犬のお手の教え方と覚えない時の対処|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ
犬にお手を教える東京DOGS公式動画のサムネイル

犬の「お手」は、必ず覚えなければならないしつけではありません。

教える時は、ごほうびを握った手を鼻先へ近づけ、前足が少し浮いた瞬間を褒めます。手のひらへ乗せようとして、犬の前足をつかむ必要はありません。

初めて教える時は、完成したお手を急いで求めなくて大丈夫です。前足が少し動くところから、手に触れるところへ順番に進めます。

この記事の目次

ゆうと先生がお手を教える様子を動画で見る

まだお手を知らない犬に、ごほうびを使って教えている実演です。前足がほんの少し浮いた時にも、ごほうびを渡しているところを見てください。手を上げすぎて犬が跳びついた時は、手の高さを調整しています。

一度前足を出せても、日や場所が変わると反応が違うことがあります。家で練習する時は、同じように手を出し、前足が少し動くところから確かめ直してみてください。

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教え方の流れ|前足を浮かせるところから始める

完成形を一度に求めず、「前足が動く」「手へ近づく」「手のひらに触れる」と小さく分けます。

  1. 静かな場所と小さなごほうびを用意する
  2. 犬が落ち着いて立つか座るのを待つ
  3. 鼻先に握った手を近づけ、少しだけ上へ動かす
  4. 前足が少し浮いた瞬間に褒めて渡す
  5. 手を少しずつ開き、手のひらへ触れる形にする
  6. 動きが安定してから「お手」の合図を付ける

一回の練習で完成させる必要はありません。数回うまくできたら終わり、次の練習へつなげます。

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お手はいつから教えられる?月齢より体調と落ち着きを見る

「生後何か月から」と一律に決めるより、ごほうびを食べられ、短い時間だけ人の近くで落ち着けるかを見ます。

子犬を迎えた直後は、環境への適応、食事、睡眠、排泄、安全な生活づくりが先です。お手は生活に必須の合図ではないため、犬が新しい家に慣れていない時に急いで始める必要はありません。

成犬や保護犬でも教えられます。公式動画でも、まだお手を知らない犬へ、小さな前足の動きを拾いながら練習しています。年齢だけで決めず、その日の体調と、短い練習で無理なく前足を動かせるかを見て進めます。

生活で優先する合図とは分ける

お手ができなくても、暮らしに必要なことができていれば「しつけができていない犬」ではありません。

日常生活では、呼び戻し、待つ、落ち着いて移動する、人や犬へ飛びつかないといった安全に関わる練習を優先する家庭もあります。

お手は、犬と一緒に取り組む短い遊びとして使えます。前足がわずかに動いた時に褒める練習なので、飼い主も小さな変化に目を向けられます。

お手と、足拭き・爪切りへ慣れる練習は同じではない

お手ができても、足拭きや爪切りを嫌がらずに受け入れられるとは限りません。

足拭きや爪切りでは、触れる場所、時間、道具が変わります。お手とは別に、犬が嫌がらずに受け入れられるよう練習しましょう。

お手ができた後も、足先へ一瞬触れて褒める、タオルを見せて褒める、触れる時間を少しずつ変えるなど、ケアの練習は別に行います。前足を引く、体を固める、顔を背ける、口が出る時は止めます。

準備するもの|ごほうび、静かな場所、滑らない床

犬が前足を動かしやすく、人も小さな変化を見やすい環境を作ります。

準備 確認すること 避けたい状態
小さなごほうび 無理なく食べられる小ささに分け、一日の食事量へ含める 噛むのに時間がかかる大きさ
静かな場所 家族の出入り、テレビ、ほかの犬の刺激が少ない 来客中、散歩直前、遊びの最中
滑りにくい床 前足を上げても体が安定する フローリングで足が開く状態
短い時間 数回できたら終える 成功するまで続ける

犬にお手を教える6つの手順

1.犬が落ち着ける姿勢を待つ

立ったままでも教えられますが、前へ飛び出しやすい犬は、おすわりをしてから始めると動きを見やすくなります。無理に腰を押して座らせず、できる姿勢を選びます。

2.ごほうびを握った手を鼻先の近くへ出す

ごほうびを握った手を鼻先へ近づけ、犬の前足を見ながら、ごくわずかに上へ動かします。手の高さは、犬が跳びつかずに片方の前足を浮かせられる位置を探します。立ち上がってしまう時は、上げすぎていないか確かめてください。

