犬のふせの教え方とできない時の対処|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ
犬にふせを教える東京DOGS公式動画のサムネイル

犬の「ふせ」は、肩や背中を押さず、おやつを持った手の動きについて来てもらい、胸と両肘が床についた瞬間を褒めて教えます。

最初から「ふせ」と何度も声をかける必要はありません。滑りにくい床で、まずは犬が手を追えるかを確認します。手を床へ下げる途中で頭が下がった、前足が曲がった。そこまででも、今の犬に伝わっている動きなら一度褒めて構いません。

一方、昨日までできていた犬が急に伏せなくなった時は、練習のやり直しより身体の確認が先です。立ち上がりにくい、歩き方が変わった、触られるのを避ける、食欲まで落ちている場合は、その日は練習をやめて動物病院へ相談してください。

この記事の目次

手の下げ方と、そこから少し上へ返す動きは動画でも確認できます。ゆうと先生が、フレンチブルドッグとジャックラッセルテリアを例に説明しています。

松尾 ゆうと

教える前に、まず手へ注目してもらいます。
動画では、おやつを持った手を追えたら渡すところから始めています。

動画では、鼻先の手を下へ動かし、その後に少し上へ返してお尻を下げる流れを説明しています。

2頭目は1頭目と動き方が違うものの、手で誘導する考え方は同じだと解説しています。手の位置だけをまねるのではなく、犬が無理なく動けているかを見ながら進めてください。

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犬の「ふせ」は、押さずに6つの手順で教える

手を追う、床へ誘導する、伏せた瞬間を褒める、言葉を付ける、見せるおやつを外す、手の合図を小さくする。この6段階に分けます。

段階 犬に伝えること 次へ進む目安
1 おやつを持った手を追う 数センチの動きについて来られる
2 鼻先と手を床へ下げる 頭や胸を無理なく下げられる
3 胸と両肘が床につく 伏せた瞬間に報酬を受け取れる
4 「ふせ」の言葉と動きを結び付ける 手の誘導なら迷わず伏せられる
5 空の手でも動く できた後の報酬を待てる
6 手の合図を少しずつ小さくする 場所を変えず、小さな合図で動ける

一度で完成させる必要はありません。犬が途中で立ち去る、手に飛びつく、床へ身体を下げにくそうにするなら、回数を増やすのではなく一つ前の段階へ戻します。

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ふせを始める前に、床・身体・報酬を確認する

犬が伏せない時、教え方だけを直す前に「伏せても安全で楽な条件か」を確認します。

足が滑らず、胸や肘をつけられる床か

フローリングで前足が開く犬には、マットやカーペットを敷きます。冷たい床や濡れた地面、硬いコンクリートを避ける犬もいます。室内ではできるのに玄関や屋外で伏せない時は、合図より先に足元を比べてください。

急な痛みや体調変化がないか

急に伏せなくなり、立ち上がり方や歩き方にも変化がある時は、練習を中止して動物病院へ相談してください。

すぐ食べられる報酬と短い時間を用意できるか

おやつは、その犬が無理なく食べられる小ささに分けます。食事制限や持病がある犬は、使える食材と一日の量を獣医師へ確認してください。

食べ物よりおもちゃが好きなら、短い遊びを報酬にできます。練習は「できるまで」ではなく、数回うまくいったところで区切ります。

犬のふせの教え方|家庭で進める6つの手順

一度に変えるのは一つだけです。手の動き、言葉、報酬、場所を同時に難しくしません。

手順1.おやつを持った手を追えるか確かめる

鼻先へ手を近づけ、右、左、下へ数センチ動かした時に自然について来られるかを見ます。

追って来たら短い褒め言葉を入れて、おやつを渡します。最初から床まで動かしません。手へ飛びつく、歯を当てる、顔をそらす時は、動かす距離を短くします。

手順2.鼻先から床へ、手をゆっくり下げる

犬の鼻先と手の距離を近く保ち、前足の間へ向かってゆっくり下げます。

手を犬から遠ざけると、立って前へ歩きやすくなります。頭が下がった、前足が曲がった、胸が少し下がった段階で一度褒めても構いません。完全なふせだけを待つと、今できている動きを伝えにくくなります。

