犬のコマンドの教え方|警察犬ドッグトレーナーが手順を解説

犬のコマンドは、言葉を繰り返すだけではなく、してほしい動きを教え、できた直後にごほうびを渡して覚えてもらいます。
「おすわり」と言っても、立ったまま動かない。家の中ではできたのに、外では振り向いてくれない。
そんな時は、言うことを聞かないと決める前に、合図を知っているか、手の動きを追えるか、その場所で練習できるかを見直します。
手の誘導を使う練習は、東京DOGSのフセの解説動画で確認できます。
コマンドを教える時の基本ルール
コマンドとは、「おすわり」などの言葉や手の動きで、犬にしてほしい行動を伝える合図です。
言葉を先に何度も聞かせるより、犬がその動きをできる状態を作ります。
おやつを持った手について来られるか、落ち着いて人の方を向けるか。
手を追えない時は、おやつの位置を近づけたり、静かな部屋へ移ったりしてみましょう。眠い時や疲れている時は、休ませてからにします。
犬が動きを覚える前は、同じ言葉を何度も繰り返す必要はありません。手の誘導で動けるようになったら、おやつを持たない手でも試し、その後に言葉を添えます。
動きを導くために見せるおやつと、できた後に渡すごほうびは分けて考えます。
まだ動きが安定していない段階で、両方を一度にやめる必要はありません。
同じ場所でできるようになってから、距離や周囲の様子を少しずつ変えていきます。場所が変われば、また近い距離の簡単な練習から始めてかまいません。
日本語でも英語でも、家族で合図をそろえる
「おすわり」でも「Sit」でも構いません。
家族が使いやすく、同じ行動に対して同じ合図を出せる言葉を選びます。
たとえば一人が「おいで」、別の人が「こっち」、さらに別の人が「Come」と呼ぶと、教える合図が増えます。
練習を始める時は、言葉と手の動きを家族でそろえておくと進めやすくなります。
英語を選んだだけで、覚えるのが早くなるわけではありません。
「おすわり」が長いと感じるなら「スワレ」にしてもよく、日本語か英語かより、決めた合図を毎回同じように使えるかを見てください。
日常生活で使う合図から選ぶ
教える合図は、犬との暮らしで使う場面から選びます。
リードを着ける時に座ってほしい、扉を開ける間はその場にいてほしい、呼んだらそばへ来てほしい。
何をしてもらうかが決まると、練習する行動もはっきりします。
どの合図を教えるか迷う時は、犬のしつけコマンド一覧で、目的と使う場面を比べてみてください。
家庭でよく使う基本のコマンドと、犬にしてほしい動きは次のとおりです。
| 合図 | 教える動き |
|---|---|
| おすわり | お尻を床につけて座る |
| マテ | 解除の合図まで、その場にとどまる |
| フセ | 胸とお腹を床につける姿勢をとる |
| おいで | 呼んだ人のそばへ来る |
| ついて | 人のそばを一緒に歩く |
表が収まらない場合は、横にスクロールしてご覧ください。
「おすわり」ができても、座ったまま吠えることはあります。
コマンドを覚えることと、苦手な人や犬に慣れることは別の練習です。
吠えや興奮が強い場面で、合図だけで解決しようとはしないでください。
できた瞬間に褒め、ごほうびを渡す
犬が合図に応じたら、できた動きが続いている間に褒め、ごほうびを渡します。
「おすわり」なら、お尻が床についている時です。
立ち上がってから渡すと、何がよかったのかを伝えにくくなります。
ごほうびは、おやつやおもちゃ、遊びなど、その犬がその時に喜ぶものを選びます。
おやつは普段の食事量に含めて考えます。食事制限がある犬は、使える物を獣医師に確認してください。
撫でたら顔をそむけたり離れたりするなら、その場では触ることを褒め方にしなくて構いません。
褒めるのが遅れないように、短い言葉とごほうびで、どの動きがよかったのかを伝えます。
おやつを持った手でしか動けない時は、手の誘導をいきなり全部なくさないでください。
見せるおやつを減らしても同じ動きができるか、ひとつずつ確かめます。
できた後のごほうびまでなくす話とは別です。
覚えない時は、練習の条件を見直す
合図に反応しない時は、声を大きくする前に条件を見直します。
静かな部屋ではできるのに窓のそばではできないなら、外の音や動きが少ない場所へ戻してみてください。
おやつが鼻先から遠すぎたり、手を動かすのが速すぎたりして、ついて行けない場合もあります。
