犬のトイレのコマンドと教え方|警察犬ドッグトレーナーが解説

「ワンツー」と声をかけても、犬がトイレをしてくれない。
そんな時は、声を大きくしたり、同じ言葉を繰り返したりする前に、合図を教えるタイミングを見直しましょう。
トイレのコマンドは、排泄と言葉を結びつけて教える合図です。
最初から言葉だけでさせるのではなく、いつもの場所で排泄が始まる時に穏やかに声を添え、終わった直後に褒めるところから始めます。
すでに言葉を決めているなら、そのまま使ってかまいません。
まだ決めていない場合は、家族が同じように言える短い言葉を一つ選んでください。
この記事の目次
こちらの動画では、成犬のトイレの悩みを取り上げています。
排泄と言葉を結び付ける考え方も紹介していますが、合図を覚えていても、尿意のないときに排泄を求めたり、長く我慢させたりしないでください。
トイレのコマンドでできることとできないこと
合図を覚えると、いつものトイレへ連れていった時や、外出前に排泄の機会をつくる時に役立ちます。
ただし、尿意や便意がない時まで排泄させたり、知らない場所でも必ず成功させたりするものではありません。
「合図を覚えていないから失敗する」とも限りません。
場所をまだ覚えていない、トレーに入りにくい、汚れたシートを避けているなど、声かけ以外の条件も確認しましょう。
声をかける前に、トイレへ行きやすく、落ち着いて使える場所を用意しましょう。
床が滑る、人の通り道に近い、トレーが狭いといった条件も見直します。
トイレの合図を教える手順
練習するのは、犬が普段使っているトイレです。
場所、シート、声かけを一度に変えず、排泄できている条件から始めましょう。
排泄しそうな時にいつものトイレへ
寝起きや食後、遊んだ後などは、排泄の様子を見ておきたいタイミングです。
どの犬も同じ時刻にするわけではないので、生活の流れと実際の排泄を見比べてください。
床のにおいを嗅ぐ、落ち着かず歩き回る、姿勢を低くするなどの様子があれば、いつものトイレへ静かに案内します。
すでに排泄が始まっていたら、大声で止めたり、慌てて移動させたりせず、終わるまで落ち着いて待ちましょう。
トイレに来ただけで、すぐ合図を連呼する必要はありません。
自分でにおいを嗅いだり、姿勢を決めたりできるよう、そばで静かに見守ります。
排泄が始まる時に言葉を添える
最初は、排泄が始まる時に、決めた言葉を穏やかな声で添えます。
「ワンツー」「チッチ」「トイレ」など、家族が使いやすい言葉でかまいません。
この段階では、言葉で排泄を命じるというより、今していることに名前をつけるつもりで声をかけてください。
犬がこちらを振り向いたり、姿勢を変えて排泄をやめたりするなら、声が大きすぎないか、近づきすぎていないかを見直します。
排泄中ずっと言い続けたり、指を目の前で回し続けたりする必要はありません。
声を添えた後は、終わるまで静かに待ちましょう。
いつもの場所でこの練習を重ねたら、排泄しやすいタイミングにトイレへ案内し、始まる前に合図を出してみます。
しなければ何度も言い直さず、排泄が始まる時に言葉を添える練習へ戻してください。
| 犬の様子 | 飼い主がすること |
|---|---|
| トイレへ来て、においを嗅いでいる | すぐに連呼せず、落ち着いて姿勢を決められるよう待つ |
| 排泄が始まった | 決めた短い言葉を、穏やかな声で添える |
| 声に反応して排泄をやめた | 静かに待ち、次の機会には声や距離を見直す |
| 排泄が終わった | その場ですぐ、静かに褒める |
終わった直後にその場で褒める
褒めるのは、排泄が終わった直後です。
大きな声で驚かせず、その場で穏やかに伝えましょう。
途中で呼び寄せたり、ご褒美を見せて姿勢を崩したりしないようにします。
トイレから離れて別の部屋へ来てからご褒美を出すと、褒めた行動が分かりにくくなります。
すぐに応えられるよう準備しておき、排泄が終わった場所で伝えてください。
おやつを使う場合も、実際に尿や便が出て、終わったことを確認してから渡します。
姿勢だけ取ってご褒美を待つようなら、おやつを見せず、終わった直後の静かな声かけへ戻してください。
食事制限やアレルギーがある場合は、使ってよい食べ物を獣医師に確認します。
褒めるために急に抱き上げたり、頭を強くなでたりする必要はありません。
使用済みシートを残すより清潔に保つ
