「犬のしつけは大事だと理解しているけど、具体的にどうすればいいのかわからない」
「犬を飼ったけど、しつけはいつから始めるべき?コツや注意すべきポイントは?」
このようにお悩みではありませんか。
犬のしつけは、犬が「社会化期」を迎える生後4ヵ月目までにはじめるのが良いでしょう。
成犬になると悪癖が付いてしまっていたり強い自我が芽生えたりすることもあります。
本記事では、犬の基本的なしつけ方を段階に分けて詳しく紹介します。
しつけをはじめるタイミングやコツ、注意点も解説しているので、犬のしつけに悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。
目次
段階ごとの基本的な犬のしつけ方法
はじめに、犬のしつけ方法を段階ごとに分けて紹介します。
ポイント
- アイコンタクトのしつけ方法
- 名前学習のしつけ方法
- トイレのしつけ方法
- 人になれるしつけ方法
- ハウスのしつけ方法
- 社会になれるしつけ方法
- 指示語のしつけ方法
- 食事のしつけ方法
- 吠え方のしつけ方法
- 噛み癖のしつけ方法
- 散歩のしつけ方法
順を追って詳しく解説するので、犬のしつけに悩んでいる方はぜひご覧ください。
アイコンタクトのしつけ方法
犬が飼い主との暮らしに慣れてきたら、アイコンタクトを教えましょう。
アイコンタクトとは、犬が飼い主の目を見て集中している状態のことです。
アイコンタクトは、すべてのしつけの基本です。
アイコンタクトができるようになると、犬と飼い主の信頼関係を築くのに役立ちます。
また、犬の意識を飼い主に向けさせられるため、トラブルを回避したりしつけを効率的かつ効果的に行ったりできます。
アイコンタクトを教えるときは、犬の名前を呼び、目が合ったら褒めたりおやつをあげたりすることを繰り返しましょう。
繰り返すことで犬はアイコンタクトをすると褒められることを学び、少しずつアイコンタクトの時間を延ばせるようになります。
名前学習のしつけ方法
犬に自分の名前を覚えてもらうためには、他のしつけと同様に条件付けをすると良いでしょう。
具体的には、名前を呼んだときに反応したり近づいてきたりしたら、おやつを与えて褒めましょう。
ただし、反応がなくても怒ってはいけません。
一度でも怒ってしまうと、名前を呼ばれると怒られてしまうと学習する可能性があります。
また、名前の統一も大切です。
犬は人間の言葉の意味よりも音を認識するため、家族全員がバラバラな呼び名を使うと理解しづらくなります。
トイレのしつけ方法
犬のトイレは基本的に室内で済ませるのが望ましいです。
外での排泄は近隣住民の迷惑になったりトラブルになったりするためです。
また、天候や飼い主の体調不良で散歩ができない場合も考慮して、普段から自宅のトイレで排泄するようにトレーニングしましょう。
トイレのしつけは、以下の流れで行うのがおすすめです。
ポイント
- ケージにトイレを設置する
- トイレを探したらトイレまで誘導する
- 正しくトイレができたら褒める
人になれるしつけ方法
犬との生活において、抵抗なく人に触れられるようになることは大切です。
まずは飼い主とのコミュニケーションを通じて、人に慣れるようにしましょう。
具体的にはブラッシングや爪切り、耳掃除、歯磨き、シャンプーなどを繰り返して刺激に少しずつ慣れさせるのがおすすめです。
犬が体を触られることに慣れていない場合、犬は自分を守るために人に向かって吠えたり噛んだりする可能性があります。
さらに、病気になったときに獣医師など他の人に触られてもおとなしくできるよう、子犬の頃から慣れさせることが大切です。
ハウスのしつけ方法
ハウストレーニングは、犬に室内のクレートを専用の部屋として利用させるしつけ方法です。
ただ寝る場所を提供するだけでなく、犬が安心してくつろげる場所を提供することが目的とされています。
ハウストレーニングは留守番時などにも役立つだけでなく、動物病院への訪問や災害時の避難などにも必要とされるしつけ方法と言えます。
犬の健康と安全を考える上でも大切です。
ハウストレーニングは以下の流れで行うのがおすすめです。
ポイント
- 犬が快適に過ごせるサイズのハウスを用意する
- おもちゃやおやつでハウスに犬を誘導する
- ハウスに慣れさせる
- ハウスから飼い主が離れることに慣れさせる
社会になれるしつけ方法
犬のしつけにおいて、社会性を身につけさせることは大切です。
社会性を身につけることで、他の犬や人とのコミュニケーションが円滑になり、一緒に遊べるようになります。