3.前足が少し浮いた瞬間を褒める

犬が握った手へ鼻を付けるだけなら、すぐに完成形を求めません。体重移動で前足が少し浮いた、片方の前足が動いたという瞬間に、短い褒め言葉をかけてごほうびを渡します。

4.手のひらに近づく動きを選んで褒める

前足を浮かせる回数が増えたら、次は人の手へ近づいた動きを褒めます。前足をつかんで手のひらへ置かず、犬が自分から動かすのを待ちます。

5.握った手を少しずつ開く

前足を出すようになったら、握った手を少しずつ開きます。手の形を変えると反応しなくなる場合は、いったん前の形へ戻してください。

6.動きが安定してから「お手」と言う

手を出すと前足を乗せる動きが増えてから、前足が動く直前に「お手」と一度だけ言います。まだ動きを理解していない段階で何度も「お手」と繰り返すと、言葉と行動の対応が曖昧になります。

松尾 ゆうと

前足が少し浮いたら、すぐ褒めます。
手のひらへ完全に乗るまで待つと、褒めるタイミングを逃してしまいます。

犬が理解しやすい教え方をつくる

褒めるタイミングは、前足が動いた直後

犬は、どの行動の後に良いことが起きたかを学びます。

鼻で握った手を押した時に渡し続けると、犬は鼻で押す行動を覚えやすくなります。前足を見たいなら、前足が少しでも動いた瞬間を選んで褒めます。

前足をつかんで持ち上げない、長く握らない

犬が分からない時に、人が前足を持ち上げて完成形を作る必要はありません。

突然足をつかまれることを嫌がる犬はいます。逃げられないように押さえる、手首を引く、前足を高く上げる、長く握る方法は避けます。

犬が前足を引っ込めたら、手のひらへ乗せる練習はいったん止め、前足が少し浮くところまで戻します。前足が床から浮くだけ、手の近くへ動くだけでも学習の途中です。

褒めるたびに犬の興奮が強くなる時は、声かけと接し方の使い分けも確認してください。

犬を褒めると興奮するのはなぜ?警察犬ドッグトレーナーが褒め方を解説

犬がお手を覚えない時に見直す7項目

困りごと まず見ること 見直し方
手を鼻で押すだけ 鼻で押した時にもごほうびを渡していないか 前足が動いた瞬間を選んで褒める
立ち上がる 手を犬の顔より高く上げていないか 手を下げ、片足が少し浮く位置を探す
後ろへ下がる 手を近づけるたびに避けていないか 手を引き、犬が避けない距離からやり直す
手を噛む 歯が手に当たる、手へ飛びつく様子がないか 手を口元へ出す練習を中止する
両足を出す 手を高く出した時に、両足が一緒に上がっていないか 手を低くし、片足が少し浮く動きを褒める
何もしない 食べない、顔を背ける、動きが止まる様子がないか 体調と環境を確認し、反応が戻らなければその日は終える
急に嫌がる 歩き方や足先に、普段との違いがないか 中止し、変化がある時は動物病院へ相談する

手の位置が高すぎると、跳びつきや両足につながりやすい

前足を上げてほしいからと手を高くすると、犬は立ち上がる、跳ぶ、両足をかける動きになりやすくなります。

片方の前足が床から少し浮く高さまで手を下げ、犬の体が前へ倒れない位置を探します。床が滑る場合は、先にマットを敷きます。

興奮して次々に行動を出す時は、一度止めて環境を変える

おすわり、ふせ、お手を次々に出す時は、何をすればごほうびがもらえるか試している場合があります。

同じ合図を連呼したり、動きを抑え込んだりせず、刺激を減らします。ごほうびを見せる時間を短くし、犬が落ち着いてから一回だけ始めます。

成功が数回続いたところで一度終えます。手から顔を背ける、後ろへ下がる、歯が当たる時も、続けて試さず中止してください。

できるようになってから、手の形と合図を整える

おやつを見せないとできない時は、手の形を少しずつ変える

ごほうびを急に消すのではなく、握った手から空の手へ段階的に移ります。

  1. 握った手の中にごほうびを入れる
  2. ごほうびを指で挟み、手のひらを少し開く
  3. 空の手を出し、反対の手からごほうびを渡す
  4. 前足が動く直前に「お手」と言う
  5. 手の合図を少し小さくする

一段階で反応が止まったら、前の形へ戻ります。おやつを見せなくても前足を出せたら、反対の手からごほうびを渡します。見せないことと、褒めないことを同じにしないでください。

