犬のストレスサイン8選|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬のしつけ
東京DOGS 褒めるしつけトレーニング

犬があくびをした、鼻をなめた、地面のにおいを嗅いだ。その一度だけで、ストレスがたまっているとは判断できません。眠い時にもあくびは出ますし、におい嗅ぎは自然な探索でもあります。

確認したいのは、直前に何があり、体全体がどう変わり、離れた後に普段の行動へ戻れたかです。よく見られる8つの仕草と、その場での関わり方を整理します。

当コンテンツの運営、執筆は東京DOGSが行っています。 詳細は、コンテンツ制作ポリシー、プライバシポリシーを参照ください。

最初に見る4つ|直前・体全体・繰り返し・回復

家庭で観察する時は、次の4点をメモします。

  • 直前:人、犬、音、接触、留守番の準備など、何が起きたか
  • 体全体:耳、目、口、しっぽ、重心、動き、呼吸がどう変わったか
  • 繰り返し:一度で終わったか、同じ場面で続いたか
  • 回復:刺激から離れた後、食べる、嗅ぐ、休むなど普段の行動へ戻れたか

記録の例なら、「掃除機を出すと体を低くしてあくびをした。別室へ移ると水を飲んで横になった」のように、前後の様子まで書きます。

距離を広げる、音を小さくする、体調の確認を先にするなど、次に何を変えるかの手がかりになります。

記録は、仕草が出る前の様子も残します。すでに撮れた映像や、その場で安全に記録できたメモを使ってください。撮影のために犬が嫌がる場面を再現する必要はありません。

プロのトレーナーに無料で相談

店舗見学・初回カウンセリング無料

犬のストレスサイン8選|日常ではこう見分ける

ここで挙げる8つは、緊張や不安のある場面で見られることがある仕草です。どれもそれだけでストレスと断定するものではありません。

普段との違い、場面、複数の反応、続く時間を合わせて見ます。Dogs Trustの犬のボディランゲージ解説でも、体全体のサインと、その犬の状況を合わせて読むことが紹介されています。

1.しっぽを下げる、脚の間へ巻き込む

しっぽが普段より低い、脚の間へ入る、腰を落とす、体を小さく見せる動きは、不安や警戒のある場面で見られます。

ただし、犬種や個体によって平常時のしっぽの位置は違います。しっぽだけでなく、耳が後ろへ下がる、口が固く閉じる、重心が後ろへ移るといった変化も確認してください。

しっぽを触って上げさせようとせず、刺激から離れます。距離を広げた後に、姿勢や動きが普段に近づくかを見てください。

2.目線や顔をそらす

顔を背ける、横目で見る、まばたきが増える、相手と反対方向へ鼻先を向けることがあります。

これは「反抗」や「無視」とは限りません。正面から近づく人や犬、顔まわりへ伸びる手を避けたい時にも出ます。

目を合わせさせるのではなく、こちらが体の向きを少し外し、追いかけずに待ちます。

顔をそらした犬を追って、のぞき込まないでください。犬が離れられる通路を空けます。

3.飼い主へ強くくっつく、または距離を取る

不安な場面で飼い主の脚へ体を寄せる犬もいれば、人から離れて物陰へ入る犬もいます。近づくか離れるかは、同じ犬でも場面によって変わります。

飼い主について歩くこと自体は問題ではありません。離れると吠え続ける、物を壊す、排泄する、落ち着けないという反応が重なるなら、留守番や分離に関する評価が必要です。

留守番中だけ吠える、歩き回る、物を壊す場合は、犬の留守番の環境と練習も見直してください。一律に我慢させず、一人になった前後の様子から考えます。

4.体をぶるぶる振る

雨で濡れた後や、寝起き、被毛に違和感がある時にも犬は体を振ります。一方、診察や抱っこ、犬同士の接触が終わった直後に見られることもあります。

「体を振った=強いストレス」と数えるのではなく、何が終わった直後だったかを記録します。

耳を頻繁に振る、頭を傾ける、耳を掻くなどの変化が続く場合は、ストレスと決めつけず動物病院へ相談します。においや分泌物があるかも、分かる範囲で伝えてください。痛がる犬の耳を、無理に触って調べる必要はありません。

