犬のしつけの順番と最初にすること|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬を迎えたら、最初から「おすわり」「待て」を何度も求めるより、落ち着いて休める場所を整え、食事や遊びを通して関わるところから始めます。
名前やトイレの練習は、その暮らしの中で少しずつ進めていきましょう。
信頼関係ができるまで、ほかの練習を待つ必要はありません。
名前を呼ぶ、短く体に触れる、合図を教える。
それぞれ犬が無理なく参加できるところから取り組みます。
食事・排泄・休息が必要な時は、その世話を先にしてください。
この記事の目次
日々の世話や遊びと、合図の練習をどう進めるかは、ゆうと先生の動画でも解説しています。
信頼関係が完成するまで待つのではなく、犬の反応を見ながら関わっていく考え方を紹介しています。
暮らしと短い練習を並行して進める
「名前は分かるけれど、足を触られるのは苦手」「おすわりはできるけれど、外では呼んでも振り向かない」。
覚えていることと苦手なことは、犬によって違います。
一つの練習を終えてから次へ進む、と決めなくても構いません。
トイレに誘導する、休む場所を用意する、飼い主さんとのやり取りに慣れてもらうことは、迎えた日から並行して進めます。
日々のお世話や遊びと、名前・合図の練習は並行して進められます。
できる動きを増やすことだけを急がず、犬が自分から関われるか、途中で離れようとしていないかも見てください。
| 進める項目 | 最初にすること | 難しい時の戻り方 |
|---|---|---|
| 暮らしの準備 | 食事・排泄・休む場所を整える | 合図より、その時に必要な世話を優先する |
| 名前の練習 | 静かな場所で、こちらを向いた反応をほめる | 呼び続けず、周囲の刺激を減らす |
| 体に触れる練習 | 嫌がらない場所へ短く触れ、手を離す | 顔を背ける・体が固まる反応が出たらやめる |
| 合図の練習 | その日に使う行動を一つ選ぶ | 前にできた場所と簡単な動きへ戻す |
名前・トイレ・ハウスなど、項目別の教え方は基本のしつけの記事で紹介しています。
日々の世話と遊びから関わる
練習の前に、薬や電池、ひもなど犬が口に入れそうな物を片づけ、玄関や窓から出られないようにします。
危ない物を置いたまま「待て」で防ごうとせず、届かない場所へ移してください。
子犬に限らず、成犬や保護犬を迎えた時も、まず休める場所と食事・排泄の流れを整えます。
知らない場所で反応が違っても、過去の飼われ方を決めつけず、今どの距離や場所なら無理なく過ごせるかを見ていきましょう。
犬が自分から近づける距離で、穏やかに声をかけます。
好きな遊びを一緒にする、ごはんや水を用意する、静かに休めるようにする。
関わる時間は、練習中だけではありません。
触ろうとしたときに顔や体をそらすなら、そこで手を止めましょう。
後を追って抱き上げたり、顔をつかんで目を合わせたりせず、犬が離れられるようにしておきます。
「信頼されているか」を確かめるために、嫌がることを我慢させる必要はありません。
自分から近づいてきた、一緒に遊べた、といった様子を見てください。
名前を呼んだら、こちらを向く練習
名前の練習は、静かな室内で始めます。犬がこちらを見たら、すぐにごほうびを渡しましょう。
振り向くやり取りに慣れたら、名前を一度呼び、こちらを向いたところでごほうびを渡します。
反応がないときは、何度も名前を呼ぶより、周囲の音や動きが気になっていないかを見てください。
静かな場所で、こちらを向いたらごほうびを渡す練習に戻します。
名前を呼ぶ練習で見るのは、こちらに注意を向けたかどうかです。
甘える、抱っこを求めるといった反応がなくても、それだけで名前を覚えていないとは言えません。
体に触れる練習は、嫌がらない範囲で
体に触れる練習は、犬も飼い主さんも落ち着いているときに行います。
ここでいうボディコントロールは、体を押さえ込むことではなく、足拭きやブラッシングなどに必要な接触に慣れてもらう練習です。
ふだん触られても嫌がらない部分に短く触れ、手を離してからごほうびを渡します。