松尾 ゆうと

手は下へ動かし、犬の姿勢を見て少し上へ返します。
動画の2頭では、頭の動きに合わせて後肢が下がる位置を作っています。

手順3.胸と両肘が床についた瞬間を褒める

胸と両肘が床についた瞬間に「そう」「いいね」など短い言葉を入れ、すぐに報酬を渡します。

立ち上がった後におやつを出すと、犬には「立った動き」が正解として残ることがあります。最初は長く伏せさせず、床についた一瞬を伝えたら一度解除します。報酬は床に近い位置で渡すと、頭が急に上がりにくくなります。

手順4.動きが分かってから「ふせ」と言う

手の誘導で迷わず伏せるようになったら、「ふせ」と一度言い、その後に手の合図を出します。

「ふせ」と言ってから、犬が分かる手の合図を出します。反応がない時も言葉を続けて重ねず、いったん休み、手の動きが分かる段階へ戻します。まだ誘導で迷うなら、先に手を追って伏せる練習を続けてください。

手順5.おやつを見せた手から、空の手へ変える

数回安定して伏せられたら、空の手で同じ動きを出し、できた後に反対の手から報酬を渡します。

いきなり報酬をなくすのではありません。先に「見せるおやつ」を外し、成功した後の報酬は続けます。動画では、おやつを持つ状態から段階的に減らす流れを説明しています。

手順6.手の動きを少しずつ小さくする

床まで下げていた手を、まずは少し手前で止めてみます。犬が伏せられる範囲で、動かす距離を少しずつ短くします。

手の動きを小さくする日は、場所や待つ時間を変えません。言葉だけで一度できても、外や初めての場所で同じようにできるとは限りません。条件が変わったら、大きく分かりやすい手の合図へ戻します。

犬がふせをできない時は、見えている動きから原因を分ける

「覚えない」「嫌がる」で終わらせず、頭、お尻、足、視線、食べ方のどこで動きが止まるかを見ます。

頭は下がるのに、お尻が上がる

手を前へ引きすぎている可能性があります。犬の前へ逃がさず、前足の間に近い位置へ戻します。それでも難しい時は、頭を下げたところ、前足が曲がったところを一度褒めます。犬種や体格によって動きやすい位置は違うため、数センチ単位で探します。

後ろへ下がる、手から離れる

壁へ追い込まず、手を数センチ追っただけで褒める段階へ戻します。手が速い、顔へ近づけすぎている、床が滑る、おやつへの興味が低い、周囲が気になる。複数の条件が重なっていることもあります。犬が離れたら追いかけず、その回は終えて構いません。

おすわりの後でしか伏せない

「おすわり→ふせ」という順番を覚え、ふせだけの合図を聞き分けていない可能性があります。形が分かった後は、立った姿勢や人が横にいる状態からも練習します。開始姿勢を変える日は、床と場所を変えません。

おすわりができるまで、ふせの練習を待つ必要はありません。開始姿勢を変えても、身体を押したり前足を引いたりせず、手について来られるところから教えます。

家ではできるのに、外では伏せない

地面の温度や材質、音、人や犬との距離が室内と違います。熱い路面、濡れた地面、通行の多い場所で無理に伏せさせません。室内で使っているマットを玄関の内側へ移し、次に静かな屋外へ持ち出すなど、足元と刺激を一つずつ変えます。

子犬のふせはいつから?月齢だけで開始日を決めない

健康に問題がなく、落ち着いて食べ、短い間、人の手を追えるなら、頭を床へ下げる遊びから始められます。

迎えたばかりの子犬は、家に慣れる、眠る、食べる、排泄することが先です。眠い、食べない、周囲が気になって落ち着かない日は練習日にしません。

生後何か月まで待つ、半年を過ぎるまで教えないという一律の線引きではなく、その日の体調と集中できる長さを見ます。

成長期の歩き方や関節に心配がある犬、治療中や手術後の犬は、伏せ姿勢を求めてよいか獣医師へ確認してください。

ふせは服従の証ではなく、暮らしで使える姿勢

ふせができることと、飼い主への愛情、信頼、上下関係は同じではありません。

合図で伏せられると、動物病院の待合室、ドッグカフェ、マットの上で待つ練習へつなげられます。動画でも、カフェや獣医師の待合での待機を使い道として挙げています。ただし、周囲が怖い、床が滑る、身体が痛い時に「ふせ」で解決しようとしません。

おすわりだけから始めず、開始姿勢と環境を広げる

最初は教えやすい姿勢で構いません。犬が動きを理解した後は、立った状態、人が横にいる状態、別のマットへと条件を一つずつ変えます。毎回同じ順番で始めると、その順番全体を手がかりにする犬がいます。