5.急に地面や空気のにおいを嗅ぐ

犬がにおいを嗅ぐのは自然な探索です。散歩中に地面を嗅いでいるだけなら、すぐに止める理由はありません。

人や犬が近づいた直後や、難しい練習の最中に急ににおいを嗅ぎ始める場合は、緊張のある場面で出ているのかもしれません。におい嗅ぎだけで気持ちや目的を決めず、体の硬さや相手との距離も見ます。

松尾 ゆうと

犬が顔をそらした時に、リードで相手の方へ向かせたり、引いて近づけたりしないでください。道路や誤飲の危険がない場所で距離を取り、におい嗅ぎを妨げずに様子を見ます。

におい嗅ぎを、すべて「集中していない」と扱わないでください。人や犬が近づいた時なら、いったん距離を取り、体の硬さや目線の変化も見ます。

6.動きが止まり、体が固まる

フリーズは、おとなしく待っている状態と見分ける必要があります。体重移動が止まる、口が固く閉じる、呼吸が浅く見える、視線が固定されるなど、体全体の硬さを見ます。

この状態の犬へ手を伸ばし続けたり、抱き上げたりすると、逃げる、吠える、唸る、噛むという次の反応につながることがあります。

止まっているから受け入れている、とは考えません。

固まった時は、触って確かめようとしないでください。手を引き、進路を空け、安全な距離を取ります。

7.舌で鼻や口元をなめる

食後や水を飲んだ後にも、犬は鼻や口元をなめます。鼻をなめたという事実だけで、ストレスの有無は判断できません。

注目したいのは、顔へ手を近づけた時、首輪やハーネスを着ける時、知らない人が正面から近づいた時など、特定の刺激と重なる場合です。

一回を数えるより、顔をそらす、耳を後ろへ引く、体を低くする、離れようとするといった反応が続くかを見ます。

手を近づけた時に鼻をなめたら、いったん手を止めます。犬が近づき直すか、離れるかを待ち、触り続けないようにします。

8.場面に合わないあくびが続く

眠い時、起床後、リラックスしている時のあくびは自然です。

トレーニング中、診察台の上、写真撮影、子どもに囲まれた時などに何度も出て、同時に顔をそらす、体が低くなる、食べ物を受け取らないなら、負担が上がっている可能性を考えます。

松尾 ゆうと

あくびを「怠けている」と捉えて注意する前に、課題が難しすぎないかを見直します。練習を止める、距離を取る、休憩するなど、負担を減らしてください。

8つ以外でも、変化の重なりは見逃さない

動画では、舐め続ける、歩き回るなど、日常の変化も取り上げています。体調が関わることもあるため、動画だけでストレスと決めつけず、食欲や睡眠の変化も確認してください。