また、攻撃的な行動や無駄吠えを防げ、より賢く優しい犬に成長できます。
なお、成犬になってから性格を変えるのは難しく、噛む力も強くなるため、社会性を身につけるのは非常に困難になります。
子犬の時期からしっかりと社会性を身につけることが大切です。
散歩やドッグランなど普段とは異なる場所に出かけてさまざまな人や犬と関わることで社会性は身につきます。
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指示語のしつけ方法
「おすわり」「まて」「ふせ」などの指示は、犬との共同生活において犬が思い通りの行動をしなかったときに、動きを制御したり落ち着かせたりするのに役立ちます。
また、指示によって犬と飼い主の関係を明確にし、互いの役割を理解しやすくする効果もあります。
特に散歩の際には、他の犬や人に対して攻撃的な態度を取らないよう、事前にしつけておくことが大切です。
指示語は、おやつを使いながら正しい姿勢を保てるように根気強くしつけなければいけません。
飼い主が自分の体を使って誘導し、少しずつ覚えさせましょう。
一方で、「お手」は芸の一つであると言われているため、必ずしも覚えさせる必要はありません。
食事のしつけ方法
犬の健康寿命を延ばすためには、食事のしつけは大切です。
人間の食べ物を適当に与えると、肥満や病気のリスクが高まるばかりでなく、命を脅かす可能性もあります。
生後3ヶ月頃からは柔らかく小さいおやつを与えられる時期ですが、対象年齢を確認した上で、過剰に与えないように注意しましょう。
食事で注意しなければいけない点は以下の3つです。
ポイント
- 指示語に従ったらおやつやご飯を与える
- 食事中に食べ物を取り上げない
- 人間の食べ物を与えない
吠え方のしつけ方法
犬にとって吠えることは、意思表示の一つです。
しかし、現代の日本の住環境では、大声で長時間吠えたり遠くに向かって吠えたりすると近隣トラブルの原因になる可能性があります。
そのため、周囲の迷惑になる前に、適切なしつけを行いましょう。
ただし、吠えていることに対して怒っても意味はありません。
吠えることをやめれば褒められると覚えさせて吠え癖を抑えることが大切です。
また、吠える理由を見極めて原因を解消し、吠えない環境を整えてあげることも効果的です。
噛み癖のしつけ方法
子犬の甘噛みを放置しておくと、成犬になってからさまざまな問題行動につながることがあります。
そのため、強く噛まれたらしっかりと怒り、子犬のうちにやめさせましょう。
子犬の歯が生え変わる時期には、かゆみや違和感から部屋の中の物を噛んだりいたずらをしたりすることもよくあります。
ただし、甘噛みやいたずらに対しては飼い主が明確な意志を示し、噛んでよいものとダメなものを教えることが大切です。
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散歩のしつけ方法
散歩中に犬の制御が利かなくなると、他の人や犬とトラブルに発展したり怪我をしたりする可能性があります。
そのため、飼い主と一緒に歩くように教えてあげましょう。
飼い主が歩く速度に合わせて隣を歩き、飼い主が止まったら止まるようにしつけます。
犬が前を歩くことがなくなり、飼い主がしっかりとコントロールできるようになるでしょう。
散歩のしつけは、片手に短いリードを持ち、もう片方の手におやつを持って、犬を進みたい方向へ誘導します。
おやつを見せながら歩き、うまく歩けたらおやつをあげます。
繰り返すことで、徐々におやつがなくても飼い主の隣を歩くようになります。
犬のしつけを行う必要性
「しつけ」と聞くと、感情的に怒ったり口をつかんで吠えないようにしたりと、厳しい罰を与えるイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、本来のしつけは、犬と飼い主が共に幸せに暮らすために行われるものです。
犬のしつけには、以下のようなさまざまなメリットがあります。
ポイント
- 人を怖がらないようになる
- 他の犬に吠えなくなる
- 体を触られることに抵抗しなくなる
- 家族以外の人や犬と積極的に触れ合えるようになる
適切なしつけをすれば、一緒に旅行に出かけたりドッグランで遊んだりすることも可能です。
また、飼い主からの指示を覚えることで、万が一の事故から犬を守れるでしょう。
犬のしつけを通して、飼い主と犬との信頼関係や絆は深まります。