顔をそらす、体を固くする、離れようとする反応が出たら、そこでやめてください。
触る場所も時間も、最初から増やしすぎないようにします。
「どこを触っても嫌がらない状態」を目標にして、無理に触り続けないでください。
強く怖がる、唸る、噛もうとする場合は家庭で練習を続けず、獣医師に相談します。
急に触られるのを嫌がり始めたときも、痛みや体調の問題がないか確認してもらいましょう。
使う合図を一つずつ教える
「おすわり」「おいで」など、してほしい行動を伝える合図をコマンドと呼びます。
名前や体に触れる練習がすべて終わるのを待たず、暮らしで使う合図から短く教えていきます。
- おすわり
- 待て
- 伏せ
- おいで
- ついて
- お手、おかわり
全部を一度に教えなくても構いません。
「お手」「おかわり」までできなければ、しつけができていないということでもありません。
例えば、室内で無理なく座れる犬なら、まずは短い「おすわり」の練習から始められます。
ただし、座ることを嫌がる犬に姿勢を求め続けません。
急に座らなくなった、立ち上がりにくいなどの変化があれば、練習より先に獣医師へ相談してください。
合図は上下関係を示すためのものではなく、具体的な行動を伝えるために使います。
座れたらごほうびを渡す、こちらに来たらほめる、といったやり取りを重ねます。
合図ができても、外ではリードや周囲の安全確認を省かないでください。
うまくいかない時は、場所と練習の長さを戻す
家ではできるのに、玄関や散歩先ではできない。
そんなときは、合図を忘れたと決めつける前に、練習する場所を見直します。
静かな部屋と、人や犬が行き来する外では、気になるものの多さが違います。
時間のノルマを作らず、反応を見て休む
練習の長さは、犬がこちらに注意を向け、参加できているかで調整します。
「5分できるまで続ける」といった時間のノルマは設けません。
反応が鈍くなる、その場から離れようとする、といった様子が見られたら休憩します。
できていた練習に戻し、短い時間で切り上げて構いません。
眠っているときや、食事・トイレが必要なときは、そちらを優先してください。
家族で言葉とご褒美のタイミングをそろえる
家族でそろえるのは合図だけではありません。
玄関を開ける時の犬の居場所、眠っている犬に触れないこと、食事中の器に手を出さないことなど、暮らしのルールも共有します。
犬に我慢を求める前に、家族ができる準備からそろえてください。
同じ行動には、家族で同じ言葉と身振りを使います。
例えば「おすわり」と「すわれ」を人によって使い分けず、一つにそろえて教えましょう。
「おすわり、伏せ、待て」と続けて言うより、今教える行動を一つに絞ります。
できた直後にほめ、ごほうびを渡すところまで家族でそろえると、教え方がぶれにくくなります。
家族で使う言葉が違うときは、日英のコマンド一覧と合図の統一方法を参考にしてください。
怒りたくなったら、その回の練習を終える
うまくできないときは、大きな声で怒ったり、体を押して動かしたりせず、練習をやさしくすることから考えます。
静かな部屋ではできたなら、その場所へ戻してやり直してください。
例えば「人が来ると呼んでも振り向かない」「遊んだ後は落ち着いて練習できた」のように、できた場面と難しかった場面を分けてメモしておきます。
「言うことを聞かない」でまとめるより、次に変えることが見えてきます。
飼い主さんが疲れて、声が大きくなりそうな日は切り上げて構いません。
休んでから、前にできた練習へ戻りましょう。
次の練習では、できた条件を一つ残す
犬を迎えた日から、名前・トイレ・短い接触の練習は暮らしの中で始められます。
すべてを順番どおりに完成させようとせず、今できることと苦手なことを分けて進めてください。
次の練習では、犬がこちらを見たか、触れると離れようとしたか、どの場所なら合図に反応できたかを見てみましょう。
うまくいかないときは厳しさを足すのではなく、場所や練習の長さ、触り方を見直します。
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