繰り返すうちに手を追わなくなる、顔をそむける、その場から離れるといった様子が出たら、練習を区切ります。
決まった分数を続けるより、犬が取り組めているうちに終えます。
反応しない時に叱ったり、体を押さえて無理に姿勢を取らせたりしないでください。
距離を短くする、周囲の刺激を減らすなど、できていた条件に戻します。
以前はできていたおすわりやフセを急に嫌がる、動きにくそうにする、触ると痛がる様子がある場合は、練習を中断して獣医師へ相談してください。
基本のコマンドを教える手順
アイコンタクト・マテ・おすわりは、静かで滑りにくい場所から始めます。
ごほうびを手の届くところへ用意して、犬ができた直後に渡せるようにしておきます。
名前を呼んで、こちらへ注意を向ける練習
犬がこちらへ注意を向ける練習です。
最初から長く目を合わせることは求めません。
- 落ち着いている時に、近くから名前を呼びます。
- こちらを向いたり目が合ったりしたら、すぐに褒めてごほうびを渡します。
- 同じ距離で何度か応じられるようになってから、少し離れた位置でも試します。
名前を呼んでも向かない時は、連呼するのではなく、おやつを持った手でこちらへ注意を引いてみます。
食べ物を見ている時は、顔を見させようと迫らず、一度手を動かさずに待ってみます。顔や耳がこちらへ向いた小さな反応も褒めてください。
目をそらしたり離れたりする時は、長く見つめ合うことを求めません。犬との距離や体の向きを変え、無理のないところから始めます。
ただし、目が合えばそれだけで他の合図を理解できるわけではありません。
「おすわり」など、してほしい動きはそれぞれ教えていきます。
マテは、短く待てるところから
マテは、その場にとどまる合図です。
終わりも分かるように「ヨシ」などの解除の言葉を決めておきます。
- 犬が無理なく保てる姿勢で、人はすぐ近くに立ちます。
- 短く姿勢を保てたら、その場にいる犬へごほうびを渡します。これを無理なく繰り返せるようになったら、待つ前に「マテ」と一度伝えます。
- 「ヨシ」と伝えて、待つ練習を終えます。
待つ時間と、人が離れる距離を同時に伸ばさないでください。
近くで待てるようになってから時間を少し延ばし、距離を変える時は待つ時間を短く戻します。
人が離れる練習では、犬のそばへ戻り、待っている姿勢のままごほうびを渡してから解除します。
途中で動いたら、次は人が近くにいる状態や、もっと短く待てるところからやり直します。
失敗した分を取り返そうと長く待たせる必要はありません。
マテができても、道路や開いた玄関で飛び出さない保証にはなりません。
練習中も日常も、リードや扉などの安全対策は別に行います。
おすわりは、手の誘導から始める
おやつを鼻先へ近づけて、犬がその手について動けるかを見ます。
- おやつを持った手を、犬が跳びつかずに追える高さに置きます。
- 鼻先から少し上、頭の方へゆっくり動かします。
- お尻が床についたら、座っている間に褒めてごほうびを渡します。
手が高すぎると跳びつき、遠すぎると立って追いかけることがあります。
座らない時はお尻を押すのではなく、手の高さや動かす速さを見直してください。
手の誘導で座れるようになったら、おやつを持たない手でも同じ動きを試します。
座れたら、別に用意したごほうびを渡してください。動きが安定してきたら、「おすわり」と一度言ってから手の合図を出します。
言葉を聞いて座れるようになってから、手の動きを少しずつ小さくします。難しくなったら、一つ前の練習へ戻してください。
座れたことと、気持ちまで落ち着いたことは同じではありません。
周囲をじっと見たり吠え続けたりしている時は、その場で何度も座らせるより、気になるものから距離を取ります。
まとめ|一つの合図を、無理なく伝える
合図に応じられない時は、犬が覚えた場所、手の動き、ごほうびを渡すタイミングを振り返ってください。
家ではできて外ではできないなら、屋外でも同じようにできるとは考えず、刺激の少ない条件から教え直します。
一度できた動きを何度も確かめたくなりますが、疲れるまで繰り返す必要はありません。
できたところで区切り、次の練習でも同じ条件から始めてみてください。
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