愛犬のフード用の食器に触れたり、ご飯を食べた後の片づけをしようとしたタイミングで、激しく吠えられたり唸られてびっくりしてしまった経験はありませんか?
飼い主さんは単純に食器をキレイに洗ったり、いつもの場所に置こうと整えるつもりで触れる・片付けようとしているのに、愛犬が怒る状態に戸惑うこともありますよね。
愛犬の食器に触れる・片付けようとするたびに吠えられてしまっては、飼い主さんに強いストレスを与えてしまうこともあるでしょう。
今回は愛犬の食器に触ったり片付けようとすると怒る理由や、解決に導く安心のしつけ法を解説します!
目次
愛犬の食器に触れる・片付けようとすると怒るのはナゼ?
愛犬がご飯を食べ始める時や食べ終わった後に、食器に触れたり片付けようとすると怒るのは、以下のような原因があるからなんです。
不安や焦りによるもの
愛犬の食器に触れる・片付けようとした際に怒るのはフード・アグレッシブという攻撃現象のことを言い、
ポイント
- ご飯を取られてしまうのではないか?
- ご飯を食べたいのにもらえないのではないか?
- 強い飢餓状態の怒り
- 「はやくちょうだい!という主張や自我
といった不安や焦りを強く感じて食器(食事)を守ってしまうこと(食器に対する執着)が原因です。
また愛犬は、いつも美味しいドッグフードをもらう食器を、「自分の特別なお気に入り」という認識を持っているため、大好きな飼い主さんであっても触れられたり片付けられたりするのは、「許し難い行動」になります。
さらに詳しくいうと食べ物やお気に入りのものを取られないようにしようと「守っている行動」になります。(防衛本能といいます。)
そしてこの「防衛本能」はどのワンちゃんももっている普遍的な本能になります。
人もそうだと思いますが、自分が食事をしている最中に、後ろからいきなり食事を取り上げられたら「なんだこのやろう!」と少なからずイラッとなるはずです。
まさにワンちゃんも似たような心理状態で、食器を前にして守って、怒っていると言えます。
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怒ると食器から離れると認識しているから
愛犬の食器に触れる、片付けようとしたシーンで愛犬に強く吠えられ、飼い主さんは噛みつかれたり飛びついてくるのではないか?と不安に感じて、何度か離れた経験はありませんか?
このような経験があると、愛犬は「吠えて怒ると飼い主さんは食器に触れなくなる、ご飯を取り上げようとしなくなる」と間違った認識をしてしまい、その行動自体が愛犬への報酬となってしまい、攻撃的な性格がエスカレートして身についてしまうリスクがあるのです。
愛犬の食器に触れる・片付けようとすると怒る…解決に導くしつけ策!
愛犬の食器に触れたり片付ける飼い主さんの行動は、自然な行動でもあり、愛犬に心地よく安心に食事を楽しんでもらいたいための気遣いなのに、愛犬にとっては焦りや不安が強くなってしまうんで可能性もあります…。
ではどんな風に対処すれば、愛犬の食器に触れる・片付けようとする行動が怒らなくなるのでしょうか?
ここでは飼い主さんに安心の、解決に導く効果的なしつけ策をご紹介してみたいと思います。
片付けのタイミングを変える
食器を片付けようとすると愛犬が怒る・唸るのをなくすために、食器を片付けるタイミングを見直してみましょう。
たとえば、
ポイント
- お散歩など外に行くアクションをみせて食器から意識をはずす
- 愛犬が他の遊びに夢中になっている時にそっととる
- 眠っている時
- サークル、ケージからだした後にとる
など、食器に対する意識がなく、気が付かないタイミングを見て片づけをするのはとても有効な対処法になります。
ポイント
「怒るのを抑制する」
「興奮を慣らしのトレーニングで落ち着かせる」
「関係性の序列確認のトレーニング」など…
さまざまなフードアグレッシブに対するトレーニング手法がありますが、いずれも時間がかかること、トレーニングの技術的な問題、噛まれるケガリスクの問題などの側面がありますが、食器を片付けるタイミングを変える手法だと、これらの問題やリスクを回避しながら、より手軽に本質的に改善していける可能性がある非常に優れたトレーニング手法(環境改善方法)になります。
いつもと同じ場所やタイミングに食器をとることで、愛犬に対して触る・取り上げる場面を見せていないため、怒る・唸る問題行動を限りなくゼロにしていけるはずです。
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おやつやおもちゃと交換してみる
前述で紹介したフードアグレッシブに対するトレーニング手法(環境設定トレーニング)はとても本質的な改善になりますが、ワンちゃんのお気に入りのおもちゃやおやつと交換をして食器に対する執着を低減するしつけも有効なトレーニングになります。
