犬が吠えた時にしてはいけないこと8選|警察犬ドッグトレーナーが解説

犬が吠えた時は、まず犬と周囲の安全を確保してください。
声を止めようとする前に、何に反応したのか、体調に変化がないか、呼びかけに応じられるかを見ます。
インターホン、人や犬とのすれ違い、要求、留守番、不安、痛み。
聞こえる声は同じでも、吠える理由は一つではありません。
原因を見ないまま無視する、大声で叱る、口を押さえる、食べ物で黙らせる。
こうした対応は、その場だけ静かになっても、次の吠えを強くすることがあります。
ここでは、犬が吠えたその場で避けたい8つの対応を取り上げます。
無視、おやつ、抱っこを一律に良い・悪いと決めず、愛犬の状態に合わせて判断するための記事です。
吠えを止める前に、事故を起こさない距離を作ります。
玄関、車道、子ども、ほかの犬が近い時は、しつけより移動と分離が先です。
東京DOGSの公式動画では、原因を確かめることや、家族の対応、大声で叱る・無理に押さえる対応を取り上げています。
動画の5項目を踏まえ、この記事では家庭で避けたい対応を8つに分けて説明します。
おやつや抱っこは一律に禁止せず、犬の状態と目的を分けて考えてください。
この記事の目次
吠えている犬の口を押さえたり、暴れる犬を無理に抱き上げたりしないでください。
人へ歯を向ける、身体をよじるなどの様子があるときは、触って止めようとせず、安全な距離を確保します。
吠えた直後に行う4つの順番
迷った時は、安全を作る、刺激から離れる、犬の状態を見る、落ち着けた行動を褒める、の順番です。
合図が届かない犬へ言葉を重ねるより、まず反応できる条件へ戻します。
| 順番 | 行うこと | 確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 扉、道路、子ども、ほかの犬から安全な距離を取る | 飛び出し、接触、咬傷の危険がないか |
| 2 | 視界を遮る、別室やゲートへ移す、散歩では弧を描いて離れる | 吠えの間隔が空くか、体の緊張が和らぐか |
| 3 | 呼吸、視線、姿勢、食べられるか、呼びかけへ反応できるかを見る | 練習できる状態か、休ませる状態か |
| 4 | 人を見る、四つ足で立つ、マットへ行くなど既に知る行動を一つ出す | できた直後に静かに褒められたか |
吠えが止まった一瞬だけで「解決した」と判断しません。
刺激がなくなった後も、視線が固定したまま、身体が硬い、食べ物を飲み込むように食べる、家族の手へ振り向くなら、犬はまだ余裕を取り戻していません。
名前を何度も呼んでも振り向けない時は、犬が頑固なのではなく、刺激が強すぎる可能性があります。
合図を強くする前に、見えない位置まで離れます。
犬が吠えた時にしてはいけないこと8選
1.理由を確かめず、すべて無視する
無視が使えるのは、要求のために吠え、その要求を人がかなえてきたという流れが確認できる場合です。
痛み、不安、排泄、暑さや寒さ、外へ出たい切迫したサインまで無視してはいけません。
要求吠えでも、犬を見ないだけでは足りないことがあります。
吠えている間は要求が通らないようにし、静かな時に「座る」「マットへ行く」「人を見る」など、代わりの伝え方を教えます。
何をすればよいかがないまま放置すると、声量や持続時間が増える犬もいます。
「無視したら治る」は、原因が要求と確認できた後の話です。
急な吠え、夜間の変化、触られるのを嫌がる様子は、体調も確認します。
2.大声で叱る、長く言い聞かせる
犬が吠えている横で人が大声を出すと、犬の興奮を強める場合があります。
言葉が分からないからではなく、興奮が高い場面では、普段できる合図も選びにくくなるためです。
短い合図を一度出して反応できないなら、声量を上げず、対象との距離を広げます。
静かになった後も説教を続けると、何に対する反応か分かりにくくなります。