ストレスや不安のある場面では、パンティング、震え、よだれ、隠れる、逃げようとする、歩き回る、食欲の変化、排泄、過剰な吠えなどが見られることもあります。

ただし、これらも病気、痛み、気温、運動直後、薬の影響などで起こります。行動だけで原因を決めず、体調と環境を一緒に確認します。

とくに、同じ場所を繰り返し舐めて赤くなる、毛が抜ける、眠れないほど歩き回る、安静時に呼吸が荒いという変化は、単なる「気分」として待たないでください。

急な変化だけでなく、普段と違う様子が続く場合も受診の相談をします。いつから始まったか、食事・排泄・睡眠に変化があるかをメモしてください。

舐め続ける理由には、痛みや皮膚の不調なども考えられます。赤みや傷がある、休めない、いつもと違う状態が続く場合は、運動や遊びを増やすだけで対応しないでください。

サインに気づいた直後、家庭で行う5つの対応

1.まず、人の手と声を止める

触っている最中、練習中、来客との挨拶中なら、犬へ追加の課題を出す前に人の動きを止めます。

「大丈夫」と何度も顔へ近づくより、一度静かに待った方が、犬が近づきたいのか離れたいのかを確認できます。

2.刺激との距離を広げる

犬、人、音、物との距離を広げます。散歩なら道を渡る、室内なら家具やゲートで視線を遮る、来客時なら別室で休む方法があります。

怖がっている犬を、その場で慣らそうとして近づけないでください。まず、安全に離れられる道や休める場所を確保します。

3.休める場所を確保する

水、温度、滑りにくさ、音、人の出入りを確認します。クレートやベッドを使う場合は、叱った後に閉じ込める場所にしません。

犬が横になる、においを嗅ぐ、水を飲む、体の力が抜けるなど、普段の行動へ戻れるかを見ます。

落ち着かせるつもりでも、触り続けないようにします。顔をそらす、固まる、離れる反応があれば、接触をやめて休める場所を用意してください。

4.仕草の前後を記録する

安全を優先し、犬が嫌がる場面を記録のために再現しないでください。メモは、次の6項目が分かれば十分です。

  • 日時と場所
  • 直前に起きたこと
  • 最初に出た仕草
  • 同時に出た体の変化
  • 何分続いたか
  • 何をすると普段の状態へ戻ったか

無理なく残せた記録から、来客の人数、犬との距離、音、触る場所など、反応した時の共通点を探します。身体症状や危険がある時は、記録をためるために受診や相談を遅らせないでください。

5.再開するなら、ひとつ前の難しさへ戻す

食べ物を受け取らない、体が固い、逃げようとする状態で練習を続けません。

松尾 ゆうと

距離を広げる、時間を短くする、人や犬の数を減らす、音量を下げるなど、条件を一つ変えます。

その日に克服させることより、次も練習できる状態で終えることを優先します。

やらない方がよい対応

  • 目線をそらした犬の顔を追い、正面から見つめる
  • 固まった犬を「おとなしい」と考えて触り続ける
  • 怖がる対象へ抱いて近づけ、慣れるまでその場にいる
  • 吠えや唸りだけを強く叱り、直前のサインを消す
  • 食べ物を見せて、逃げたい犬を刺激へ近づける
  • 一度できたことを理由に、時間や距離を急に増やす

唸りや吠えの前に、顔をそらす、体を低くする、離れようとする反応が出る犬もいます。ただし、必ずこの順番で出るわけではありません。小さな変化が見えなくても、唸る、噛もうとする場合は近づかず、安全な距離や仕切りを使って対応してください。

人や犬、音に慣れる練習は、犬の社会化の進め方で紹介しています。今は、慣らすために刺激を強めるのではなく、落ち着ける距離を確保してください。

動物病院へ相談したい変化

行動の変化には、痛み、皮膚や耳の不調、消化器症状、呼吸器症状、神経学的な変化、加齢による変化が関係することがあります。

変化は急に現れるとは限りません。コーネル大学獣医学部の痛みに関する解説では、行動の変化が少しずつ現れる場合も紹介されています。普段と違う行動や食欲・睡眠の変化が続く場合も、獣医師へ相談してください。

次のような変化は、トレーニングだけで対応しないようにします。

  • 急に行動が変わった、または普段と違う状態が続いている
  • 触ると痛がる、歩き方や姿勢が変わった
  • 同じ場所を舐め続け、赤み、腫れ、脱毛、傷がある
  • 安静時にも呼吸が荒い、震えやよだれが続く
  • 嘔吐、下痢、食欲低下、排泄の変化を伴う
  • 夜に歩き回る、迷う、眠れないなど、シニア犬に新しい変化が出た
  • 逃走、自傷、人や犬を噛む危険がある

