けます。ただし、一人用という表示だけで、留守中にも安全に使えるとは限りません。大きさ、壊れやすさ、メーカーの使用条件を確認し、初めての物は大人が見ている時に試してください。

人と遊ぶおもちゃは遊ぶ時に出し、片づける時も無理に取り上げません。安全に犬と物を分けられない場合は、その場で回収しようとせず相談します。

破れ、糸のほつれ、部品の欠損がある物は使いません。フレンチブルドッグなど鼻の短い犬は、暑さや呼吸の変化にも注意が必要です。苦しそうな呼吸、舌や歯茎の青み、倒れるなどの異常があれば、遊びをやめてすぐ動物病院へ連絡してください。

危険な物をくわえた時は練習より事故防止

薬、電池、鋭い物、ひも状の物などを口にした時や、飲み込んだ可能性がある時は、練習を中止して動物病院へ連絡してください。症状が出るまで待たず、何を・いつ・どのくらい口にしたか、分かる範囲で伝えます。

追いかける、口をこじ開ける、指を入れる、見えるひもを引く、自己判断で吐かせる行為は避けます。食べ物との交換を試し続けたり、押し流そうとして食べ物や水を与えたりせず、獣医師の指示を受けます。

犬が危険のない物を守っている時は、人が離れ、子どもやほかの動物が近づけないようにします。犬が物へ戻れる間は回収しません。安全に分けられない、噛んだ経験がある場合は、日常の練習も専門家と個別に計画してください。

やってはいけない7つの対応

  • 犬の口をこじ開ける
  • おもちゃを上下へ激しく振る
  • 首輪やリードを強く引き上げる
  • 「だせ」を何度も連呼する
  • 離した直後に毎回おもちゃを没収する
  • 唸りを叱り、警告だけを止める
  • 子どもに取り上げる練習をさせる

おもちゃを離させるために、 痛みや恐怖で押さえつけない でください。

練習をやめる目安

離せた回数を増やすより、犬も人も落ち着いて終えられることを優先しましょう。次の反応が出たら、その場で練習を続けないでください。

見られた反応・困った場面 その場での対応
体が固くなる、物に覆いかぶさる、唸る、手へ口を向ける 交換を試さず、人が離れて子どもやほかの動物を近づけない
合図を繰り返しても離さない 取り上げずにその回を終え、次の練習は前の段階へ戻す
離した後に手へ飛びつく、元の物へ急いで戻る おもちゃを拾わず、無理に回収しない
犬とおもちゃを安全に分けられない 首輪や体をつかんで移動させず、専門家へ相談する
危険物を口にした、誤飲の可能性がある、呼吸に異常がある しつけの練習をやめ、動物病院へ連絡する

毎日一段階ずつ進める必要はありません。離せない日があっても、成功するまで繰り返さず、いったん休みましょう。

練習後に振り返る6つのこと

  1. どのおもちゃを使ったか
  2. どこで、誰と遊んでいたか
  3. 合図を一度だけ伝えられたか
  4. 犬が自分からおもちゃを離したか
  5. 離した後に、落ち着いて報酬を受け取ったり遊びを続けたりできたか
  6. 体が固くなる、唸る、手へ口を向けるなどの変化がなかったか

うまくいかなかった条件が分かれば、次の練習や相談で伝えやすくなります。成功率や時間を測るために何度も繰り返したり、危険な場面を再現したりする必要はありません。

よくある質問

Q. 「だせ」と「ちょうだい」はどちらがよいですか?

家族で同じ言葉を使ってください。まずは報酬や次の遊びで自分から離せる流れを作り、それが安定してから、離す直前に合図を一度加えます。言葉だけを繰り返して離させようとしないことが大切です。

Q. おやつがないと離さなくなりませんか?

最初は食べ物などの報酬で、離すとよいことがあると教えます。慣れてきたら、食べ物を先に見せず、離した後に渡す練習へ進みます。遊びの再開も報酬になりますが、犬が喜ぶものを急になくさないでください。

Q. 引っ張りっこは攻撃性を高めますか?

遊び自体を一律に禁止する必要はありません。開始・終了の合図、穏やかな動かし方、犬が離れられるルールを作ります。唸り方や身体の硬さに不安がある場合は中止して相談してください。

Q. 離したらすぐおもちゃを返すのですか?

安全なおもちゃで、守る反応のない犬には、離した後の遊びも用意します。破損物や危険物は返しません。危険物を口にした時は交換練習を続けず動物病院へ連絡してください。回収は、犬がその場所へ戻れない状態を確保してから行います。

Q. 食器や骨を守る犬にも同じ練習をしてよいですか?

価値が高い物や咬傷につながる物で自己流に試しません。まず近づかずに管理し、資源防衛の経験がある専門家へ相談してください。

Q. フレンチブルドッグで特に注意することは?

暑さや呼吸の変化に注意し、疲れ切るまで遊ばせません。苦しそうに呼吸する、舌や歯茎が青みを帯びる、倒れる場合は練習を中止し、すぐ動物病院へ連絡してください。首輪やリードで頭を固定しないことも重要です。

食器を守る時や拾い食いとは分けて対応する

遊びながら物を離す練習と、食器や物を守る犬への対応、散歩中の拾い食いの予防は分けて考えます。守る反応がある犬に、この記事の交換方法を一律に使わないでください。

まとめ おもちゃを取り合わず、離した後につなげる

おもちゃを離す練習は、物を守る反応がなく、安全に遊べる犬から始めます。離しやすいおもちゃを選び、自分から離した直後に褒め、報酬や次の遊びへつなげてください。合図は、その流れが安定してから加えます。

体が固くなる、物を守る、人の手へ口を向ける場合は、家庭での交換練習を続けません。危険物を口にした時や呼吸に異常がある時は、しつけの相談先の返信を待たず動物病院へ連絡してください。

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