食器を取られる・片付けられることに対して、不安・焦りを感じている愛犬も、お気に入りのオヤツなおもちゃなどを使って交換条件で食器をとることで素直に受け入れてくれるケースもあります。
ただ注意も必要で愛犬との距離感も近い分、ケガなどのリスクも増えるので、環境や愛犬の状態をよく観察した状態で事故のないように取り組む必要があります。
難しい場合には無理に取り組まないのもひとつです。
食事の場所やドッグフードの食器を変えてみる
愛犬の食器に触れたり片付けのシーンで怒るのは、必要以上に食事やドッグフードに執着して攻撃的になっている可能性が高いと言えます。
下記の環境を見直すことで改善されるケースもあります。
ポイント
- 食事をする場所を変えてみる
- 食事を用意する場所を変えてみる
- 食事を準備するルーティーンを変えてみる
- 食事をあげる時間を変えてみる
上記のポイントを変えることで、食事に対する意識を変えていけるので、過剰な食器や食事に対する執着や意識も改善していけます。
プロのドッグトレーナーや訓練士は少なからず、こういった環境や習慣を見直しながらフードアグレッシブの改善を目指します。
さまざまなトレーニング手法がありますが、ベース(土台)の環境や習慣が整ってこそより効率的なトレーニングになると言えます。
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食事を人間の手から小分けにして与えるしつけ
ワンちゃんの食事をヒトの手から小分けにして与えることで、「人に食事を頂いている」という意識から、犬自身にヒトに対する尊敬や譲歩の心理が生まれフードアグレッシブを改善していく有効なトレーニング手法の一つになります。
ワンちゃんは序列の動物と言われているくらい他者との「関係性」を重要視して生きています。
この関係性を整えていくことで、生活における問題を解決することができます。
この関係性を正していくような食事のあげ方が、「ヒトの手から小分けにして分け与えてあげる手法」になります。
具体的には
ポイント
- 大きめの食器に少なめのフードを入れた状態で用意する
- もうひとつ食器を用意いただき、そこには一食分の残りのフード入れておく
- 少なめのフードを入れた大きめの食器を使いワンちゃんに食事を与える
- 食べ終わったのを確認したら、もう片方の食器のフードを手でもつ
- ワンちゃんの落ち着きを確認したらからの食器に入れてあげる
有効なトレーニング手法になるのでぜひ試してみてください!
心配な場合はプロの指導を仰ぐのも有効です!
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食事の時間は自由にさせてみる
愛犬の食欲が旺盛で、いつもドッグフードを美味しそうに食べていると、その姿を間近で見ていたいと感じる飼い主さんも少なくはないでしょう。
ですが食事のときに愛犬の近くにいてじっと食べる姿を見つめてしまうと、愛犬は「ゆっくり食べられない」「取り上げられてしまうのではないか」と不安や焦りを感じて怒る・唸ることがあります。
食事の時間は愛犬にとって1日の中でも楽しみなひとときになるため、愛犬が自由に美味しく食べられるように近づきすぎる・じっと観察し過ぎる行動を控えるようにしてみてくださいね。
フードアグレッシブに関してプロトレーナーとして思うこと
食器や食事に対して過剰に反応(攻撃、防衛)してしまう個体の子は、普段しつけ教室を運営している私としても一定数耳にするお悩みの一つになります。
また、この物に対する執着及び防衛(攻撃、威嚇)はどんなに穏やかに見えるワンちゃんでももっている犬の本能的な行動や心理です。(余談ですが我々ヒトももっています。)
「良い」「悪い」ではなく言い換えるともって生まれた「個性」のようなもの。
ですが、人間とともに生活する上で好ましくない行動になるので、しつけやトレーニング、環境や習慣の改善で人も犬もおだやかに生活していくのが理想ですよね。
このフードアグレッシブに関しては、いくつかの改善手法がありますが、いずれも人間側が正しく理解してあげて、正しいアプローチをかけてあげれば、私の運営するしつけ教室でもそうですが、皆様かならず改善していけますので、少しでもこの記事が参考になると幸いです!
おわりに
飼い主さんが良かれと思ってしていた愛犬の食器に対しての行動が、実は愛犬のストレスや不安を煽っている原因になることがあります。
お気に入りのものを守りたい、食事はゆっくり美味しく自由に食べたいという、犬ならではの心理や感情を理解して、怒る・唸る問題行動を早めに解決していきましょうね!