呼吸が苦しそう、意識や反応がおかしい、倒れる、強い嘔吐が続く場合などは、練習や撮影をせず、救急対応ができる動物病院へすぐに連絡し、受診してください。

コーネル大学の救急診療案内でも、呼吸困難や意識の異常、強い・長引く嘔吐などを緊急時の例に挙げています。

診察では、見えた行動を具体的に伝えます。「ストレスだと思う」という印象だけでなく、安全に撮れた映像と、食事・排泄・睡眠の変化を共有してください。

トレーナーへ相談する時に用意するもの

体調上の原因を確認したうえで、特定の場面で反応が繰り返されるなら、犬の行動を実際に見られる専門家へ相談します。

松尾 ゆうと

相談には、すでに安全に撮れた映像やメモを使ってください。犬が反応する前の出来事と、離れた後の様子が分かると伝えやすくなります。危険な場面を再現する必要はありません。

  • 反応が始まる距離と場所
  • 最初に出る小さなサイン
  • 飼い主がその時にしていること
  • 犬が落ち着くまでの時間
  • 最近変わった生活時間、家族、環境
  • 受診歴と、獣医師から伝えられたこと

記録の例なら、「玄関のチャイムが鳴ると窓へ走って吠える。別室へ移ると水を飲んで休む」のように書きます。音の種類、場所、移動後の様子が分かれば、相談時に状況を共有しやすくなります。

相談する場面を一つに絞ると、状況を伝えやすくなります。場所、直前の出来事、犬と人の動き、その後の様子を一緒に伝えます。

よくある質問

犬のストレスサインは、何個当てはまったら危険ですか?

個数だけでは決められません。一つでも呼吸困難や自傷など緊急性がある場合があります。一方、あくびやにおい嗅ぎは自然な行動としても出ます。

普段との差、直前の刺激、続く時間、回復、体調の変化で判断してください。

犬を撫でて落ち着かせてもよいですか?

犬が自分から近づき、体に力が入っていない場合でも、少し触れたら手を止めて様子を見ます。その場から離れられるようにし、犬が再び近づくかを確認してください。動かないことだけを、撫でてほしい合図にしないようにしましょう。

顔をそらす、鼻をなめる、固まる、離れる場合は、撫で続けず距離を取ります。「安心させるつもり」でも、触られたくない犬には負担になります。

散歩中のにおい嗅ぎは止めた方がよいですか?

安全な場所でのにおい嗅ぎは、犬の自然な探索です。すべてを止める必要はありません。

刺激を見た直後に急に嗅ぎ始めた時は、引っ張って近づけるのではなく、距離を保ちながら離れる動きへつなげます。

ストレスサインが出ても、慣らすために続けた方がよいですか?

食べ物を受け取れない、固まる、逃げる、吠え続ける状態で続ける方法は避けます。

距離、時間、音量、人や犬の数を下げ、犬が普段の行動へ戻れる条件から再開します。自宅で安全に調整できない場合は、無理に再現せず相談してください。

怖がっている犬を、「慣れるまで」とその場に留めないでください。まず距離を取り、触る、近づける、練習を続けるといった働きかけを止めます。

まとめ|仕草の名前より、前後の変化を見る

犬のストレスサインを読む時は、あくび、鼻なめ、目線、しっぽといった一つの仕草へ名前を付けるだけでは足りません。

直前に何が起きたか、体全体がどう変わったか、繰り返したか、刺激から離れた後に回復したかを見ます。

急な変化や身体症状がある時、普段と違う状態が続く時は、動物病院へ相談してください。特定の場面での反応が繰り返され、安全に対応しにくい場合は、獣医師と行動の専門家へ相談します。

犬が顔をそらしたら、手を止める。体が固くなったら、距離を取る。まずは、日常の一場面で見えた変化に気づき、無理に触ったり近づけたりしないところから始めてください。

人や犬、音に無理なく慣れるための基本はこちらです。

犬の社会化の進め方|警察犬ドッグトレーナーが解説

クンクン鳴く場面で、要求と不安、体調を分けて考える時はこちらです。

成犬の甘え鳴きへの対応|警察犬ドッグトレーナーが解説

動画でもう一度確認する

プロのトレーナーに無料で相談

店舗見学・初回カウンセリング無料

お気軽にご相談ください

店舗見学、お問い合わせ無料!
プロトレーナーが正しく、
的確にお答えいたします。