犬が興奮しているときは、人まで大声を重ねないようにしましょう。
人は落ち着いて対応してください。
3.鳴き声だけで原因を決める
高い声だから喜び、低い声だから攻撃とは決められません。
同じ犬でも、来客への期待、距離を取りたい不安、窓の外への警戒、遊びの要求で似た声が出ます。
見るのは、吠え始める前の様子です。
どこを見たか、身体が前後どちらへ動いたか、口が閉じたか、耳や尾だけでなく全身が硬くなったか。
吠えた後に何が起きたかも記録します。
人が近づいた、相手が去った、食べ物が出た、扉が開いた。
結果まで見ると、繰り返される理由が見えます。
4.おやつやおもちゃを「口止め」として出す
食べ物やおもちゃ自体が悪いのではありません。吠えるたびに人が慌てて出し、吠えれば手に入る流れにすることが問題です。
松尾は、おやつを使うこと自体を禁止しているわけではありません。
人へ意識を向けて落ち着いた行動を取れたときに褒めることと、吠えるたびに慌てて食べ物を渡すことを分けて説明しています。
怖い刺激への練習で食べ物を使う場合も、要求への対応と同じルールで判断せず、状況を確認できる専門家と進めてください。
要求吠えなら、静かになった瞬間にすぐ渡すだけでなく、座る、マットへ行くなど次の行動までつなげます。
食事制限、アレルギー、持病がある犬は、種類と一日の総量を獣医師へ確認してください。
5.口や身体を力で押さえる、リードを強く引く
口を閉じる、首元をつかむ、床へ押さえる、リードを急に引く。
犬の動きを止めても、刺激への不安や興奮は消えません。
逃げられない状態で触られると、人の手へ振り向く、歯を当てる、次回から触られる前に強く反応することがあります。
接触の危険があるときは、素手で押さえ込まず、扉やゲートなどの仕切りで人と犬を分けます。
首輪やハーネスは、抜け、咳、皮膚、呼吸も確認してください。
6.音、物、痛みで驚かせて止める
大きな音を鳴らす、物を投げる、スプレーをかける、痛みが出る道具を使う。
驚いて声が止まることはあります。
しかし、犬が「吠えない方がよい」と理解したのではなく、次に何が起きるか分からず動けなくなっただけの場合があります。
来客やほかの犬を見た時に罰が加われば、対象そのものへの不安が強くなることもあります。
止まった瞬間だけで評価せず、対象を見た時の身体、回復までの時間、人へ近づけるかを見ます。
静かになったことと、安心できたことは同じではありません。
固まる、隠れる、人の手を避ける変化が出たら、その方法は続けません。
7.刺激の近くに留め、慣れるまで我慢させる
ほかの犬に吠えるから近くで座らせる、来客へ吠えるから抱いて対面させる、インターホンを何度も鳴らす。
犬が食べられず、視線を外せず、身体が硬い状態で繰り返しても、落ち着き方は学びにくくなります。
練習は、対象に気づいても人へ顔を戻せる距離から始めます。
一歩離れる、視界を切る、音量を下げる、時間を短くする。
どれか一つを簡単にし、成功できたところで終えます。
慣らす練習は、耐えさせる時間ではありません。
犬が対象を見ても、食べる、顔を戻す、においを嗅ぐ余裕を残します。
8.家族や日によってルールを変える
一人は吠えると抱き、一人は叱り、一人は食べ物を出す。
昨日は窓辺で吠えてもよく、今日は急に禁止する。
犬から見ると、何をすればよいか、どの結果になるかが安定しません。
同じ合図を使うなら、言葉と動作も家族でそろえます。
そのうえで、どこへ離れるか、普段どんな静かな行動へ応えるか、危険時は誰が扉を閉めるかを決めてください。
犬の体調や安全より、決めたルールを守ることを優先しないようにします。
家族で対応をそろえると、犬にも伝わりやすくなります。
何を変えたときに反応が変わったのかも、比べやすくなります。
無視・おやつ・抱っこは、使う条件で分ける