「お手」と言う前に勝手に前足を出す時の整え方

前足を出せばいつでもごほうびが出る状態から、「合図の後に出す」状態へ分けます。

犬が先に前足を出した時は叱らず、一度手を引いて短く待ちます。四本の足が床に戻り、落ち着いたら、手を出して「お手」と一度だけ伝えます。

人へ前足を強くかける行動が日常で困る場合は、お手の練習場所とタイミングを限定します。人へ飛びつく場面で前足を出したことまで褒めないよう、家族で合図をそろえます。

おかわりは反対の手で、別の合図として教える

お手と同じ側の足ばかり出る時は、反対側を一つの新しい練習として分けます。

反対の手でも、前足が少し動いたところから褒める流れは同じです。

お手とおかわりを交互に急いで繰り返すと、犬が両足を勢いよく出すことがあります。片方ずつ、手を出す位置と合図を分かりやすくし、一回できたら褒めます。

足を上げない、触ると嫌がる時は痛みや違和感も確認する

以前はできたのに急に片足を出さない、歩き方が違う、足先を触ると強く嫌がる時は、トレーニングを中止します。

  • 片足を浮かせたまま歩く
  • 足先を繰り返し舐める、噛む
  • 爪や肉球に出血、腫れ、傷がある
  • 立つ、座る動作を避ける
  • 前足へ触れると鳴く、口が出る

こうした変化がある時は、教え方の問題と決めず動物病院へ相談します。痛みが疑われる状態で前足を持ち上げたり、繰り返し試したりしないでください。

日数ではなく、犬ができた段階を記録する

「何日目か」より、どの手の位置で、どこまで前足が動いたかを残します。次の練習を同じ条件から始められ、できない時に戻る場所も見つけやすくなります。

記録すること 書き方の例 次回の始め方
最初に出た反応 手の匂いを嗅いだ/前足が少し浮いた 前足が浮く直前の手の位置を再現する
環境 床が滑った/散歩前で興奮していた マットを敷く/落ち着いた時間へ変える
終えた段階 2回続けて前足が動いた/途中で手を避けた 同じ段階から始める/一つ前へ戻す

覚える速さには個体差があります。初日は、手の匂いを確認するところまででも構いません。

よくある質問

おすわりができないと、お手は教えられませんか?

立った姿勢でも前足を動かす練習はできます。ただ、興奮しやすい犬は、おすわりをある程度教えてからの方が動きを見やすい場合があります。おすわりを無理に押して作らないでください。

右足と左足は、どちらをお手にしますか?

家庭内で統一できれば、絶対の決まりはありません。人が出す手、犬の足、合図の言葉を家族でそろえます。

おやつを使うと、おやつがないとできなくなりませんか?

最初は正解を伝えるために使い、動きが安定したら、空の手へ変えて反対の手から渡す段階へ進みます。急にごほうびをなくすのではなく、見せ方と渡し方を変えます。

一回の練習は何分がよいですか?

決まった分数まで続ける必要はありません。数回褒めたところでいったん終えます。手を避ける、後ろへ下がる、歯が手に当たる時は、その場で中止してください。

前足を持って「お手」と言えば覚えますか?

人が足を動かすと、犬が自分で何をすればよいか分かりにくくなります。前足が自然に少し動いた瞬間から褒め、犬自身が手へ乗せる流れを作ります。

お手ができれば、爪切りもできますか?

別の練習が必要です。お手は前足を出す合図ですが、爪切りは足先へ触れる、指を支える、道具を近づける、爪へ接触する段階があります。犬の反応を見ながら分けて進めます。

まとめ:犬のお手は、小さな前足の動きを褒めて教える

お手は生活に必須ではありませんが、犬と一緒に学ぶ短いトレーニングとして楽しめます。

静かで滑りにくい場所を選び、ごほうびを握った手を鼻先近くへ出し、わずかに上へ動かします。前足が少し浮いた瞬間を褒め、手のひらへ近づく動きを選び、手を少しずつ開きます。「お手」の言葉は、動きが出るようになってから付けます。

人が前足を持ち上げる、長く握る、高い位置へ誘導することは避けます。急に前足を出さなくなった、歩き方に左右差がある、触ると嫌がる場合は練習を中止し、体調を確認します。

お手のほかに生活で使う合図を知りたい方は、コマンドの一覧をご覧ください。

犬のしつけコマンド一覧|警察犬ドッグトレーナーが意味と使い方を解説

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