飼っている柴犬に頻繁に噛むクセがあっても、「単純にじゃれて遊んでいるだけ」と楽観視する方も多くいらっしゃいますが、実はいろいろなリスクがひそんでいたりします。
柴犬の「噛む」という行為は犬本来の生まれ持った本能的な部分があるものの、体調不良やストレスといった心身のトラブルやしつけ不足が原因になることもあり、決して楽観視してはいけない問題行動となっていることもあります。
今回は柴犬が噛むのにはどのような理由があるのか、柴犬の子犬・成犬別に見る必要なしつけ策をわかりやすく解説していきたいと思います。
目次
柴犬の噛む問題行動が頻繁な理由とは?
クリッとした大きな瞳とどっしり感のある体格の柴犬に対しては、はじめて飼う方や一般の愛犬家の方は、「従順で噛む問題行動が少ないイメージ」がありますが、実はプロのトレーナーや犬の訓練士、または柴犬に対しての理解がある方の間では「噛みつきグセ」が出やすい犬種としての認知があります。
古い時代から猟犬・番犬として活躍してきた歴史があり、危害を加えられるのではないかと不安を感じた相手、または獲物の殺傷を目的として作出された犬種であり、「強く噛んでしまう傾向」がある一方、攻撃性が高く、自我がつよい犬種でもあります。
柴犬の噛む問題行動には、このようなルーツ以外にもさまざまな原因があります。
柴犬の特性を知るために、ここでは子犬と成犬別に、噛む理由や原因をチェックしてみましょう。
子犬の柴犬が噛む理由や原因
子犬の柴犬に、頻繁に噛む問題行動が見られるのは、
ポイント
- 歯の生え代わりによって口の中にかゆみや違和感がある
- 遊びに夢中になって興奮状態にある
- 噛んで飼い主さんの気を引きたい
- 相手とのコミュニケーション
- 学習能力の向上
- 愛情表現
という、さまざまな要因があります。
子犬の柴犬の噛み癖は、成長の過程における身体や気持ちの変化が原因になりやすく、必ずしも悪い行動ばかりではなく、むしろ「自然な行動」になります。
成犬になってからの良い社会性やマナーを身につけていくためにも、「適切なコミュニケーション」「さまざまな物や刺激への慣らしのしつけ」をとり組むことがとても大切になってきます。
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成犬の柴犬が噛む理由や原因
成犬の柴犬は、子犬の頃よりも落ち着いてくる傾向が多くあり、実際にわたしのお客様の柴犬ちゃんもその傾向が強いのですが、以下のような原因があると噛む問題行動が頻繁になってしまう可能性があります。
ポイント
- 気持ちを落ち着かせるセロトニンの代謝や分泌が不安定になっている
- もって生まれた"気質的"な問題
- てんかんといった身体的症状のトラブルによるもの
- 過去の怖い体験がトラウマや不安となり噛む行動につながる
- 子犬期の社会化不足
- "噛む"ことで物事がコントロールできると思考している
成犬の柴犬の噛む問題行動は、子犬の噛みグセに比べるとさまざまな要因が複雑にからみあっている場合もあるので、プロの訓練士やトレーナーまたは柴犬の噛みつきに理解がある方にいちど指示を仰いでみるのも良いでしょう。
噛みつきの原因によっては、しつけやトレーニング、検査や治療が必要になる場合も多くあり、精神的・身体的なトラブルが原因になっているケースがあります。
成犬の柴犬の噛む問題行動の、上記のような変化に気づけていないと、病気の進行やしつけがスムーズにいかなくなるといったトラブルが出やすくなるため注意が必要です。
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柴犬の噛む問題行動を解決!子犬のしつけ方
柴犬の子犬を迎え入れ、噛む問題行動が頻繁にあると悩む飼い主さんに向けて、つぎは子犬の柴犬の噛みつきのしつけ策をお伝えしていきます!
安心して噛めるおもちゃを用意してあげる
子犬の柴犬が人を噛んできたり、噛んではいけないものを離さない場合は、安心して噛めるおもちゃを与えてあげることはとても大切です。
子犬にとって「噛む」という行為はとても大切な行為であることと、なくてはならない行動です。
噛むことによって「愛情表現」「学習」「コミュニケーション」といったプラスの表現も多分に含まれています。
なので噛まれたら頭ごなしに叱ってばかりいると、子犬の柴犬は「愛情をないがしろにされた」と感じとり、「反抗的」「過度に萎縮」した犬をつくり上げてしまう可能性があります。
もちろん血が出るくらい噛んできて「痛いとき」や「しつこく鬱陶しい」ときはいけないことと注意してあげることも大切ですが、叱ってばかりいるのは禁物です。
安心して噛めるおもちゃを用意してあげることで、その子自身の「噛む」という欲求が満たされてしだいに性格が安定してきて過剰な噛みつきが減ってきます。
なので噛みつきで悩まれている時はいちど柴犬ちゃんが安心して噛めるおもちゃを用意してあげことはとても大切です。
社会化トレーニングを行う
子犬のうちから他人や他の犬と触れ合わせることやお手入れ全般の社会化(慣らし)トレーニングを行うと、人間との共生生活に自然と慣れて警戒心や攻撃性が緩和されるようになります。
子犬の柴犬の社会化トレーニングは、穏やかさや安定した性格を形成するメリットがあり、成犬になってからの噛み癖を予防するとても大切なしつけです。
運動を十分にとらせる
犬はストレスやフラストレーションがたまっていると、よからぬ形でそのストレスを発散しようとします。
甘噛みがひどい子に、運動を十分にとらせてあげることで甘噛みの軽減や改善される例を間近でたくさんみてきました。
噛んできたときに叱ったり、罰を与えたりする前に運動を十分にとらせてあげることはとても重要なポイントのひとつです。
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成犬の柴犬の噛む問題行動をなくすしつけは、一見難しそうに感じますが原因を特定し、心身の状態に気を配ったり、愛犬と飼い主さんの信頼関係を再構築する努力を欠かさないことで改善することができます。
成犬の柴犬の噛む問題行動を解決する、しつけのポイントを見ていきましょう。
環境や接し方の見直し改善
成犬の柴犬の噛みグセは、
ポイント
- 十分な散歩、運動、遊びをさせる
- 噛んではいけないものを目に見えるところに置かない
- 噛みたい欲求を解消できるおもちゃやおやつを与える
- 噛まれないような「習慣」をつくる
- 噛まれないような「接し方」をする
上記のポイントを意識して、今の環境や接し方の見直し改善をしていくようにしましょう。
噛むのを矯正していくのはとても時間がかかり大変ですが、噛まれないような「環境」や「接し方」をすることで、ヒトのケガのリスクを極限まで減らし、犬の攻撃性もできるだけ出さないような習慣をつくることができます。
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プロトレーナーのぶっちゃけ。一度プロに相談するのもアリ
成犬の柴犬の噛む問題行動が、飼い主さんだけでは対処しきれないと悩んでしまったら、プロに相談してみることもおすすめです。
ドックトレーナーへの相談は原因に応じた噛み癖の解決や、家でできる正しいしつけトレーニングをアドバイスしてもらえる安心感があるため、ひとりで悩まずに相談してみるのもひとつです!
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おわりに
子犬・成犬にかかわらず、柴犬の噛む問題行動をなくすしつけは、スタートが遅くなってしまうほどスムーズにならなくなる心配があります。
噛んではいけないものを噛む、噛みつきのクセに気づいたら、すぐにお伝えしたしつけをはじめて、柴犬本来の従順さを取り戻してあげてくださいね。