よくある三つの対応は、いつでも正解、いつでも間違いではありません。
目的、犬の状態、行動の直後に何が起きるかで判断します。
| 対応 | 使える場面 | やめる場面 |
|---|---|---|
| 無視 | 要求であることを確認し、安全・健康・排泄などの必要を満たしている | 恐怖、痛み、切迫した排泄、危険を知らせる吠え、急な変化 |
| おやつ | 刺激から距離を取り、犬が落ち着いた行動を選んだ直後。恐怖対象へよい関連を作る段階練習 | 激しく吠えた直後に毎回口へ押し込む、食べられないほど興奮している、食事制限が未確認 |
| 抱っこ | 犬が抱かれることを嫌がらず、反応が始まる前に視界を切って安全に移動できる | 吠えて暴れている、身体が硬い、触ると振り向く、落下や咬傷のおそれがある |
遊びや注目を求める場面の接し方は、要求吠えを扱う記事でも確認できます。
怖さや体調の変化が疑われる場面まで、同じ対応で扱わないでください。
原因別に、その場の対応を変える
| 起きていること | まず行うこと | 落ち着いた後の練習 |
|---|---|---|
| 遊び、食事、注目の要求 | 安全と必要を確認し、吠えている間は要求を進めない | 座る、マット、目を見るなど代替行動で要求する |
| 人、犬、音への恐怖・警戒 | 見えない、聞こえにくい位置へ移動する | 反応が出ない距離と音量から短く練習する |
| うれしさ、期待による興奮 | 相手に近づく動きを止め、弧を描いて距離を取る | 四つ足、呼び戻し、短い挨拶と離脱を練習する |
| 突然増えた、夜に増えた | 排泄、痛み、呼吸、歩き方、食欲、睡眠を確認する | 行動練習を増やす前に動物病院へ相談する |
原因をここで決めつける必要はありません。
困っている場面で、安全に離れられるかをまず確認してください。
対応が合っているか分からない場合は、起きた出来事をそのまま専門家に伝えましょう。
吠える前に何が起きたかを記録します。
場所、対象との距離、吠える直前の出来事、人がしたことを残します。
落ち着いた後、家族で対応を振り返る
その場で何をしたかを残すと、家族で接し方を振り返りやすくなります。
- 吠え始めた時刻と場所
- 吠える直前に見えた人や犬、聞こえた音、家族の動き
- 対象とのおおよその距離
- 吠えたあとに、人が声をかけた、近づいた、離れたなどの対応
- 身体が硬くなった、前へ出た、後ろへ下がったなどの姿勢
- 名前、食べ物、移動へ反応できたか
- 普段の呼吸や行動へ戻るまでの時間
- 人が行った対応と、その直後に犬が得たもの
動画を撮る場合は、吠え始めた後だけでなく、可能なら直前から撮ります。
ただし、撮影のために刺激へ近づけたり、事故の危険がある状況を再現したりしません。
回数だけでなく、回復までの時間を見ます。
吠えた後に落ち着いて過ごせるかも見てください。
一度の変化だけで改善したと決めないようにします。
家庭で練習を中断するサイン
次の様子が見られたら、合図や接触を繰り返さず、その場の練習を止めます。
- 食べ物を普段は食べるのに、対象を見た瞬間から受け取れない
- 呼吸が速い、よだれが増える、震える、隠れる
- 視線が固定し、身体を動かせない
- リード、人の手、近くの犬へ振り向く
- 歯を見せる、空噛みする、実際に歯が当たる
- 距離を取っても長時間、普段の状態へ戻れない
- 練習を始める前から場所や道具を避ける
その日は、刺激を弱くしてやり直すのではなく、休ませる判断も必要です。
再開する前に、負担が増えたきっかけと、安全に過ごせる条件を確認してください。
危険な場面を再現して確かめる必要はありません。
噛みつくおそれがある、離れても落ち着けない場合は、家庭で練習を再開する前に専門家へ相談します。
食べない、動けない、触ると振り向く時は、合図の練習を続けません。