合図を覚えさせるために、汚れたシートを「失敗がなくなるまで」残しておく必要はありません。
尿や便で汚れた部分は片付け、足が濡れたり汚れたりしないよう、使いやすい状態を保ちましょう。
においを残す方法を試す前に、トイレの場所が毎回変わっていないか、犬が入りやすいか、汚れた面を避けていないかを確認してください。
声かけの練習と衛生管理は分けて考えます。
別の場所で失敗した場合も、犬を叱ったり、排泄物に鼻を近づけたりしません。
犬が離れたところで落ち着いて片付け、床材に使えるペット用の清掃用品を、製品表示に従って使いましょう。
合図を覚えない時に見直すこと
合図に反応しない日があっても、それだけで練習の失敗とは決めません。
「言葉をまだ覚えていない」のか、「今は排泄したくない」のか、「その場所では落ち着けない」のかを分けて考えましょう。
いつもの場所ではできるのに、旅行先や別のトイレではできない場合、言葉を変えるより先に、足元の素材や周囲の人の動きなど、普段との違いを確認します。
合図だけで、場所への慣れまで省けるわけではありません。
家族で同じ言葉を使う
家族で「ワンツー」と「トイレ」を日替わりにしたり、一度の練習でいくつも言ったりせず、一つにそろえましょう。
日本語か英語かより、毎回同じ場面で同じ言葉を使うことを優先します。
合図を言う場面も共有してください。
トイレに案内する時から言い続ける人と、排泄が始まる時に言う人がいるなら、まず後者にそろえて練習します。
家族が不在の間や、気づかないうちに自分でトイレを済ませた時まで、声かけをやり直す必要はありません。
気づいた時の排泄で、無理なく練習を続けてください。
言葉だけでなく、案内する場面と褒めるタイミングも家族で共有しましょう。
手を動かさず落ち着いて待つ
トイレの場所へ案内する動きと、排泄の合図は別です。
人について歩くことや、手の方を見ることができても、それだけで排泄の言葉を覚えたことにはなりません。
手を回すたびに犬が顔を上げたり、遊ぼうとしたりするなら、その動きはやめてみましょう。
排泄の姿勢に入った犬へ触ったり、のぞき込んだりせず、落ち着ける距離で見守ります。
しない時に、トイレへ押し戻したり、出るまで閉じ込めたりしないでください。
いったん練習を切り上げ、その後の様子を見ながら、次の排泄の機会を逃さないようにします。
声の大きさは犬の反応に合わせる
「おとなしい犬には大きな声」といった性格だけの決め方はしません。
穏やかな声で始め、声をかけた直後の犬の様子を見て調整しましょう。
振り向く、体が固まる、その場から離れる、排泄を中断するなどの変化があれば、声を強くするのではなく、まず静かに待ちます。
次の機会には声を小さくし、人が少し離れるなど、一つずつ条件を変えてください。
反応がなくても、耳が聞こえにくいのか、言葉との結びつきがまだないのかを、その場の様子だけで決めつけないでください。
日常の音への反応にも変化がある場合は、獣医師に相談しましょう。
今日からの練習と相談の目安
次の排泄では、使う言葉を一つに決め、始まる時に穏やかに添えてみてください。
終わった直後にその場で褒められるよう、先に準備しておきましょう。
覚えないと感じる時は、「声をかけた場面」「その場所で排泄できたか」「声をかける前後の様子」を短く残すと、見直す点が分かりやすくなります。
日数だけで期限を決めず、できている条件と難しかった条件を比べてください。
排泄姿勢を何度も取るのに尿がほとんど出ない、血が混じる、痛そうに鳴くなどの様子があれば、合図の練習を続けず、すぐに動物病院へ連絡してください。
急に失敗が増えたり、尿の回数・量が変わったりした場合も、しつけだけの問題と考えず獣医師に相談します。
体調に問題がなくても、トイレを避ける、声かけで強く怖がる、家族が対応に困っている場合は、普段の様子や練習の記録を持ってドッグトレーナーに相談してください。
大きな声で何度も促す前に、犬が落ち着いて排泄できる条件を一緒に見直しましょう。
関連する記事
トイレの広さや清潔さを見直すときは、シート選びと衛生管理の記事をご覧ください。
トイレへ来ない・途中で止まる場合は、誘導の手順をこちらで確認できます。
家族で練習の進め方をそろえるときは、しつけの順番と基本も参考にしてください。
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