犬のしつけを行う際の大事なポイント
犬のしつけを行う際は、以下のポイントに注意しましょう。
注意ポイント
- 楽しみながらトレーニングすること
- 褒めること
- コツコツ行うこと
- おやつを使うこと
それぞれのポイントを詳しく解説します。
楽しみながらトレーニングすること
犬のしつけはお互いが楽しみながらトレーニングしましょう。
険悪な雰囲気ではポジティブな動機につながらず、絆を深められません。
「飼い主に怒られないために行動する」では、絆を深めるどころか犬に余計なストレスを与えてしまいます。
遊びの延長として、楽しく教えていくことを心がけましょう。
褒めること
犬のしつけは、悪い行動を怒って教えるのではなく、よい行動をした場合に褒めて教えていくべきです。
時間を空けずに褒めることで犬はどの行動が褒められたのかを理解し、効果的に覚えられます。
褒める際には声のトーンを普段よりも高くし、感情を込めることも大切です。
犬は飼い主の表情だけでなく、声のトーンでも気持ちを察知しています。
コツコツ行うこと
犬のしつけはコツコツと根気強く行いましょう。
人間でも同じように、一回教えて完全に理解できることはありません。
また、犬は性格によって異なり、それぞれ得意なことや苦手なことがあります。
教え方も一つではないため、個々の犬に合った方法でトレーニングすることが大切です。
できない理由には個体差や好みの違いもあるため、個別の要素を考慮して少しずつ教えていきましょう。
おやつを使うこと
しつけの際には、おやつを使うことも効果的な手段です。
犬は食べ物に強い関心があり、おやつを使うことで犬が望ましい行動を行うように誘導できます。
ただし、おやつはご褒美として与えるものであるため、与え過ぎには注意が必要です。
適度な量を与え、健康に気を配りながらトレーニングを行いましょう。
犬のしつけを行う際の注意点
次に、犬のしつけを行う際に気を付けるべきポイントを4つ紹介します。
ポイント
- 叩かない
- 名前を呼んで叱らない
- クレートやケージに閉じ込めない
- 事後に叱らない
それぞれの注意点を詳しく解説します。
叩かない
しつけに限らず、犬に対して暴力を振るうことは絶対にやめましょう。
犬は叩かれることで恐怖心を抱くだけでなく、飼い主に対する信頼を失ってしまいます。
また、声を大きくして怒ることも控えましょう。
しつけの際は褒めながらお互いに楽しんでトレーニングすべきです。
しつけは飼い主と犬の絆を育むものなので、過度に怒りすぎることは避けましょう。
名前を呼んで叱らない
犬が悪い行動をした際には、名前を呼んで叱るのは避けるべきです。
名前を呼びながら叱ってしまうと、自分の名前が恐怖の対象になってしまうことがあります。
叱る際は、冷静に「ダメ」や「こら」など名前を呼ばずに叱りましょう。
声のトーンを低くし、怒っている雰囲気を伝えることが大切です。
クレートやケージに閉じ込めない
犬のしつけでクレートやケージに閉じ込めることは避けましょう。
クレートやケージは安心できるスペースとして利用されることが多いですが、長時間にわたって閉じ込められることは犬にとってストレスや過度なストレスを引き起こす可能性があります。
また、クレートやケージを怖い場所と紐づけてしまうことで、安心できるはずのスペースがストレスの原因となってしまうこともあります。
犬のしつけでは、クレートやケージに頼りすぎないようにしましょう。
事後に叱らない
犬のしつけで、事後に叱ることは効果的ではありません。
犬は時間を経て行われた叱りの原因と結び付けられないため、叱られた行動を繰り返す可能性があります。
そのため、犬の問題行動に対しては即座に的確な対応を行いましょう。行動と対応を即時に結び付けることが効果的です。
子犬のしつけを始めるタイミング
子犬のしつけは、家に迎え入れた直後からはじめるとよいでしょう。
個体差はあるものの、おおよそ生後4ヵ月目までは犬の「社会化期」です。
社会化期とは、あらゆる物事に対して適切な関わり方を学習する期間です。
そのため、社会化期にしつけを行うことで効果的に教えられるでしょう。
社会化期を過ぎると、犬の警戒心や自我が育ち始め、問題行動が増えることがあります。
ただし、適切な時期は、犬種や個体によって異なるため、犬の様子を見ながらペースを合わせることも大切です。
犬しつけについてよくある質問
最後に、犬のしつけでよくある質問を5つ紹介します。
ポイント
- 子犬期のしつけで身につけるべきことは何ですか?
