犬がふせを嫌がる原因と対処法|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬がふせをしない時は、同じ合図を繰り返す前に、普段は横になれるのか、練習の時だけしないのかを見てください。手について来ない犬と、手は追うのに体を下げない犬では、見直すところが違います。
昨日までできていた犬が急に嫌がり、歩き方や立ち上がり方にも変化があるなら、練習を止めて獣医師に相談してください。「頑固になった」「しつけが足りない」と考える前に、いつもと違う様子がないかを見ます。
この記事の目次
犬がふせを嫌がる時に見ること
まずは、普段の動作にも変化があるのか、練習の時だけ止まるのかを分けて見ます。急な変化がある日は練習を中止し、練習の時だけ難しいなら床や周囲、手の動きを見直してください。
ゆうと先生の動画では、姿勢を教える前に手へ注目する練習を紹介しています。手を追わないのか、追う途中で止まるのかを、愛犬の様子と比べながら見てください。
家庭では、犬が自分で動く範囲で進めてください。肩や背中を押して姿勢を作ったり、嫌がる動きを繰り返させたりしません。
いつから、どこで、どの動きが難しくなったのかを確かめます。次の表は原因を診断するものではなく、練習を続ける前に見る点をまとめたものです。
| 困っている場面 | 最初に見る点 | 対応 |
|---|---|---|
| 練習ではしないが、普段は横になる | 床、周囲、手への反応と普段の様子 | 体調の変化がなければ、やりやすかった条件へ戻す |
| 家ではできるが、外ではしない | 音、人や犬との距離 | 刺激から離れ、その回は終える |
| 手は追うが、途中で動きが止まる | 鼻が手から離れる位置、足の滑り | 動かす幅を小さくし、できた動きを褒める |
| 急にしなくなり、普段の動作も変わった | 歩き方、立ち上がり、食欲 | 練習を中止し、獣医師に相談する |
普段横になれるからといって、体の不調まで除外できるわけではありません。いつもと違う動きがあれば、練習の工夫だけで解決しようとしないでください。
床と周囲の様子を見る
足が滑る、マットがずれる、人や犬の動きを目で追い続ける。そうした様子があれば、今の場所で合図を繰り返さず、足元が安定する静かな場所へ移ります。滑った動きを、確認のためにもう一度させなくて構いません。
家ではできていたのに、散歩先ではできないこともあります。家で覚えたことがなくなったと考える前に、床や周囲がどう違うかを見てください。
周囲ばかり気にしている犬に、次々と合図を出さないようにします。耳や尻尾だけでなく、表情や体全体の動きも見てください。
尻尾を振る、口を開けるなど、一つの動きだけで「安心している」とは決めません。手を避けたり唸ったりする犬には触り続けず、その回の練習を終えます。
床や体調に問題がなく、初めて教える手順を確認したい方は、ふせの基本の教え方をご覧ください。
食事と遊び、休息のタイミングを見る
遊びの最中や、寝ているところを起こして練習を始めても、犬が人の手に注意を向けるとは限りません。手を見ない、離れていく、休もうとする。そんな時は切り上げます。
いつもの食べ物を受け取らない時も、「もっと良いおやつが必要」とは決めつけないでください。周囲が気になるのか、休みたいのか、普段と体調が違うのかを見ます。練習のために食事を抜いたり、疲れ切るまで運動させたりする方法にはしません。
以前できたのに急に変わった場合
歩き方、座り方、立ち上がり方、食欲にも変化がないか、日常の中で見てください。いつもと違う様子があれば、ふせの練習は中止します。
触れられるのを嫌がる、以前はなかった唸りが出るといった変化も、獣医師へ伝える手がかりになります。
ただし、痛む場所を探すために体を押したり、嫌がる動きを繰り返させたりしないでください。ふせをしないという反応だけで、特定の病気を診断することはできません。
ふせの練習を再開する時の進め方
体調に気になる変化がなく、練習の時だけ難しい場合は、前にできた動きへ戻ります。手を見ないなら、手へ注目する練習から始めます。
手は追うのに途中で止まるなら、手を動かす幅を小さくしてください。治療中や運動制限がある犬は、担当獣医師の指示が先です。
場所、手の動き、声の合図を一度に変えず、一つ変えた時の反応を比べてください。
静かで滑りにくい場所から始める
以前できていた場所なら、何が変わったかを比べやすくなります。人の出入りや音を減らし、犬が自分で動ける広さを取ってください。
犬が周囲を見続けている時は、合図を増やすより休ませます。「外でできないから社会化が足りない」とは、この場面だけでは判断できません。家でできるようになってから条件を少しずつ変え、難しそうなら前の条件へ戻します。
手を追うところと姿勢を変えるところを分ける
冒頭の動画では、おやつを持った手を追う練習から始め、誘導する手の動かし方も説明しています。嫌がる犬に試す時は、動画と同じ動きを大きく繰り返すのではなく、無理なく追える範囲に戻してください。
最初から完成した姿勢を求めず、手を追う動きから進めます。
手の中におやつを見せなくても動ける練習と、できた時の報酬を減らすことは別です。今は嫌がらずにできる動きへ戻す段階なので、できた動きには引き続きご褒美を渡してください。
犬が止まったところに合わせて、練習を戻します。
- 手を見ない時は、ふせまで進めず、手に注目できる場所やタイミングへ戻る。
- 鼻が手から離れる時は、手を動かす幅を小さくする。
- 頭は下がるが姿勢が変わらない時は、頭が下がった動きを褒め、そこで一度区切る。
肩や背中を押して、ふせの形を作らないでください。手で誘導しても動きが止まるなら、同じ誘導を何度も繰り返しません。犬が離れる、唸る、手を避ける場合は、その回を終えます。
手に食べ物が見える時だけ動く場合は、姿勢を押して作るのではなく、誘導とごほうびの順番を見直します。
練習を中断して体調を確認する
練習中に体を下げづらそうにする、立ち上がり方が変わる、食べ物を受け取れなくなるなど、普段と違う様子が出たら中断します。体を触って確かめるのではなく、無理なく見られた日常の様子をメモし、獣医師へ相談してください。
いつから変わったか、どんな場所や動作で困ったかが分かると、相談時に説明しやすくなります。相談用の動画を撮るために、嫌がる場面を再現しないでください。
ふせの形ができても、落ち着いたとは限らない
体を伏せていても、周囲を見続けていたり、立ち上がろうとしていたりすることがあります。「ふせができたから安心している」とは、この姿勢だけでは判断できません。
合図なしに伏せる時の様子は、犬が自然に伏せる時の意味で扱っています。気持ちや体調を姿勢一つで決めつけず、顔や体の動き、普段との違いも見てください。
ゆうと先生のふせの解説では、いつもおすわりから始めると、その順番でしかできなくなる場合があることにも触れています。
ただ、嫌がっている最中に、立った姿勢や屋外での練習まで一度に進める必要はありません。今の場所で無理なくできる動きを確かめます。
今日の練習で確認すること
ふせを嫌がる時は、普段の動作と練習中の反応を分けて見ます。急な変化があれば練習を止め、体調の相談を先にしてください。
練習の時だけ難しいなら、床と周囲、手の動きを一つずつ見直します。今日は手を追えたところまででも構いません。犬が自分でできた動きを、その場で褒めて終えてください。
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