距離を取り、安全な場所で休ませます。
動物病院・専門家へ相談する目安
急に吠えが増えた時は、性格やしつけの問題と決めず、身体の変化を先に確認します。
痛み、感覚の変化、睡眠や排泄の変化が関係していることがあります。
- 高齢になって夜間の吠えや落ち着かない行動が増えた
- 触る場所によって鳴く、逃げる、振り向く
- 呼吸、歩き方、食欲、排泄、睡眠に変化がある
- 家族や来客へ歯を当てたことがある
- 制止した人へ咬みつこうとする
- 散歩で車道へ飛び出す、犬具から抜ける危険がある
- 留守番中に長く吠え、破壊、排泄、よだれ、脱出行動もある
健康面は動物病院へ。
健康上の問題が見つからなくても、家族だけでは安全を保てない、原因を分けられない場合は、犬と環境を直接確認できるトレーナーや行動の専門家へ相談します。
相談時は、吠え声だけでなく前後の動画と記録を見せます。
いつ、どこで、何が近づき、どれくらいで戻ったかが判断材料になります。
よくある質問
吠えたら完全に無視すればよいですか?
必要な世話まで待たせることはしません。
注目や遊びを求めると確認できた場面では、吠えた時だけ応じる流れを見直し、普段から静かに近づく行動にも応えます。
怖がる、痛そうにする、休めない場合は、無視を続けず安全確保や受診の相談を優先してください。
吠えた後におやつをあげると、吠えを褒めることになりますか?
何の直後に、どの条件で渡すかによります。
要求吠えの直後に毎回渡せば、吠える行動が続きやすくなることがあります。
一方、恐怖の対象から十分に離れ、犬が対象に気づいても落ち着いていられる段階で使う食べ物は、練習の報酬や関連づけに使えます。
小型犬なら抱っこしても大丈夫ですか?
体格だけでは決まりません。
犬が抱かれることに慣れ、反応が始まる前に視界を切って移動できるなら、安全管理として使える場合があります。
吠えて身体をよじる、触ると振り向く、落下しそうな時は抱き上げません。
「ダメ」「静かに」と言えば理解しますか?
静かな場所で合図を学んでいても、興奮が高い場面では反応できないことがあります。
言葉を連呼するより、刺激から離れ、犬が知っている「見る」「戻る」「マット」など一つの行動へつなげます。
何日で吠えなくなりますか?
原因、これまでの学習、環境、健康状態、家族の対応で変わります。
日数で区切って難しい場面へ進まず、人の対応を変えた前後に犬がどう反応したかを見ます。
一日静かだったことだけで、改善完了とは判断しません。
散歩中に吠えたとき、近づいて確かめない
散歩中は、相手の犬や人へ近づいて吠え方を確かめる必要はありません。
車道や相手の進路を確認し、安全に離れる方向を選びます。
屋外の警戒吠えで距離を取る手順も参考にしてください。
家の窓際での対応を、そのまま道路上で行うことはしません。
まとめ|犬を黙らせる前に、吠えが起きる条件を変える
犬が吠えた時に避けたいのは、原因を見ずに無視する、大声を重ねる、口止めとして食べ物を出す、力や驚きで止める、刺激の近くで我慢させる、家族の対応を毎回変えることです。
最初は安全な距離を作り、身体と周囲を確認します。
犬が人へ反応できる状態なら、知っている行動を一つだけ出し、できた直後を静かに褒めます。
反応できないなら、合図を強くするのではなく、距離、視界、音量、時間を下げます。
無視、おやつ、抱っこも、使う条件で意味が変わります。
方法だけを切り離して一律に禁止せず、何が起きた直後に何をしたか、その結果、犬の身体がどう変わったかまで見てください。
今日そろえるのは、家族全員の完璧な技術ではありません。
危険なら離れる、合図は一度、戻れたら褒める。
この三つから始めます。
動画でもう一度確認する
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