- 犬のしつけは何歳から何歳まで必要ですか?
- 犬の「ダメ」のしつけ方はどうすればいいですか?
- 犬の散歩の引き癖のしつけ方はどうすればいいですか?
- 犬のしつけ方はどのような順番で行った方が良いですか?
それぞれの質問に回答するので、ぜひ最後までご覧ください
子犬期のしつけで身につけるべきことは何ですか?
子犬期のしつけで身につけるべきことは主に以下の3つです。
ポイント
- 犬と人間がアイコンタクトを取れる
- トイレが正しい場所でできるようになる
- 噛み癖・吠え癖をなくす
どれも犬のしつけにおいて基本的な項目ですが、悪癖が付いたり強い自我が芽生えたりしてからでは指示を聞かなくなってしまうこともあるため、子犬期に覚えさせましょう。
犬のしつけは何歳から何歳まで必要ですか?
犬のしつけには何歳から何歳までのような特定の期限はありませんが、成犬になると同じしつけでも時間がかかるようになります。
そのため、アイコンタクトやトイレトレーニング、噛んだり吠えたりしないようにする基本的なしつけは、生後4ヵ月目までの「社会化期」のうちに済ませておく方がよいでしょう。
犬の「ダメ」のしつけ方はどうすればいいですか?
犬に「ダメ」や「ノー」を教える場合は、以下のポイントに注意しましょう。
ポイント
- 悪いことをした瞬間に叱る
- 明確かつ短い言葉で叱る
- 声のトーンを低くする
- 悪いことをやめたら褒める
悪いことを叱る場合、「おすわり」や「まて」のような特定の教え方はありません。
適切なタイミングかつ決まった言葉を同じトーンでかけ続けることで、「ダメ」を覚えるようになります。
犬の散歩の引き癖のしつけ方はどうすればいいですか?
犬が散歩中に引っ張ってくる場合、以下のような対応を取りましょう。
ポイント
- リードを長くしすぎない
- 犬が引っ張ったら止まる
- 犬が引っ張ったら方向を変えて主導権があることを教える
- 立ち止まってアイコンタクトを取る
犬の引っ張り癖は、性格の影響もありますが、主に犬の持つ習性に由来することが多いです。
適切なトレーニングを続けることで、引っ張り癖は徐々に改善されるでしょう。
ただし、犬には引っ張る理由があるため、ただ言葉で注意するだけでは効果がありません。
それどころか、信頼関係が損なわれてトレーニングが順調に進まなくなる可能性もあるため注意しましょう。
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犬のしつけ方はどのような順番で行った方が良いですか?
犬のしつけは、基本的に以下の順番で行いましょう。
ポイント
- 名前を教える
- アイコンタクトを取れるようにする
- トイレを覚えさせる
- 人に慣れさせる
- 指示を聞かせる
- ハウスを覚えて留守番ができるようにする
- 社会性を身につける
まとめ
本記事では、犬のしつけ方法を段階に分けて紹介しました。
犬のしつけは、犬と人が絆を育み、幸せに暮らせるようにするためのものです。
また、しつけは終わりがなく、根気強く同じことを伝え続けなければいけません。
思うように動いてくれないこともありますが、一方的に犬に命令するだけでなく、親子のような温かい関係を築きながらしつけをすることが大切です。