松尾 ゆうと

いつも、おすわりの姿勢から始めないようにします。
動画では、立った状態や環境を変えた練習まで想定しています。

新しい姿勢から始める日は、同じ部屋、同じ床、同じ報酬を使います。外へ移す日は、開始姿勢や待つ時間を元へ戻します。「どこでもできる」を急がず、犬が何を手がかりにしているかを確認しながら広げます。

「ふせ」「待て」「落ち着く」は分けて教える

ふせの姿勢ができても、長く待つことや周囲を気にせず休むことまで自動的に身につくわけではありません。

姿勢を保つ練習では、伏せたまま短く待てたところで報酬を渡し、その後に解除します。報酬を立ち上がった後に渡すと、待つ姿勢を伝えにくくなります。

待つ時間に慣れてから人が少し動き、周囲の刺激は最後に変えます。時間、距離、刺激を同時に増やしません。

カフェや待合室で休むことが目標なら、ふせの後にマットで落ち着く練習を重ねます。呼吸が落ち着き、自分から姿勢を崩して休む状態と、合図で身体を止めている状態は分けて見ます。

褒めた後に立ち上がったり跳びついたりする時は、落ち着いた声かけと接し方の使い分けも確認してください。

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犬のふせで、やってはいけない教え方

背中や肩を押す、前足を引く、リードで頭を下げる、犬が離れても追いかける方法は使いません。

  • 「ふせ」を何度も繰り返す
  • 肩や背中へ体重をかけて押す
  • 前足をつかんで前へ引く
  • 首輪やリードを下へ引く
  • 滑る床で何度も姿勢を取らせる
  • 食べない犬を空腹にして続ける
  • 伏せた後も長く待たせ、立つまで終わらせない

家族でそろえるのは、言葉より「正解の基準」

「ふせ」「ダウン」「伏せて」のどれを使うかだけでなく、胸と両肘が床についたら褒める、合図は一度、押さない、終わりの言葉を決めるという基準を共有します。

最初に頭を下げる動きを褒める段階と、伏せた姿勢を褒める段階を、家族でそろえます。途中までできた動きを褒めること自体が間違いなのではありません。

紙に「今の段階・合図・手の形・褒める瞬間・解除」を書いておくと、誰が練習しても同じところから始められます。

「ふせ」と「Down」を家族で使い分けるときは、合図の統一方法も確認してください。

犬のしつけは英語?日本語?コマンド一覧|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のふせでよくある質問

おすわりができないと、ふせは教えられませんか?

おすわりから始めると動きを作りやすい犬はいますが、必須ではありません。立った姿勢から手を前足の間へ下げ、胸が床へ近づく動きを褒める方法もあります。どちらでも、犬が滑らず自分で姿勢を変えられることを優先します。

何日で覚えますか?

必要な日数は、体調、床、報酬への興味、過去の経験、練習する環境で変わります。日数を期限にせず、手を追える、頭を下げられる、両肘がつく、合図の後に動けるという段階ごとに確認します。

おやつがないと伏せません。失敗ですか?

見せるおやつを空の手へ変える途中です。空の手で同じ合図を出し、できた後に別の手から渡します。見せ方と渡す頻度を同時に変えず、犬が迷わない幅で進めます。

外で伏せないのは、わがままですか?

室内とは、地面、温度、音、人や犬との距離が違います。熱い路面や濡れた地面で無理に伏せさせず、いつものマットと静かな場所から練習します。犬が周囲を警戒して食べ物を受け取れない時は、ふせより距離を取ることが先です。

伏せたまま長く待たせるにはどうすればよいですか?

ふせの姿勢とは別に、短く待っている間に報酬を渡す練習から始めます。その後に解除して休憩します。時間が伸びたら人との距離、次に周囲の刺激を変え、犬が立ち上がってしまう時は待つ時間を短く戻します。

まずは手を追う練習から始める

犬のふせは、滑りにくい床で手を追う練習から始め、鼻先を床へ誘導し、胸と両肘がついた瞬間を褒めます。

今日は、おやつを持った手をゆっくり動かし、犬が追って来られるかを見てください。床まで下げにくければ、頭が少し下がったところを褒めます。伏せる動きが分かってから言葉を付け、見せるおやつと手の合図を少しずつ減らします。

肩を押す、前足を引く、リードで下げる、何度も合図を言う方法は使いません。急に嫌がる、立ち上がりにくい、歩き方や食欲まで変わった時は練習を止め、動物病院へ相談してください。

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